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27 ベヒモス周期?  AI画アリ

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 さて。

 場所と時間は現在に戻り、辺境伯領邸の執務室。

 青黒の例のネーミングがヤバくて丸っこい魔道具の中に納まったベヒモスをどうするかで悩んでいる最中だ。


 「現在、魔石の採掘量は確かに減少傾向にありますからベヒモスのように土から魔石を生むであろう魔物は貴重ではありますが・・・」


 シルファがそう言いながら首を傾げる。


 「デカイんだよなアイツ」


 アジェスが嫌そうに眉を寄せ肩を竦める。


 「俺も初めて見たけど、この執務室の半分位はあるぞ? それでも小さいらしい」


 その言葉に小隊長と魔術師がコクコクと赤ベコのように首を縦に振る。


 「私は随分若い頃に1度だけ遭遇しましたが、大きさはこの辺境伯邸位でしたよ」


 ――城じゃねえか・・・ 


 シルファ以外の全員の顔が引き攣る。


 「恐らくそれが成体の標準サイズです。ただ、どの魔物にもありがちですが生態系は謎ですのでもっと大きな個体も存在する可能性もあります」


 ――冗談じゃないよ・・・ と全員が更に渋顔になる。


 「色々な文献を調べたのですが、同時期にベヒモスが複数確認されたという記述は見つかりませんでした。先程隊長の言っていたベヒモスはおよそ30年くらい前の個体ですが当時も単体しか確認できていません」


 ん? とソフィアが気がついた。


 「つまり? 復数は存在しないってこと?」

 「そういう事だね。討伐された記録もなくある日突然姿を消すんだ」


 そう言いながらシルファが胸元の合わせ目から薄っぺらい巻物のようなものをヒョイと取り出した。


 「周期的に突然現れて突然消える魔物なんだよ。神が作った魔物っていう伝説もその辺りから来てるみたいで」


 突然巻物を執務机の上にバッと広げたため、全員が彼の手元を思わず覗き込む。

 それはベヒモスが発見された場所と王国歴、そして見失った場所が書き込んである手書きの年表。


 「最大級といわれる城サイズの個体が確認されてるのは約30年毎、で」


 彼の人差し指は手書きの年表の一箇所を示した。


 「消えたってされてる地点に純度の高い魔石が大量に発見されてるんだ」


 指先でトントンと、軽い音をさせた部分は空白で王国暦の今年の数字だけが書かれていた。


 「場所はどうあれ今年辺りベヒモスが現れる可能性が高かったって事?」


 「そういう事だね」


 「魔石を生む魔物かぁ」


 横目でちらりと婚約者に視線を送った後で


 「知性がある魔物だといいんだけどね?」


 何かを目論むように微笑む婚約者ソフィアの顔を見て、心の中で1人でやに下がる王太子シルファである。


 但し彼の顔にはそんな表情は絶対に出ない―― これぞ◯川五◯衛門(ソフィアの理想の男)になるための修業の賜物である。











 



ソフィア・レイド・グレーン嬢
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