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第二章 人々の思惑
第2話 櫻井家の人々
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櫻井家の人々は困惑していた。
それは白金家に嫁いだ娘、麗羅が持って来た『浮気調査報告書』であった。
麗羅の夫である貴生は、結婚前から付き合っている須磨皐月という女と結婚後も同棲しており、皐月との間には百合香と同じ年の女児までいるという。
皐月は貴生の会社で秘書業務をしていて、毎日一緒に出勤退社をしているとの事だった。
麗羅は、結婚前から裏切っている貴生に浮気の事実を突き付け離婚したいと言っていた。
麗羅の父親と兄は、顧問弁護士の連城先生に連絡を取り、離婚調停に勝てる証拠を集める事にした。
先ず、貴生の会社の筆頭株主であった、麗羅の父 兼近は、持ち株を徐々にまた秘密裏の元、あるM&Aに売る。
麗羅は、自宅の貴生の書斎に盗聴器とカメラを仕込む。
連城弁護士の妻は、探偵事務所に勤めていた経験を活かし、貴生の会社に潜り込み社長室や貴生の鞄等に盗聴器をしかけ、それらから聞こえる音声を録音する。
等、それぞれが担当を担い優位に離婚に持ち込む為の行動を始めた。
そんな中
過度のストレスに晒された事が原因で、麗羅は娘の百合香が10歳の時突然倒れ、呆気なくこの世を去ってしまった。
今際の際で、麗羅は計画の続行と残していく百合香の身の安全を懇願した。
兼近達は、最後まで計画をやり遂げる事、百合香を守り幸せにする事を誓い、麗羅を送った。
夫である貴生と言えば、通夜は顔を出しただけ、また葬儀は愛人の皐月を伴い参列したばかりか、皐月を親族席に座らせた事で、櫻井家の人々は怒り心頭。
絶対に貴生を社会的に抹消してやる決意を新たに固める事になったのだ。
それから5年後
白金家の家に、貴生は皐月と桃花を迎え入れ皐月と再婚。なにかと百合香を迫害するようになった。
何かといえば「お前は陰気だ。桃花を見習え。」と言葉のDVを行う様になる。
いつしか百合香は、実の父親から与えられる【愛情】とは真逆の【暴力】に対し、悲しみより憎しみを覚えるようになった。そして学園高等部を卒業する頃になると、「大学卒業後に父親を捨てる決意をした」と聞いた麗羅の兄で百合香の伯父にあたる櫻井柊は、百合香を養女として櫻井家に連れ戻す為動き始めた。
養子縁組が無理であった場合は、後見人となってもいい。
麗羅を白金貴生から取り返せなかった 柊は、せめて可愛い妹の忘れ形見である百合香に、幼い頃に見せたあの愛くるしい笑顔で心から笑わせてあげたいと願うのだった。
「麗羅、見ていてくれ。兄様は、必ず百合香を守りきる。そしてお前がなし得なかった『幸せな結婚生活』を百合香におくらせてやるからな。」
櫻井柊は、墓の中で静かに眠る妹に、手を合わせ誓った。
それは白金家に嫁いだ娘、麗羅が持って来た『浮気調査報告書』であった。
麗羅の夫である貴生は、結婚前から付き合っている須磨皐月という女と結婚後も同棲しており、皐月との間には百合香と同じ年の女児までいるという。
皐月は貴生の会社で秘書業務をしていて、毎日一緒に出勤退社をしているとの事だった。
麗羅は、結婚前から裏切っている貴生に浮気の事実を突き付け離婚したいと言っていた。
麗羅の父親と兄は、顧問弁護士の連城先生に連絡を取り、離婚調停に勝てる証拠を集める事にした。
先ず、貴生の会社の筆頭株主であった、麗羅の父 兼近は、持ち株を徐々にまた秘密裏の元、あるM&Aに売る。
麗羅は、自宅の貴生の書斎に盗聴器とカメラを仕込む。
連城弁護士の妻は、探偵事務所に勤めていた経験を活かし、貴生の会社に潜り込み社長室や貴生の鞄等に盗聴器をしかけ、それらから聞こえる音声を録音する。
等、それぞれが担当を担い優位に離婚に持ち込む為の行動を始めた。
そんな中
過度のストレスに晒された事が原因で、麗羅は娘の百合香が10歳の時突然倒れ、呆気なくこの世を去ってしまった。
今際の際で、麗羅は計画の続行と残していく百合香の身の安全を懇願した。
兼近達は、最後まで計画をやり遂げる事、百合香を守り幸せにする事を誓い、麗羅を送った。
夫である貴生と言えば、通夜は顔を出しただけ、また葬儀は愛人の皐月を伴い参列したばかりか、皐月を親族席に座らせた事で、櫻井家の人々は怒り心頭。
絶対に貴生を社会的に抹消してやる決意を新たに固める事になったのだ。
それから5年後
白金家の家に、貴生は皐月と桃花を迎え入れ皐月と再婚。なにかと百合香を迫害するようになった。
何かといえば「お前は陰気だ。桃花を見習え。」と言葉のDVを行う様になる。
いつしか百合香は、実の父親から与えられる【愛情】とは真逆の【暴力】に対し、悲しみより憎しみを覚えるようになった。そして学園高等部を卒業する頃になると、「大学卒業後に父親を捨てる決意をした」と聞いた麗羅の兄で百合香の伯父にあたる櫻井柊は、百合香を養女として櫻井家に連れ戻す為動き始めた。
養子縁組が無理であった場合は、後見人となってもいい。
麗羅を白金貴生から取り返せなかった 柊は、せめて可愛い妹の忘れ形見である百合香に、幼い頃に見せたあの愛くるしい笑顔で心から笑わせてあげたいと願うのだった。
「麗羅、見ていてくれ。兄様は、必ず百合香を守りきる。そしてお前がなし得なかった『幸せな結婚生活』を百合香におくらせてやるからな。」
櫻井柊は、墓の中で静かに眠る妹に、手を合わせ誓った。
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