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7.義理の兄妹として

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「ほ、本当に連れて帰って来たんですか?」
「ええ、そうよ」
「……エルリナ嬢、お邪魔しています」
「ああいえ、どうぞお構いなく……」

 アヴォイル伯爵家に帰って来た私は、シルファルド様とエルリナの元を訪ねていた。
 彼女は、少しだけ引いている。流石に寂しいからとシルファルド様を貸してもらうのは、大胆過ぎる行動だっただろうか。

「こ、この度は姉のわがままのせいで、すみませんね……」
「いえ、僕としてもウルティナさんと一緒に過ごせるということは嬉しいことなので、それについては構いません。もっとも、急な提案だったため驚きましたが……」
「そうですよね。何故でしょうか? その気持ちが、とてもわかります」

 シルファルド様の言葉に、エルリナは力強く頷いていた。
 その光景に、私は思わず笑みを浮かべてしまう。すると妹が、困惑したような顔でこちらを見た。

「どうして笑っているんですか?」
「夫と妹が、仲良くていいって思っていたのよ」
「夫? あの、まだ結婚していませんよね?」
「まあ、何れはそうなる訳だし、細かいことではないかしら」
「そ、そうでしょうか……?」

 エルリナは私の言葉に表情を歪めているが、実際の所問題は何もない。
 私とシルファルド様の関係は良好だ。幼少期の頃からずっと一緒で、それが揺るいだことはない。
 私達の婚約が、覆されることはまずないだろう。私は自信を持って、そういうことができる。

「……もちろん、夫と言われて悪い気はしませんよ。ずっとそうなりたいと、思ってきた訳ですからね」

 エルリナの疑うような視線に、シルファルド様が少し照れながら答えてくれた。
 その言葉には、私も少し照れてしまう。するとエルリナが、また怪訝な顔をする。

「お二人が仲が良いということは知っていましたが、ここまででしたでしょうか……?」
「ええ、それについては僕も少し気になっているんです。なんというか、最近のウルティナさんはいつも増して大胆というか……」
「やっぱりそうなんですか?」

 シルファルド様とエルリナは、またも共感していた。義理の兄妹の中は、すこぶる良好といえるだろう。
 ただ、私としては少し嫉妬もしてしまう。夫にはもっと構って欲しいし、妹のことはもっと可愛がりたい。共感するなら、私も混ぜてもらいたい所だ。

「あ、そうだわ。帰り道でプリンとケーキを買ってきたの。エルリナ、後で食べてね」
「あ、それはありがとうございます……でも、それなら今ここで皆でいただけばいいのではありませんか? えっと、丁度三個ずつあるみたいですし」
「ああいえ、私達の分は別に買ってあるから……」
「え? これ全部、私の、ですか……?」

 私のお土産に、エルリナは少し引いていた。
 彼女はプリンとケーキが好きなので大目に買ってきたのだが、あまり喜んでいないようだ。
 結局、エルリナは私とシルファルド様にそれらを分けてくれた。もしかして、体調でも悪いのだろうか。少し心配である。
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