派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

木山楽斗

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85.見知ったクラス

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 暗黒の魔女が生きており、彼女が次元を超えることを危惧した皆は、私をこちらの世界に呼び戻した。
 そんな私は、メルティナ達の所属するクラスに来ていた。朝のホームルームの時間に、私は教員の隣に立っているのだ。

「という訳で、今日からこちらのシズカさんがこのクラスに所属することになりました。シズカさん、挨拶をどうぞ」
「えっと……シズカです。皆さん、これからよろしくお願いします」

 私が礼をすると、クラスから拍手が聞こえてきた。なんというか、変な感じだ。つい最近まで所属していたクラスに、別人として来ることになるなんて、なんとも数奇な運命である。
 傍にいた方が安全であるという考え方から、私は再び魔法学園に通うことになった。この世界に存在しない私だが、魔法学園には簡単に入ることができた。公爵家を始めとする貴族と王族の力があれば、それは容易なことだったのだ。

「シズカさんは、異国から来たそうです。わからないことも多いと思いますので、助けてあげてください」

 私は、異国の日本という国から来た留学生という設定になっている。名前や容姿の違いをそれで誤魔化すことができるからだ。
 ただ、私の出身国である日本という国は、この世界には存在しない。存在しない国でもなんとかなる程に、貴族や王族の力というのは偉大なようである。

「シズカさんの席は、一番後ろの端です。隣のファルーシャ・ラルキネス侯爵令嬢は、このクラスの委員長なので、わからないことがあったら、彼女に聞いてください」
「わかりました」

 私の席は、一番後ろの端だった。丁度、反対側はメルティナの席だ。
 その隣の席には、アルフィアが座っている。なんというか、それも変な感じだ。

「シズカさん、これからよろしくお願いしますね」
「あ、はい……」

 席に着くと、隣のファルーシャが話しかけてきた。一応、私達は初対面ということになっているので、彼女の挨拶はそんな感じだ。
 といっても、私達は既にお互いのことは知っている。そのため、安心感がある。
 これが事情を知らないクラスメイトだった場合、話はもっとややこしいことになっていただろう。少なくとも、私はとてもやりにくかったはずだ。
 こうして、私の新たな学園生活が始まることになったのである。
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