1 / 21
1.子爵家での立場
しおりを挟む
レヴィトン子爵家の長女であった母は、ある日私を身籠ったことを家族に告白したらしい。
婚約によって他家と信頼関係を築く貴族にとって、そのような突然の妊娠は許されることではなかった。さらに母の場合は、相手を明かせないという事情も付随した。レヴィトン子爵家の面々からは、かなりの顰蹙を買ったらしい。
それでも母は、私を産んだ。私にとってはお祖父様にあたると当時のレヴィトン子爵も、最終的には認めたらしい。お祖母様とともに、私のことはそれなりに可愛がってくれていたそうだ。
しかし母の兄、私にとっては伯父様にあたるラーゼン様がレヴィトン子爵を継いでからは、事情が変わった。彼及びその妻は、私のことを認めなかったのである。
「そもそもの話、父親がどこの誰かもわからないような娘をこのレヴィトン子爵家に置いているということが間違いです」
「お母様の言う通りだわ。ルシェーラ、あんたはここで暮らすべき存在ではないということよ? お父様の温情でここにいられるということを、よく覚えておきなさい」
伯母様といとこであるリリアナ様は、いつものように私をなじってきた。
それは私にとっては、日常的なことである。今のレヴィトン子爵家の面々は、一人を除いて私をストレス解消の道具としか思っていないのだ。
本人達は、私がここにいることを間違いだと言っているが、それは別に私が望んでいることではない。できることなら私だって、ここにはいたくないと思っている。
しかしレヴィトン子爵家は、それを許してはくれない。それは表向きには血筋の者を保護するためだが、本当は恐らく私といういくらでも叩ける相手を手放したくないということなのだろう。
「あなたなんか、生まれてこなければ良かったのに……」
「ふん、あの子は本当に愚かな女でした。ともに生まれ育ったあの人も言っていました。昔からわがままな女だったと……あなたは生まれたことが間違いです」
「……母上、姉上、そこまでにしてもらいましょうか」
「うん?」
「あら……」
レヴィトン子爵家の歪さを私が感じていると、その場に一人の男性がやって来た。彼は、私のもう一人のいとこロナード様である。
彼は、伯母様とリリアナ様を睨みつけている。自身の母と姉の行動を咎めているのだ。
「ロナード……また、私の邪魔をするつもりなの?」
「姉上、見苦しい真似はどうかおやめください。レヴィトン子爵家の淑女として、姉上はもっと寛大であるべきです」
「知ったような口を聞いて……」
「リリアナ、やめなさい」
「お母様……」
リリアナ様は、ロナード様の言葉に激昂していた。
この姉弟は、仲が良いとは言い難い。顔を合わされば、いつも言い争っているような気がする。
しかしそんな姉弟の喧嘩を、伯母様は止めた。最愛の娘と息子が言い争うことは、許容することができないということだろう。どうやらこの場は収めてくれそうだ。
婚約によって他家と信頼関係を築く貴族にとって、そのような突然の妊娠は許されることではなかった。さらに母の場合は、相手を明かせないという事情も付随した。レヴィトン子爵家の面々からは、かなりの顰蹙を買ったらしい。
それでも母は、私を産んだ。私にとってはお祖父様にあたると当時のレヴィトン子爵も、最終的には認めたらしい。お祖母様とともに、私のことはそれなりに可愛がってくれていたそうだ。
しかし母の兄、私にとっては伯父様にあたるラーゼン様がレヴィトン子爵を継いでからは、事情が変わった。彼及びその妻は、私のことを認めなかったのである。
「そもそもの話、父親がどこの誰かもわからないような娘をこのレヴィトン子爵家に置いているということが間違いです」
「お母様の言う通りだわ。ルシェーラ、あんたはここで暮らすべき存在ではないということよ? お父様の温情でここにいられるということを、よく覚えておきなさい」
伯母様といとこであるリリアナ様は、いつものように私をなじってきた。
それは私にとっては、日常的なことである。今のレヴィトン子爵家の面々は、一人を除いて私をストレス解消の道具としか思っていないのだ。
本人達は、私がここにいることを間違いだと言っているが、それは別に私が望んでいることではない。できることなら私だって、ここにはいたくないと思っている。
しかしレヴィトン子爵家は、それを許してはくれない。それは表向きには血筋の者を保護するためだが、本当は恐らく私といういくらでも叩ける相手を手放したくないということなのだろう。
「あなたなんか、生まれてこなければ良かったのに……」
「ふん、あの子は本当に愚かな女でした。ともに生まれ育ったあの人も言っていました。昔からわがままな女だったと……あなたは生まれたことが間違いです」
「……母上、姉上、そこまでにしてもらいましょうか」
「うん?」
「あら……」
レヴィトン子爵家の歪さを私が感じていると、その場に一人の男性がやって来た。彼は、私のもう一人のいとこロナード様である。
彼は、伯母様とリリアナ様を睨みつけている。自身の母と姉の行動を咎めているのだ。
「ロナード……また、私の邪魔をするつもりなの?」
「姉上、見苦しい真似はどうかおやめください。レヴィトン子爵家の淑女として、姉上はもっと寛大であるべきです」
「知ったような口を聞いて……」
「リリアナ、やめなさい」
「お母様……」
リリアナ様は、ロナード様の言葉に激昂していた。
この姉弟は、仲が良いとは言い難い。顔を合わされば、いつも言い争っているような気がする。
しかしそんな姉弟の喧嘩を、伯母様は止めた。最愛の娘と息子が言い争うことは、許容することができないということだろう。どうやらこの場は収めてくれそうだ。
202
あなたにおすすめの小説
【完結】妹が欲しがるならなんでもあげて令嬢生活を満喫します。それが婚約者の王子でもいいですよ。だって…
西東友一
恋愛
私の妹は昔から私の物をなんでも欲しがった。
最初は私もムカつきました。
でも、この頃私は、なんでもあげるんです。
だって・・・ね
【完結80万pt感謝】不貞をしても婚約破棄されたくない美男子たちはどうするべきなのか?
宇水涼麻
恋愛
高位貴族令息である三人の美男子たちは学園内で一人の男爵令嬢に侍っている。
そんな彼らが卒業式の前日に家に戻ると父親から衝撃的な話をされた。
婚約者から婚約を破棄され、第一後継者から降ろされるというのだ。
彼らは慌てて学園へ戻り、学生寮の食堂内で各々の婚約者を探す。
婚約者を前に彼らはどうするのだろうか?
短編になる予定です。
たくさんのご感想をいただきましてありがとうございます!
【ネタバレ】マークをつけ忘れているものがあります。
ご感想をお読みになる時にはお気をつけください。すみません。
【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた──
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は──
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。
妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。
【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。
まりぃべる
恋愛
妹は、私にいつもいろいろな物を譲ってくれる。
私に絶対似合うから、と言って。
…て、え?婚約者まで!?
いいのかしら。このままいくと私があの美丈夫と言われている方と結婚となってしまいますよ。
私がその方と結婚するとしたら、妹は無事に誰かと結婚出来るのかしら?
☆★
ごくごく普通の、お話です☆
まりぃべるの世界観ですので、理解して読んで頂けると幸いです。
☆★☆★
全21話です。
出来上がっておりますので、随時更新していきます。
【完結】あなたが妹を選んだのです…後悔しても遅いですよ?
なか
恋愛
「ローザ!!お前との結婚は取り消しさせてもらう!!」
結婚式の前日に彼は大きな声でそう言った
「なぜでしょうか?ライアン様」
尋ねる私に彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべ
私の妹マリアの名前を呼んだ
「ごめんなさいお姉様~」
「俺は真実の愛を見つけたのだ!」
真実の愛?
妹の大きな胸を見ながら言うあなたに説得力の欠片も
理性も感じられません
怒りで拳を握る
明日に控える結婚式がキャンセルとなればどれだけの方々に迷惑がかかるか
けど息を吐いて冷静さを取り戻す
落ち着いて
これでいい……ようやく終わるのだ
「本当によろしいのですね?」
私の問いかけに彼は頷く
では離縁いたしまししょう
後悔しても遅いですよ?
これは全てあなたが選んだ選択なのですから
【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…
まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。
お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。
なぜって?
お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。
どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。
でも…。
☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
読んで下さると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる