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18.平凡な私が
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「ゼルート様、私との婚約の話は本気なのですか?」
「え? ええ、もちろん、本気ですよ」
「どうして、そんなことを……」
ゼルート様からの婚約の申し出というものは、私にとっては驚くべきものだった。
優秀なリメルナが相手ならわかるのだが、私なんかと婚約しても良いことなんてない。
それなのに求婚してきた彼には、驚きを隠せなかった。それを持ち掛けられてから、ずっと困惑している。
今日彼と話をするのは、それについて決着をつけるためだ。この際だから、全てを洗いざらい話してもらうとしよう。
「僕がラルーナ嬢に好意を抱いているということで納得できませんか?」
「こ、好意って、そんな訳が……」
「ない、と言い切りられると、少々傷ついてしまいますね」
「で、ですが、私達はただのクラスメイトでしかありませんし……」
ゼルート様の言葉が、私はあまり信じられなかった。
私と彼との関係というものは、今回の事件まで希薄であった。クラスメイトではあったが、それ以上でもそれ以下でもない。そのような相手に好意を抱くものだろうか。
「私はこれといって特徴という特徴もありません」
「そのようなことはありませんよ。ラルーナ嬢は、気丈な女性です。厳しい立場に立たされながらも、しっかりとその足で立っているあなたのことを、僕は尊敬していました」
「リメルナやフェルトさんとの繋がりなどを考えているのですか?」
「最初に気に掛けるようになったきっかけは、確かにリメルナ嬢にあるかもしれません。彼女と知り合いだったからあなたを知りました。ですが、婚約したいと思ったことにそれは関係ありません」
ゼルート様は、私がリメルナと比較されて批判されてもめげないことなどを、言っているのだろう。それは確かに、見ようによっては強い人と言えるかもしれない。
ただ私は、それをすごいことなどとは思っていなかった。結果的にそうなっているだけだからだ。
とはいえ、そういった点についてゼルート様が好感を抱いてくれたというなら、それは素直に喜ぶべきことかもしれない。
段々と冷静になった私は、今回の問題が単純なものだったということを理解した。
ゼルート様が好意を抱いたから、婚約を申し込んでいる。ただそれだけのことなのだろう。そうやって考えていくと、急に顔が赤くなってしまった。
「その、本当に私でよろしいのですか?」
「ええ、もちろんです」
「そ、それならよろしくお願いします……」
私は、ゼルート様の婚約を受け入れることにした。
実の所、最初から迷うようなことではなかったといえる。ゼルート様は、公爵家の令息であり、本人も好感が持てる人だ。
そんな彼に対して、不満がある訳もない。理由がわかった今、断る理由などないのである。
「こちらこそよろしくお願いします」
「は、はい……」
こうして私の身の周りで起こった奇妙な事件は解決して、私はゼルート様という婚約者まで得ることができた。
色々とあったが、結果的には丸く収まったといえる。それに安心しながら、私は笑みを浮かべるのだった。
END
「え? ええ、もちろん、本気ですよ」
「どうして、そんなことを……」
ゼルート様からの婚約の申し出というものは、私にとっては驚くべきものだった。
優秀なリメルナが相手ならわかるのだが、私なんかと婚約しても良いことなんてない。
それなのに求婚してきた彼には、驚きを隠せなかった。それを持ち掛けられてから、ずっと困惑している。
今日彼と話をするのは、それについて決着をつけるためだ。この際だから、全てを洗いざらい話してもらうとしよう。
「僕がラルーナ嬢に好意を抱いているということで納得できませんか?」
「こ、好意って、そんな訳が……」
「ない、と言い切りられると、少々傷ついてしまいますね」
「で、ですが、私達はただのクラスメイトでしかありませんし……」
ゼルート様の言葉が、私はあまり信じられなかった。
私と彼との関係というものは、今回の事件まで希薄であった。クラスメイトではあったが、それ以上でもそれ以下でもない。そのような相手に好意を抱くものだろうか。
「私はこれといって特徴という特徴もありません」
「そのようなことはありませんよ。ラルーナ嬢は、気丈な女性です。厳しい立場に立たされながらも、しっかりとその足で立っているあなたのことを、僕は尊敬していました」
「リメルナやフェルトさんとの繋がりなどを考えているのですか?」
「最初に気に掛けるようになったきっかけは、確かにリメルナ嬢にあるかもしれません。彼女と知り合いだったからあなたを知りました。ですが、婚約したいと思ったことにそれは関係ありません」
ゼルート様は、私がリメルナと比較されて批判されてもめげないことなどを、言っているのだろう。それは確かに、見ようによっては強い人と言えるかもしれない。
ただ私は、それをすごいことなどとは思っていなかった。結果的にそうなっているだけだからだ。
とはいえ、そういった点についてゼルート様が好感を抱いてくれたというなら、それは素直に喜ぶべきことかもしれない。
段々と冷静になった私は、今回の問題が単純なものだったということを理解した。
ゼルート様が好意を抱いたから、婚約を申し込んでいる。ただそれだけのことなのだろう。そうやって考えていくと、急に顔が赤くなってしまった。
「その、本当に私でよろしいのですか?」
「ええ、もちろんです」
「そ、それならよろしくお願いします……」
私は、ゼルート様の婚約を受け入れることにした。
実の所、最初から迷うようなことではなかったといえる。ゼルート様は、公爵家の令息であり、本人も好感が持てる人だ。
そんな彼に対して、不満がある訳もない。理由がわかった今、断る理由などないのである。
「こちらこそよろしくお願いします」
「は、はい……」
こうして私の身の周りで起こった奇妙な事件は解決して、私はゼルート様という婚約者まで得ることができた。
色々とあったが、結果的には丸く収まったといえる。それに安心しながら、私は笑みを浮かべるのだった。
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