私は家のことにはもう関わりませんから、どうか可愛い妹の面倒を見てあげてください。

木山楽斗

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12.何もせずにいるのは

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 バルフェルト伯爵家に来てから、数日が経った。
 伯爵家の人々は、私にもお母様にも良くしてくれている。それはなんとも、ありがたいことだ。

 ただ、甘えてばかりでは申し訳ないという気持ちがある。そこで私は、何か自分にできることはないかと考えていた。
 しかし、バルフェルト伯爵家のことをよく知らない私が一人で考えても、良い結論は出ないと判断した。よって直談判することにしたのだ。

「別に私達としては、アルティア嬢に何かを求めるつもりはないのだがね」
「バルフェルト伯爵家の方々のお心遣いに関しては、感謝しています。しかし、私の気が収まらないのです」
「うむ、それは立派な心掛けであるとは思う。流石だな、アルティア嬢」

 バルフェルト伯爵は、私の申し出を真摯に受け止めてくれているようだった。
 ただ彼にとっても、これは難しい問題なのかもしれない。バルフェルト伯爵家の内情に私を関わらせる訳にもいかないし、仕事を割り振るのも難しい可能性はある。

「使用人として、働かせてもらうというのはいかがでしょうか? これでも一応、ある程度の心得はあります」
「そのようなことをオルファン侯爵家の令嬢にさせる訳にはいかない」

 私が思い切って提案してみたが、それは切り捨てられてしまった。
 バルフェルト伯爵は、伝統などといったものを重んじる方なのだろう。それはその言葉から伝わってきた。
 それはありがたいことではあるのだが、私としては申し訳なさが増してしまう。せめて何か役に立てることがあれば良いのだが。

「そうだな……せっかくだから、フレイルのことを手伝ってもらうとするか?」
「フレイル様のこと?」
「ああ、実の所、あの子は領地の住民達とよく交流していてな。まあ端的に言ってしまえば、バルフェルト伯爵家のイメージアップのためのものだが」
「それに私が参加を?」
「バルフェルト伯爵家の遠い親類ということにして、フレイルを手伝ってもらいたい。あの子は優秀ではあるが、まだまだ未熟な所もあるからな」

 バルフェルト伯爵の提案に、私は少し息を呑むことになった。
 それは確かに良い提案ではあるのだが、中々に荷が重いことであったからだ。
 領地の民との交流は、私も行ったことはある。ただ受けが良かったとは言い難い。そんな私が、どこまで役に立てるものなのだろうか。

「男女が揃っている方が、心象的にも良いものだろう。アルティア嬢、受けてもらえないだろうか?」
「あ、はい。そういうことなら……」

 私に気を遣ってくれたのか、バルフェルト伯爵は受け取りやすい言葉をかけてくれた。
 任されたからには、フレイル様を的確に補助しなければならない。念のためお母様から、助言してもらっておいた方が良いだろうか。
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