公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗

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特別な存在(イルフェア視点)

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 あれは、良く晴れた日のことだった。遠くにある小さな村から、一人の少女が家にやって来たのだ。
 その少女の名前は、ルネリア。私の腹違いの妹である。

「……特別か」

 鏡の前で、私はゆっくりと呟いていた。
 先日、私はルネリアにつけられた。なんでも、貴族の立ち振る舞いを学びたかったらしい。
 後で兄弟達のこともつけていため、それが本当かどうかは怪しい所だ。
 ただ、その辺りのことはアルーグお兄様が大丈夫だと言っていた。ということは、特に問題はないだろう。

「そんなに特別なのかしらね……」

 問題は、私がルネリアに言われた言葉の方だった。
 特別、私は彼女からそう言われたのである。
 それは、普通に考えればいいことなのかもしれない。ただ、それは私にとって、呪いのようなものなのだ。

『イルフェア様は、本当にお綺麗ですね……所作の一つ一つが華やかで……』
『ええ、本当に……私、イルフェア様のようになりたいと思っていますわ』

 私は、子供の頃からそんなことを言われてきた。
 こういうことを自分で言いたくはないが、私は憧れの存在だったのだ。
 貴族の女の子達が、こうなりたいと思う規範。それが、私なのである。

「貴族らしいとか、よくわからないのだけれどね……」

 それは、恵まれていることなのかもしれない。でも、私はそういわれる度に思うのだ。なんというか、距離を感じると。
 私は、特別な存在であるようだ。そんな存在に、人は近寄りたいとは思わない。恐れ多いとか、そういう理由で。

「別に、そんなに怖くなんてないのに……」

 私には、人が近寄って来ない。近寄るべきではないと認識されているため、親しくしてくれる人はいないのだ。
 そんな私にとって、家族というものはとても大切なものである。なぜなら、皆は私のことを特別扱いしないからだ。

「でも……」

 ただ、最近できた新しい家族は、私のことをそういう存在だと認識しているのかもしれない。
 別に、今まではそんな兆候はなかった。でも、先日の会話で、もしかしたらそうなんじゃないかと思ってしまったのだ。

「はあ……」

 ルネリアは、私のことを特別な存在だと思っているのだろうか。そうだとしたら、結構辛い。
 最初からそれがわかっていたなら、こんなにも辛くはなかったのだろう。親しくできるとわかってから、それが判明するというのは、思っていた以上に辛いものであるらしい。

「特別か……あら?」

 そこで、私は窓の外を見てみた。すると、見知った顔がいる。
 妹のオルティナが、庭の木の上に登っていたのだ。
 ルネリアは、彼女にはよく懐いている気がする。私も、あんな風になれたら、特別だと思われなくなるのだろうか。

「……って、止めないとまずいじゃない」

 そこまで考えて、私はオルティナを止めることにした。よく考えてみると、とても危ないことをしていたからだ。
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