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14.逃亡者達
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「クラリアさん、待ってください!」
「……ラーナさん?」
私は、まだ部屋の近くにいたクラリアさんに声をかけた。
すると彼女は、驚いたような顔をする。それは当然だ。いくら解毒剤を渡したからといって、解毒が早すぎる。
「何も言わずに私について来てください。このままアナキシス様に報告したら、きっとあなたはひどい目に合わされるのでしょう?」
「そ、それはそうかもしれませんが……」
「それなら、私と一緒に逃げましょう」
「でも、それではアナキシス様に怪しまれます。私は、すぐに報告に向かうことになっているのですから……」
「いいからついて来てください」
困惑するクラリアさんの手を、私は強引に引っ張った。
細かい問題は、どうだっていいことだ。今私は、彼女と一緒に逃げたいと思っている。重要なのは、それを実現するということだ。
「ラーナさん、なんと無茶なことを……」
「ユーラスさん?」
「暗殺者のメイドを救う必要なんて、どこにあるのか……そう言いたい所ですが、こうなったらもう仕方はありませんね。その人も連れて、逃げましょう」
焦った顔をしたユーラスさんは、早口で私にそう告げてきた。
どうやら彼は、こんな勝手なことをした私を尚も助けてくれるつもりであるようだ。そんな彼には、感謝の気持ちしかない。どれだけ感謝しても、足りないくらいだ。
「ついて来てください。逃走ルートは、既に用意してあります」
「ユーラスさん、本当に何から何までありがとうございます」
「ユーランのような犠牲者を、僕はもう二度と出したくありませんからね……特にあなたのようなお人好しは絶対に助けたいと思ってしまいます」
走り出したユーラスさんは、そう言って笑っていた。
彼は私のことをお人好しと表したが、本当のお人好しは彼の方だ。こんな私にここまで手を貸してくれるなんて、本当にありがたい限りである。
そんなことを思いながら、私は走っていた。後ろからは、まだ困惑した様子のクラリアさんがついて来てくれている。
「どうして私なんかを……」
「あなたは私のことを助けてくれようとしていました。私があなたを助ける理由は、それだけで充分です」
「そんな馬鹿げた理由で……」
「ラーナさんは、そういう人なのですよ。それがわかったから、あなたも刃を振り下ろすことができなかったのではありませんか?」
「そ、それは……」
ユーラスさんの言葉に、クラリアさんは言葉を詰まらせていた。
よくわからないが、彼女は私によって心を動かされていたらしい。
それは少し、嬉しいことではある。ただ喜んでいる場合ではないだろう。今はとにかく、ここから逃げなければならない。
「……ラーナさん?」
私は、まだ部屋の近くにいたクラリアさんに声をかけた。
すると彼女は、驚いたような顔をする。それは当然だ。いくら解毒剤を渡したからといって、解毒が早すぎる。
「何も言わずに私について来てください。このままアナキシス様に報告したら、きっとあなたはひどい目に合わされるのでしょう?」
「そ、それはそうかもしれませんが……」
「それなら、私と一緒に逃げましょう」
「でも、それではアナキシス様に怪しまれます。私は、すぐに報告に向かうことになっているのですから……」
「いいからついて来てください」
困惑するクラリアさんの手を、私は強引に引っ張った。
細かい問題は、どうだっていいことだ。今私は、彼女と一緒に逃げたいと思っている。重要なのは、それを実現するということだ。
「ラーナさん、なんと無茶なことを……」
「ユーラスさん?」
「暗殺者のメイドを救う必要なんて、どこにあるのか……そう言いたい所ですが、こうなったらもう仕方はありませんね。その人も連れて、逃げましょう」
焦った顔をしたユーラスさんは、早口で私にそう告げてきた。
どうやら彼は、こんな勝手なことをした私を尚も助けてくれるつもりであるようだ。そんな彼には、感謝の気持ちしかない。どれだけ感謝しても、足りないくらいだ。
「ついて来てください。逃走ルートは、既に用意してあります」
「ユーラスさん、本当に何から何までありがとうございます」
「ユーランのような犠牲者を、僕はもう二度と出したくありませんからね……特にあなたのようなお人好しは絶対に助けたいと思ってしまいます」
走り出したユーラスさんは、そう言って笑っていた。
彼は私のことをお人好しと表したが、本当のお人好しは彼の方だ。こんな私にここまで手を貸してくれるなんて、本当にありがたい限りである。
そんなことを思いながら、私は走っていた。後ろからは、まだ困惑した様子のクラリアさんがついて来てくれている。
「どうして私なんかを……」
「あなたは私のことを助けてくれようとしていました。私があなたを助ける理由は、それだけで充分です」
「そんな馬鹿げた理由で……」
「ラーナさんは、そういう人なのですよ。それがわかったから、あなたも刃を振り下ろすことができなかったのではありませんか?」
「そ、それは……」
ユーラスさんの言葉に、クラリアさんは言葉を詰まらせていた。
よくわからないが、彼女は私によって心を動かされていたらしい。
それは少し、嬉しいことではある。ただ喜んでいる場合ではないだろう。今はとにかく、ここから逃げなければならない。
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