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7.ベランダの先客
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ルベルス様と一緒に踊り終わった私は、ゆっくりとため息をついていた。
結局彼とは何曲か躍ることになったが、なんというかすごく疲れてしまった。
もちろん、踊りによる疲れはある。だが、疲れた一番の理由はそれではない。
「ルベルス様のあの目……」
踊っている間も少し会話を交わしたが、ルベルス様はその間ずっと私の痣の部分を見ていた。
その視線には、侮蔑などといった負の感情が明らかに込められていた。彼は私に対して、決していい感情などは持っていなかったのである。
そんな彼が、一体どうして私を誘ったのか。
それも中々に気になっている点だ。その意図がわからないというのは、どうにも怖い。
「……あまり考えても、仕方ないのかもしれないけれど」
ルベルス様が何を考えていたのか、それを考える必要があるのかどうかは微妙な所だ。
結局、踊って別れただけである訳だし、そこまで気にする必要はないのかもしれない。
ただ、すぐに気持ちが切り替えられる程に私は落ち着けていなかった。
とりあえず私は、ベランダに出てみることにした。外の空気でも吸えば、多少は落ち着けると思ったのだ。
「あっ……」
ベランダに出て行った私は、そこに先客を見つけた。
もう夜であるため辺りは少し暗いが、そこにいるのは恐らく男性であるだろう。その男性は、柵に手をかけて外の方を見つめている。
一人でいることから、大方彼も私と同じ理由でここにいるのだろうか。
そんな彼に話しかけるかどうかは微妙な所だ。一人でいたいという可能性もあるし、流石に躊躇ってしまう。
「おや……」
私が躊躇っていると、男性がこちらを向いた。
その男性の顔を見て、私は少し驚く。彼の顔が、とても整っていたからだ。
男性に対してこういう言い方をするべきかどうかはわからないが、男性はとても美人である。
かっこいいという感じではなく、思わず見惚れてしまうくらいに綺麗だ。
「……どうかされましたか? なんだか、ぼうっとしているみたいですけれど」
「ああいえ、なんでもありません。えっと、あなたも休憩ですか?」
「ええ、そうですよ。ということは、あなたも同じ理由ですか」
「はい、少し疲れてしまって」
「気持ちはよくわかります。やはりそういう時は、風に当たりたいですよね……」
綺麗な男性は、私に対して笑顔を見せてくれた。
彼からは、特に敵意のようなものは感じられない。私の見た目に対して、特に偏見は持っていないようだ。いや、暗いため見辛いだけかもしれないのだが。
結局彼とは何曲か躍ることになったが、なんというかすごく疲れてしまった。
もちろん、踊りによる疲れはある。だが、疲れた一番の理由はそれではない。
「ルベルス様のあの目……」
踊っている間も少し会話を交わしたが、ルベルス様はその間ずっと私の痣の部分を見ていた。
その視線には、侮蔑などといった負の感情が明らかに込められていた。彼は私に対して、決していい感情などは持っていなかったのである。
そんな彼が、一体どうして私を誘ったのか。
それも中々に気になっている点だ。その意図がわからないというのは、どうにも怖い。
「……あまり考えても、仕方ないのかもしれないけれど」
ルベルス様が何を考えていたのか、それを考える必要があるのかどうかは微妙な所だ。
結局、踊って別れただけである訳だし、そこまで気にする必要はないのかもしれない。
ただ、すぐに気持ちが切り替えられる程に私は落ち着けていなかった。
とりあえず私は、ベランダに出てみることにした。外の空気でも吸えば、多少は落ち着けると思ったのだ。
「あっ……」
ベランダに出て行った私は、そこに先客を見つけた。
もう夜であるため辺りは少し暗いが、そこにいるのは恐らく男性であるだろう。その男性は、柵に手をかけて外の方を見つめている。
一人でいることから、大方彼も私と同じ理由でここにいるのだろうか。
そんな彼に話しかけるかどうかは微妙な所だ。一人でいたいという可能性もあるし、流石に躊躇ってしまう。
「おや……」
私が躊躇っていると、男性がこちらを向いた。
その男性の顔を見て、私は少し驚く。彼の顔が、とても整っていたからだ。
男性に対してこういう言い方をするべきかどうかはわからないが、男性はとても美人である。
かっこいいという感じではなく、思わず見惚れてしまうくらいに綺麗だ。
「……どうかされましたか? なんだか、ぼうっとしているみたいですけれど」
「ああいえ、なんでもありません。えっと、あなたも休憩ですか?」
「ええ、そうですよ。ということは、あなたも同じ理由ですか」
「はい、少し疲れてしまって」
「気持ちはよくわかります。やはりそういう時は、風に当たりたいですよね……」
綺麗な男性は、私に対して笑顔を見せてくれた。
彼からは、特に敵意のようなものは感じられない。私の見た目に対して、特に偏見は持っていないようだ。いや、暗いため見辛いだけかもしれないのだが。
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