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目の前には決して敵にしたくない2人がいた。よく持ち込んだと思うほど大きなソファーに体を埋めて肩を抱かれて満足そうに笑みを浮かべる参謀は非常に愉快そうに机上の地図を見ている。肩を抱いている正に鬼というべきアドバイザーもご機嫌だ。
「バカな奴らだ。何日も前から到着している私たちがなにもしてない筈ないのにな?」
……ええ、貴方の指示で敵陣の前方に落とし穴を掘ってありますよね。しかもなにやら兄上が牧場を守るために掘った豪を真似たといって落とし穴の中に水を入れてドロドロにしてますよね。幅もえげつないですよね?これは落とし穴ではなくて堀ですよね?これ、落ちたら自力であがれませんよね。前方の兵をここに落として後方は飛行船部隊が上から叩くと……。それから、そのポンプ部隊……それ……王都の各消防団から1つづつ出させたものですよね?
「こちらの損害は最小限に、敵側の損害は全滅に。と言うであろう?」
至極ご機嫌にデジレ様が言うけど、そんなの初耳です。“全滅”ではなくて“最大限”なら納得しますけどね。
「ポンプ部隊は盾の外には出るなよ?さぁ、そろそろ彼方も準備が整ったようだ。」
見ると真ん中から一騎が馬で走り出てくる。これも予測済みなので中央部分には馬一騎分の重みは堪えられるように作られているが、そこまでは来ないらしい。
『我こそはポーリシア帝国一の将軍、スワロー伯爵である!』
……知らない初耳だ。
『皇帝陛下の命により、卑劣なる者共を撃ちに参った!こちらの軍勢は2万を越える!』
……いいや、脱走兵が多いぞ?数えてみろ2万切ってる。
『直ぐ様降伏すれば皇帝陛下の慈悲の下、丁重に扱ってやろう!』
ここで少し前進して此方を眺め……もう一度見てる。空を仰いでもう一度……。明らかに2つの旗を凝視してる。自軍の方を向いて……また此方を見て……おいおい、露骨に狼狽えるな。
「使者を出してやれ」
という提督の声にこちらから使者を出してやると、なにやら話し出した。そして……兜を外して剣を外して馬にのせ自軍に走らせると、将軍は単身でこちらに来た。
「……降伏する。」
変わり身速っ!
馬に自分は降伏すると書いた紙を持たせたらしい。すごすごと去っていく後ろ姿に哀愁を感じる。なんだろう……この哀れみ。
まぁそうだろうな。降伏した先の男は首筋にキスマークをつけ腰を抱かれ、いとおしげに髪を触られている。もう片方は使者に目もくれず片割れの恋人のみ見ていてどちらも自分に意識が向いていないのは明らかだったもの。
おかげで使者は全ての訴えをローランドになげた。
大丈夫ですよ。命の保証はありますし、捕虜の扱いも悪くはない筈です。故郷の地に帰るのは身代金の支払い後ですけどね?……こちらの扱いがよくて帰らないなんて事無いよね?ちょっと不安になる。
そうこうしているうちにポンプ部隊の準備は整ったようだ。あれは飛行船部隊に矢を放とうとした兵に向けて放水されるものだ。え?水はどこから?私達の陣の後ろに流れる川の水をひいていますよ。
……ええ元は兄上の牧場がポンプの出所です。
「バカな奴らだ。何日も前から到着している私たちがなにもしてない筈ないのにな?」
……ええ、貴方の指示で敵陣の前方に落とし穴を掘ってありますよね。しかもなにやら兄上が牧場を守るために掘った豪を真似たといって落とし穴の中に水を入れてドロドロにしてますよね。幅もえげつないですよね?これは落とし穴ではなくて堀ですよね?これ、落ちたら自力であがれませんよね。前方の兵をここに落として後方は飛行船部隊が上から叩くと……。それから、そのポンプ部隊……それ……王都の各消防団から1つづつ出させたものですよね?
「こちらの損害は最小限に、敵側の損害は全滅に。と言うであろう?」
至極ご機嫌にデジレ様が言うけど、そんなの初耳です。“全滅”ではなくて“最大限”なら納得しますけどね。
「ポンプ部隊は盾の外には出るなよ?さぁ、そろそろ彼方も準備が整ったようだ。」
見ると真ん中から一騎が馬で走り出てくる。これも予測済みなので中央部分には馬一騎分の重みは堪えられるように作られているが、そこまでは来ないらしい。
『我こそはポーリシア帝国一の将軍、スワロー伯爵である!』
……知らない初耳だ。
『皇帝陛下の命により、卑劣なる者共を撃ちに参った!こちらの軍勢は2万を越える!』
……いいや、脱走兵が多いぞ?数えてみろ2万切ってる。
『直ぐ様降伏すれば皇帝陛下の慈悲の下、丁重に扱ってやろう!』
ここで少し前進して此方を眺め……もう一度見てる。空を仰いでもう一度……。明らかに2つの旗を凝視してる。自軍の方を向いて……また此方を見て……おいおい、露骨に狼狽えるな。
「使者を出してやれ」
という提督の声にこちらから使者を出してやると、なにやら話し出した。そして……兜を外して剣を外して馬にのせ自軍に走らせると、将軍は単身でこちらに来た。
「……降伏する。」
変わり身速っ!
馬に自分は降伏すると書いた紙を持たせたらしい。すごすごと去っていく後ろ姿に哀愁を感じる。なんだろう……この哀れみ。
まぁそうだろうな。降伏した先の男は首筋にキスマークをつけ腰を抱かれ、いとおしげに髪を触られている。もう片方は使者に目もくれず片割れの恋人のみ見ていてどちらも自分に意識が向いていないのは明らかだったもの。
おかげで使者は全ての訴えをローランドになげた。
大丈夫ですよ。命の保証はありますし、捕虜の扱いも悪くはない筈です。故郷の地に帰るのは身代金の支払い後ですけどね?……こちらの扱いがよくて帰らないなんて事無いよね?ちょっと不安になる。
そうこうしているうちにポンプ部隊の準備は整ったようだ。あれは飛行船部隊に矢を放とうとした兵に向けて放水されるものだ。え?水はどこから?私達の陣の後ろに流れる川の水をひいていますよ。
……ええ元は兄上の牧場がポンプの出所です。
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