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32 通過儀礼は拳?
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「だって、性別はないんだから自由な名前でいいじゃないの?」
首を傾げる美少女に向かい鼻面に若干シワを寄せるベヒモス。
確かに魔獣と違い魔物は性別がない種類が多い。
『確かに自由ではあるだろう。しかしそのネーミングでは威厳がなさすぎぬか?』
――ベヒモスは一応伝説の魔物である。
「親しみやすくて呼び易い名前がいいじゃないの。ごっつい厳つい名前なんか戦闘中に呼んでる暇ないわよッ」
『・・・ 確かに一理あるな』
――一理あるんかいッ!?
思わず驚いた顔になるアジェス。
そして片方の眉が下がるシルファ王子。
多分だが、戦闘中に『♡』マークの付いた自分以外の名前を呼ぶソフィアを想像して気分を害しているに違いない・・・・
「だから『チャッピー♡』でいいじゃん」
思わず握っている杖に力が込められて魔力が増幅していくのが目に見えて分かる。
『もう少しマシな名前は考えつかぬのか?』
見えない井桁マークが額に浮かぶ『チャッピー♡』予定のベヒモス・・・
こちらもどんどん不穏な魔力が増幅中。
「え、もしかして・・・」
「・・・」
黙ったままシルファが自分達とソフィア達の間に透明で強固な障壁を魔術で瞬時に構築した――
×××
先制はソフィア。
杖の先から大量の水の気を纏ったランスが生み出されて大きな体躯の的を狙い、時間差で発射されていく。
それに対して土魔法を瞬時に発動させ、大きな皿のような盾で全てを防いでいくベヒモス。
「だからッ! 可愛くていいって言ってるじゃんッ!」
『気に入らぬと言っているであろうがッ』
「主と認めるんなら、名付けに逆らうのはマナー違反よッ」
『テイムされてやってもいいとは言ったが、まだ主とは認めておらぬわッ!!』
1人と1匹の攻防が続く中、地面の上で胡座を組んで呆れ顔で眺めるアジェスと、透明な障壁を宙に浮かせその上に正座をして何処からともなく出して来た日本茶を湯呑みで啜るシルファ王子。
「名前であそこまで熱くなるもんかねえ~」
「お互いに譲れぬ矜持なのだろうな。せめて『♡』がなければ、俺はチャッピーでも何でも良いのだが」
その言葉に思わず王子の顔を2度見する。
――あ~『♡』がついてるとダメなのね・・・
ベヒモスの名付けに関しては傍観に徹することを決めたアジェスだった・・・・
×××
『・・・ 分かった。チャッピーで手を打とう』
「分かればいいのよ。つまり『♡』が付くのがイヤなのね」
闘技場のど真ん中で頭にデッカイたんこぶを作ったベヒモスがお座り状態で頷いた。
結局魔法を連射しているうちに面倒になった――魔法理論を考える癖が災いしたらしい―― ソフィアが、身体強化でベヒモスをぶん殴って勝利したのだが・・・
「最初から話し合いで解決したんじゃね―の?」
「まぁ、そうだろうな」
安全地帯から2人の従兄弟が、肩で息をするソフィアとベヒモスを見比べながらため息を付いた。
かくして。
絶滅が危惧? されている疑いのある魔物ベヒモス『チャッピー』は無事ソフィア嬢の『従魔』になったのである・・・
――テイムの通過儀礼はタンコブ・・・ くどいようだがソフィアは魔法少女である。
首を傾げる美少女に向かい鼻面に若干シワを寄せるベヒモス。
確かに魔獣と違い魔物は性別がない種類が多い。
『確かに自由ではあるだろう。しかしそのネーミングでは威厳がなさすぎぬか?』
――ベヒモスは一応伝説の魔物である。
「親しみやすくて呼び易い名前がいいじゃないの。ごっつい厳つい名前なんか戦闘中に呼んでる暇ないわよッ」
『・・・ 確かに一理あるな』
――一理あるんかいッ!?
思わず驚いた顔になるアジェス。
そして片方の眉が下がるシルファ王子。
多分だが、戦闘中に『♡』マークの付いた自分以外の名前を呼ぶソフィアを想像して気分を害しているに違いない・・・・
「だから『チャッピー♡』でいいじゃん」
思わず握っている杖に力が込められて魔力が増幅していくのが目に見えて分かる。
『もう少しマシな名前は考えつかぬのか?』
見えない井桁マークが額に浮かぶ『チャッピー♡』予定のベヒモス・・・
こちらもどんどん不穏な魔力が増幅中。
「え、もしかして・・・」
「・・・」
黙ったままシルファが自分達とソフィア達の間に透明で強固な障壁を魔術で瞬時に構築した――
×××
先制はソフィア。
杖の先から大量の水の気を纏ったランスが生み出されて大きな体躯の的を狙い、時間差で発射されていく。
それに対して土魔法を瞬時に発動させ、大きな皿のような盾で全てを防いでいくベヒモス。
「だからッ! 可愛くていいって言ってるじゃんッ!」
『気に入らぬと言っているであろうがッ』
「主と認めるんなら、名付けに逆らうのはマナー違反よッ」
『テイムされてやってもいいとは言ったが、まだ主とは認めておらぬわッ!!』
1人と1匹の攻防が続く中、地面の上で胡座を組んで呆れ顔で眺めるアジェスと、透明な障壁を宙に浮かせその上に正座をして何処からともなく出して来た日本茶を湯呑みで啜るシルファ王子。
「名前であそこまで熱くなるもんかねえ~」
「お互いに譲れぬ矜持なのだろうな。せめて『♡』がなければ、俺はチャッピーでも何でも良いのだが」
その言葉に思わず王子の顔を2度見する。
――あ~『♡』がついてるとダメなのね・・・
ベヒモスの名付けに関しては傍観に徹することを決めたアジェスだった・・・・
×××
『・・・ 分かった。チャッピーで手を打とう』
「分かればいいのよ。つまり『♡』が付くのがイヤなのね」
闘技場のど真ん中で頭にデッカイたんこぶを作ったベヒモスがお座り状態で頷いた。
結局魔法を連射しているうちに面倒になった――魔法理論を考える癖が災いしたらしい―― ソフィアが、身体強化でベヒモスをぶん殴って勝利したのだが・・・
「最初から話し合いで解決したんじゃね―の?」
「まぁ、そうだろうな」
安全地帯から2人の従兄弟が、肩で息をするソフィアとベヒモスを見比べながらため息を付いた。
かくして。
絶滅が危惧? されている疑いのある魔物ベヒモス『チャッピー』は無事ソフィア嬢の『従魔』になったのである・・・
――テイムの通過儀礼はタンコブ・・・ くどいようだがソフィアは魔法少女である。
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