Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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お迎えが必要

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 お父様へ
このお手紙は補給の島で書いています。本当ならお手紙をだす日じゃないけどどうしても書かないといけなかったので書きました。そして爺やの知ってる特別な方法でお父様にすぐに届くようにしてくれました。
お父様、お迎えに来てください。お母様がすごく大変な事になってます。南の島を出発するときお兄様とお母様ご自身を金属の紐で結びました。鍵は前の日に船に積み込んだ荷物に入れたというので取れなくて夜になるまでずっと一緒にいました。
 お兄様はトイレ行くのも大変だと怒ってましたがお母様は大丈夫大丈夫とご機嫌でした。

 お父様、お母様は寂しいのだと思います。だからお願いします。         リリーより



 リリーより相談を受けた爺は確かにストッパーの必要性を考えた。行きの行程ではあまり大きな問題はなく帰りも何事もなくすむのではと期待はしたのだがノエルにとってアンリが離れるという事態は周りが考えていたよりずっと深刻な問題だったらしい。流石の爺でもノエルの今朝の行動は予測していなかった。手をずっと繋いでいるとか自分を張り付かせ見張らせるくらいだとおもっていた。ところが実際は物理的に繋いで離れさせなくした。トイレやシャワーの不便さはノエルにとっては何ら問題無い事だったらしい。
 自分やアンリにそれを言われても「何を言ってるの?さんざんオムツ代えてるのに?お風呂も入れてあげたもの。」と言って効かない。親子のためにアンリはαだからという理由は無く、船にのって鍵を探しだすまで時間がかかった。

 アンリはこの事態に起きた直後はパニックになったが落ち着くと怒りノエルに喰ってかかったが、大粒の涙を流されると弱くなり泣き止まそうと必死になった。
 丈夫な縄を使い、船に戻らなければ切れない様にし、鍵も最初から船に置くことでどちらにせよ船までの我慢だと思わせるという自分からの説得は効果が薄れる様にするという、およそΩの考えとは思わないような行動の周到さは本当に舌を巻いた。

 自分の手下である闇の者にリリーからの手紙と自分からの手紙を渡して一番早い方法で届けさせる。それは意外な事に船ではなくて陸からのものだった。日に夜を繋いで何人もの闇の者を中継し馬を走らせる。特殊な抜け道を使うため手紙は4日後には到着した。


 テラスで海を眺め、今頃ノエル達はどうしているだろうと思いを馳せていたアーノルドの元に鷹が突っ込んできた。あわてて座っていた椅子のクッションを腕にあてがい鷹を留まらせる。全速力で飛ばされたのだろう、疲れた様子の鷹に自分のお茶をテラスに捨てポットの水を注ぎ口許に持っていけば鷹はゴクゴクと飲み、羽を緩めた。
 足の筒をとり、中を見たアーノルドは机に突っ伏してしまった。爺からかと思っていたがまさか幼い娘が『お迎えが必要です』と言う事態になろうは思っていなかった。

 「幼子に何を言わせてるんだノエル」と大きなため息と共にすぐに行動を……とならなければいけないのにアーノルドは顔がニヨニヨしてしまっていた。
(そ~かそ~か、ノエルは私がいない寂しさで子供に寄りかかってしまったんだね。)と頭に花を咲かせながら執事を呼んだ。
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