Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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視察

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 顔が知れ渡っているからお忍びの意味がない。堂々と街で遊ぶ…じゃない視察するぞ!

 まずは今回の視察理由である店数や商品の扱い方、できれば仕入れ等の調査だ。目に付くお店に行き“新しく作る市場が既にパンク状態だから今現在の街が望むものを調べに来た”と理由を話して、街のことを教えてと協力を頼む。

 そうしたら、僕の話を聞いた途端店のおばちゃんは大声で通りに向かって叫んだ!

「ちょっと!皆、聞いてあげてくれる?!領主様が新しい市場に何が欲しいか知りたいって!!」

 違う!そうじゃない!それじゃパンク状態の市場が更にパンクしちゃう!

「おぅ!俺は飲み屋が欲しいぞ!」

 おっちゃんの大声の返しを皮きりに次々と声が挙がる。

「忙しいんだよ!子供を預かってほしいね!」
「うちは衣料品だから匂いがつかないようにしてほしいなぁ。」
「食いもんだ!安くて旨くて多い店!」
「真ん中ばかりに集めないでとくれ!うちのかぁちゃんは足が悪いんだ。遠いと行けねぇよ!」
「井戸を増やしとくれ!」

 アワワワワ……。大変大変……メモが追いつかない何?旨い店にしてくれ?そんなの自分で探しなさい!……一応メモするけどね。

「ハイハイ!!今答えられるのだけ答えるよー!
売り物につく匂いについては、食料品区と衣料品区を分けて作るから隣や目の前で焼き串が並ぶことはないよ-!それから、井戸の数は増やせないけど大きな市場の地図を作るからどこに井戸があるかすぐわかるようにするよ-………」

 ふと思いついた。横で僕の言葉を聞いていたおばちゃんに聞いてみる。

「井戸から水汲むの大変だよね?汲んでくれる人がいれば助かるよね?」

「当たり前さね!汲んどいてくれるのかい?」
「助かるよ!」
「腰が痛くてしょうがないんだよ。」

 またもや次々と声が返ってくる。ちょっと騒がしいけど打てば響くこの感じは好きだよ。中には「良い街だよ。」とか「住みやすくなったよ。」という声も聞こえるからとても嬉しくなっちゃう。

 フムフム……。結構良い話が聞けるね。

「ノエル様、地図のお話は初めて聞きましたが?」

「うん。今思いついたから。お仕事斡旋所に行って依頼出してきて。下絵はあるから大きな板に書ける人、場所は市場予定地の工事司令所横で……」

「井戸も人を集めますか?」

「井戸の方はちょっと待って。給水塔を設置してからにしよう。」

「ああ、やかたと寄宿舎にある水を溜めておくあの大きな樽の塔ですか。」

 うん、と頷く。井戸は市場の四隅と区分けをわかりやすくするために作った広場や大通りに点在させている。全部で9カ所……出来ない数じゃない。

「僕だって水くみの辛さは知ってるからねー。重いし濡れるし…大変だもの。」

 王都の店を出すとき噴水広場の近くしか考えられなかったのは水くみの問題が大きかったからねぇ……とあの頃を思い出してしみじみしてしまった。
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