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第二章 逆行~幼少期〜

第十話 未来を変える出逢い 5(謝恩会)

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冬休みも残り2日となった朝。
のんびり過ごす予定だったのに、蓋を開けてみればアクティブで楽しい時間を過ごしたものね。と姫菜子は思った。

心無しか?少し日焼けをして健康的になったし、何よりも性格が明るくなった。

「自分の意見をしっかり言わないと、アメリカ人、いや 外国人とは仲良く出来ないよ。」

と旭陽に言われた為、片言でも意見を言うように努めた結果、子供達は姫菜子の意見も取り入れてくれるようになり、彼女を認めてくれるようにもなった。

今日の夜は、このホテルの会場を借りて、お世話になった方々を招いて、謝恩会を開く事になっている。

前の生では、陽子によって失った友達だったが、やり直しの生において、此処ハワイにまで姫菜子の友達がいる事を陽子は知らない。
陽子が現れても知られないようにしたらいいし、万が一知られたとしても、彼等との連絡手段が分からなければ、陽子に奪われる恐れは無いと言えるだろう。

姫菜子は、(やっと1つ、奪われる事が無いモノを手に入れられたわね。でも気を抜いたらだめよね。これからも慎重に参りましょう。)と心に留めた。

謝恩会に来てくれた人達は、大人達は皆 口々に 

「I miss you,Hina.」

と言ってくれ、また子供達は、各々が思考を凝らしたプレゼントと、自分の親に許可を得たメールアドレスを手紙に書き、姫菜子に渡した。

また姫菜子からも、子供達全員にそれぞれの名前を織り込んだミサンガと自身のメールアドレスを書いた手紙を渡した。

「Come to Hawaii every time Japanese school is a long vacation. OK?(日本の学校が休みの時は、毎回こっちに来いよ。)」

言われた時は、流石に毎回はちょっと……と怯んでしまった姫菜子だったが、

「I can't promise, but I'll do my best.」

と答えるに留まった。
だが、旭陽から

「Whatever happens now, we'll be best friends for the rest of our lives. Isn't that right?(これから何が起きても、俺たちは親友だ。だからいつも心はお互いの傍にいる。そうだろ?)」

とミサンガを手首に巻いた左手を前に出した事で、他の子供達も同じ様に左手を前に出した。
そして、旭陽が姫菜子の手を自分達の手の上に乗せ、

「「We'll be best friends for the rest of our lives.(僕達は一生親友だ。)」」

と子供達に言われた時、姫菜子の涙腺 
崩壊した。

「ありがとう。ありがとう。本当に、本当に嬉しい。皆大好きよ!」

と思わず日本語で言ってしまう位、姫菜子は嬉しかった。

ハワイに来て良かった。
この子達に出逢えて良かった。
父様、本当にありがとうございます。

姫菜子は慎也に抱き着いて思い切り泣いた。
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