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35話 絶対に落とす
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「うはぁ~~眠っ……」
朝の7時。蓮はベッドの上でうとうとしながらも、なんとか体を起こして洗面所に向かった。
莉愛に料理することの許可をもらってから、蓮はほとんど毎日のように料理をしていた。
莉愛はあまり料理が得意じゃないから、仕方なく自分がやるしかないのだ。といっても、料理は純粋に好きだし……それに。
「……ふぅ」
ちゃんと美味しいものを、あいつに食べさせてあげたいし。
一人でいた時だったら、ここまで料理することはなかったと思う。
しかし、莉愛と一緒に住み始めてからは、料理をする頻度がぐっと上がった。
「……バカだよな、俺も」
未だに吹っ切れてないからな。本当バカかよ……。
濡れた自分の顔を鏡で見つめながら、蓮は苦笑する。さて、今日もお弁当作りますか。
そう思って、蓮がリビングに続くドアを開けた瞬間―――
「あれ?」
「……おはよう」
何故か、そこには白いエプロン姿の莉愛が立っていて。
蓮はつい、ぽかんと口を開くしかなくなった。
「えっ……?君、なんで……」
「単純に眠れないから。この二日間、飽きるくらい寝ちゃったし……それに、私もなにか恩返ししなきゃって思うし」
「いやいや、恩返しって!病人がなに言ってるんですか~?さっさと部屋にあがって寝なさい!!」
「熱はもう全部下がったよ?私、もう咳も出てないけど?」
「まだ100%治ったとは言い切れないだろ!?ほら、早く寝て―――」
「いつもこの時間に起きてるの?」
寝るつもりは全くないのか、莉愛は連の言葉を無視して質問を投げる。
蓮は眉根をひそめたけど、仕方ないとばかりにため息をついた。
「ああ、そうだよ。弁当作る時には大体」
「……毎日ってことだよね、それ?毎日弁当作ってくれてるから」
「いや、違うよ?君が学校休んでた時には普通に購買のパンで――――――あっ」
「…………」
購買のパン、まで言ったとき、蓮は自分の過ちに気づいてしまった。
そう。自分は莉愛が休んだから、弁当を作らなかったと言ったのだ。
裏を返せば、それは莉愛のために弁当を作ってるって意味にも捉えられて。
そして、実際にもそれで正解だった。
蓮は莉愛のために、早起きして弁当を作っているから。
「ああ~~えっ、と……今のはナシ」
「……」
「なしだからな?ほら、綺麗さっぱりに忘れて、今すぐ部屋にあがって大人しくベッドに入るように。分かりましたか、莉愛さん?」
「……絶対に忘れない」
「……なんでだよ」
「忘れられるはず、ないじゃん」
莉愛は本気で、蓮のことが理解できなくなった。
なんなの、この男……?口では他の男を探せとか平然と言うくせに、なんでここまで尽くしてくれるの?
やっぱり、あなただって私と同じじゃん。なのに怖がって、逃げてばっかで……本当に、もう。
「……ああ~~また空気がおかしくなってきた。ほら、早く部屋に帰って寝な?」
「私、もう熱下がった。触ってみる?」
「莉愛さん、女の子がそういうこと言っちゃだめですよ?」
「……昔は私の体、隅々まで触ってたくせに」
「……………………………………………」
「ほら、触ってよ」
莉愛は堂々と蓮に近づいて、彼の手を取って自分のおでこにあてさせる。
確かに、昨日まで感じられた熱はほとんどなくなっていた。
体温計で熱も測っているはずだし、元気なのは事実だろう。
しかし、問題はそこじゃない。そこじゃなくなった。
「な、なに平然と手握ってるんだよ……!?」
「なに?熱下がったって信じないからこうするだけなんだけど?」
「いや、だからって……!きょ、距離感おかしいって!ほら、早く離れて―――」
「もうやだ」
体を引こうとする蓮を、莉愛は言葉一つで簡単に止まらせる。
いや、言葉じゃなかった。莉愛の顔が、莉愛の眼差しが蓮を縛って、離れなくさせる。
音楽準備室でキスされた、あの時みたいに。
莉愛は、ぐっと体を寄せて蓮を見上げる。
「もう嫌なの。私、我慢しようとしたよ?精一杯あなたから離れようともしたし、友達としてずっと接していくつもりだったよ?」
「莉………愛」
「でも、あなたが……!あなたがすべて、壊すじゃん!我慢しようとしたのに、束縛しないように、友達でいられるように気持ち押し殺したのに、あなたがいつもダメにするから!」
「いや、俺はなにもやってな―――」
「ライブの時、私を見て歌ったじゃない!!」
それから、莉愛の声は段々と大きくなっていく。
「練習の時もそうだった。わざと私の目の前でラブソング歌って、たまに私をちらちら見てて。ライブの時にはもうずっと私のことしか見てなかったし、音楽準備室でキスされたら押し返すところか、抱きしめようとしたし!」
「ちょっ、莉愛……!」
「毎朝早起きして、私のためだけに弁当作るし。私が寝ている時にこっそり部屋に入って、私の幸せを優先するとか平気に言っちゃうし!!なに、なんなの?私がいつ爆発するか試しているの!?」
「そんなんじゃない!ていうか昨日、お、起きてたのかよ……!?」
「そりゃ起きるでしょ!!そんなに優しく撫でられたら、誰だって起きるわよ!」
莉愛はもう半ば泣きそうな表情をして、抗議するように彼を見上げた。
「私、もう知らない。これは線を守れなかったあなたが悪いから」
「っ……!そ、それを言うならそっちだって!急にキスするとか好きって言うとか、一体なに考えてるんだよ!?」
「当たり前なことを言っただけだもん!」
当たり前、という単語を聞いて蓮はぽかんと口を開けてしまう。
莉愛はもう我慢できないとばかりに、蓮の頬に両手を添えながら言った。
「当たり前じゃん!ずっと好きだったから!物心ついた時からずっと、ずっとずっとずっとず~~っと好きだったから!別れて一晩中泣いて夜更かししたその時でさえ好きだったから!」
「………………………莉、愛」
「もうダメ、あなたが悪い」
「あ、ちょっ―――」
それからやや乱暴に唇を塞がれて、蓮はまたもや目を見開く。
ちゃんとリップを塗ったのか、莉愛の唇は柔らかくて、暖かい。記憶にある通りの感触だ。
ずっと欲しかったキスで、これからもずっと欲しがるはずのキス。
それをされたら、頭はもう真っ白になってしまう。
唇を離した後にも、蓮はなにが起きたのか見当がついてない顔だった。
莉愛は、そのぼうっとしている元カレに――いや。
世界一好きな人で、自分の未来の旦那になる人に。
莉愛は、宣戦布告をするように言う。
「絶対に、落とす」
「…………」
「何があっても絶対に落とす。あの夢―――私たちが結婚したその夢通りに、してやるから」
何故だろう。その言葉を聞いて拒絶しなければいけないというのに。
蓮の心臓は、思考とは関係なしにまた暴れ始めてしまった。
朝の7時。蓮はベッドの上でうとうとしながらも、なんとか体を起こして洗面所に向かった。
莉愛に料理することの許可をもらってから、蓮はほとんど毎日のように料理をしていた。
莉愛はあまり料理が得意じゃないから、仕方なく自分がやるしかないのだ。といっても、料理は純粋に好きだし……それに。
「……ふぅ」
ちゃんと美味しいものを、あいつに食べさせてあげたいし。
一人でいた時だったら、ここまで料理することはなかったと思う。
しかし、莉愛と一緒に住み始めてからは、料理をする頻度がぐっと上がった。
「……バカだよな、俺も」
未だに吹っ切れてないからな。本当バカかよ……。
濡れた自分の顔を鏡で見つめながら、蓮は苦笑する。さて、今日もお弁当作りますか。
そう思って、蓮がリビングに続くドアを開けた瞬間―――
「あれ?」
「……おはよう」
何故か、そこには白いエプロン姿の莉愛が立っていて。
蓮はつい、ぽかんと口を開くしかなくなった。
「えっ……?君、なんで……」
「単純に眠れないから。この二日間、飽きるくらい寝ちゃったし……それに、私もなにか恩返ししなきゃって思うし」
「いやいや、恩返しって!病人がなに言ってるんですか~?さっさと部屋にあがって寝なさい!!」
「熱はもう全部下がったよ?私、もう咳も出てないけど?」
「まだ100%治ったとは言い切れないだろ!?ほら、早く寝て―――」
「いつもこの時間に起きてるの?」
寝るつもりは全くないのか、莉愛は連の言葉を無視して質問を投げる。
蓮は眉根をひそめたけど、仕方ないとばかりにため息をついた。
「ああ、そうだよ。弁当作る時には大体」
「……毎日ってことだよね、それ?毎日弁当作ってくれてるから」
「いや、違うよ?君が学校休んでた時には普通に購買のパンで――――――あっ」
「…………」
購買のパン、まで言ったとき、蓮は自分の過ちに気づいてしまった。
そう。自分は莉愛が休んだから、弁当を作らなかったと言ったのだ。
裏を返せば、それは莉愛のために弁当を作ってるって意味にも捉えられて。
そして、実際にもそれで正解だった。
蓮は莉愛のために、早起きして弁当を作っているから。
「ああ~~えっ、と……今のはナシ」
「……」
「なしだからな?ほら、綺麗さっぱりに忘れて、今すぐ部屋にあがって大人しくベッドに入るように。分かりましたか、莉愛さん?」
「……絶対に忘れない」
「……なんでだよ」
「忘れられるはず、ないじゃん」
莉愛は本気で、蓮のことが理解できなくなった。
なんなの、この男……?口では他の男を探せとか平然と言うくせに、なんでここまで尽くしてくれるの?
やっぱり、あなただって私と同じじゃん。なのに怖がって、逃げてばっかで……本当に、もう。
「……ああ~~また空気がおかしくなってきた。ほら、早く部屋に帰って寝な?」
「私、もう熱下がった。触ってみる?」
「莉愛さん、女の子がそういうこと言っちゃだめですよ?」
「……昔は私の体、隅々まで触ってたくせに」
「……………………………………………」
「ほら、触ってよ」
莉愛は堂々と蓮に近づいて、彼の手を取って自分のおでこにあてさせる。
確かに、昨日まで感じられた熱はほとんどなくなっていた。
体温計で熱も測っているはずだし、元気なのは事実だろう。
しかし、問題はそこじゃない。そこじゃなくなった。
「な、なに平然と手握ってるんだよ……!?」
「なに?熱下がったって信じないからこうするだけなんだけど?」
「いや、だからって……!きょ、距離感おかしいって!ほら、早く離れて―――」
「もうやだ」
体を引こうとする蓮を、莉愛は言葉一つで簡単に止まらせる。
いや、言葉じゃなかった。莉愛の顔が、莉愛の眼差しが蓮を縛って、離れなくさせる。
音楽準備室でキスされた、あの時みたいに。
莉愛は、ぐっと体を寄せて蓮を見上げる。
「もう嫌なの。私、我慢しようとしたよ?精一杯あなたから離れようともしたし、友達としてずっと接していくつもりだったよ?」
「莉………愛」
「でも、あなたが……!あなたがすべて、壊すじゃん!我慢しようとしたのに、束縛しないように、友達でいられるように気持ち押し殺したのに、あなたがいつもダメにするから!」
「いや、俺はなにもやってな―――」
「ライブの時、私を見て歌ったじゃない!!」
それから、莉愛の声は段々と大きくなっていく。
「練習の時もそうだった。わざと私の目の前でラブソング歌って、たまに私をちらちら見てて。ライブの時にはもうずっと私のことしか見てなかったし、音楽準備室でキスされたら押し返すところか、抱きしめようとしたし!」
「ちょっ、莉愛……!」
「毎朝早起きして、私のためだけに弁当作るし。私が寝ている時にこっそり部屋に入って、私の幸せを優先するとか平気に言っちゃうし!!なに、なんなの?私がいつ爆発するか試しているの!?」
「そんなんじゃない!ていうか昨日、お、起きてたのかよ……!?」
「そりゃ起きるでしょ!!そんなに優しく撫でられたら、誰だって起きるわよ!」
莉愛はもう半ば泣きそうな表情をして、抗議するように彼を見上げた。
「私、もう知らない。これは線を守れなかったあなたが悪いから」
「っ……!そ、それを言うならそっちだって!急にキスするとか好きって言うとか、一体なに考えてるんだよ!?」
「当たり前なことを言っただけだもん!」
当たり前、という単語を聞いて蓮はぽかんと口を開けてしまう。
莉愛はもう我慢できないとばかりに、蓮の頬に両手を添えながら言った。
「当たり前じゃん!ずっと好きだったから!物心ついた時からずっと、ずっとずっとずっとず~~っと好きだったから!別れて一晩中泣いて夜更かししたその時でさえ好きだったから!」
「………………………莉、愛」
「もうダメ、あなたが悪い」
「あ、ちょっ―――」
それからやや乱暴に唇を塞がれて、蓮はまたもや目を見開く。
ちゃんとリップを塗ったのか、莉愛の唇は柔らかくて、暖かい。記憶にある通りの感触だ。
ずっと欲しかったキスで、これからもずっと欲しがるはずのキス。
それをされたら、頭はもう真っ白になってしまう。
唇を離した後にも、蓮はなにが起きたのか見当がついてない顔だった。
莉愛は、そのぼうっとしている元カレに――いや。
世界一好きな人で、自分の未来の旦那になる人に。
莉愛は、宣戦布告をするように言う。
「絶対に、落とす」
「…………」
「何があっても絶対に落とす。あの夢―――私たちが結婚したその夢通りに、してやるから」
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