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12.歓迎の意思
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「アルティリア嬢、君の来訪を歓迎しよう」
グライム辺境伯は、私に対してとてもわかりやすく歓迎の意思を表示してくれた。
それに私は、少し驚いている。そもそも屋敷の中に入れてもらえたことが驚きだ。私は突然来訪した無礼者であるというのに。
「ヴォルバルトから話は聞いている。色々と大変な立場であるようだな」
「え? あ、はい……ヴォルバルト、さん?」
グライム辺境伯が出した名前に、私は首を傾げることになった。
彼が口にしたのは、私が知らない人の名前である。ただ、辺境伯の口振りからして、その人は私のことをよく知っているようだ。
いや、もしかしたら勘違いだろうか。グライム辺境伯は、私と誰かを間違っているのかもしれない。
「おっと、君からすればブレットンという名前の方が馴染み深かったかな?」
「ブレットンさん、ですか? えっと、ヴォルバルトさんという方が、ブレットンさんということなのでしょうか?」
「ああ、彼の本名だ」
「本名……」
ブレットンさんの名前は、どうやら偽名だったようである。
それは考えてみれば、当然のことかもしれない。アンデルト伯爵家に忍び込むにあたって、本当の名前を正直に使うなんて馬鹿げた話だ。
そのことを理解した私は、さらなる疑問に思わずグライム辺境伯の方を見た。すると彼は、笑みを浮かべている。
「ヴォルバルトとは、旧知の仲でね。君くらいの年の子は知らないかもしれないが、以前この辺りでは戦があったんだ。隣国から攻められてね」
「私が生まれる前の話、ですよね? 知識としてはありますが……」
「この辺りで戦いが起こったということは、矢面に立つのは私だ。兵を率いて戦った。今でもその時のことはよく覚えている。長い戦いだった」
グライム辺境伯の表情は、そこで少し強張った。
戦の記憶というものは、彼にとって良いものという訳ではないのだろう。それがその表情からはよく伝わってくる。
「そんな中でともに戦地に立った者達のことを、私は忘れていない。ヴォルバルトもその一人だった。彼は、勇敢な戦士であった。いや、彼は今も戦士だ。私では想像できない程の苦しみの中で戦い抜いている」
「それは……」
「端的に聞かせてもらいたい。ヴォルバルトはやったのか? 君がここに来たということは、悲願を成し遂げたのか? それは是非とも、聞いておきたい所だ」
そこで私は、思わず固まってしまった。
グライム辺境伯が、とても真剣な顔をしていたからだ。
つまり彼も、事情を知っているということだろう。彼は私よりもずっと前から、ブレットンさんのことを気にしていたのだ。
グライム辺境伯は、私に対してとてもわかりやすく歓迎の意思を表示してくれた。
それに私は、少し驚いている。そもそも屋敷の中に入れてもらえたことが驚きだ。私は突然来訪した無礼者であるというのに。
「ヴォルバルトから話は聞いている。色々と大変な立場であるようだな」
「え? あ、はい……ヴォルバルト、さん?」
グライム辺境伯が出した名前に、私は首を傾げることになった。
彼が口にしたのは、私が知らない人の名前である。ただ、辺境伯の口振りからして、その人は私のことをよく知っているようだ。
いや、もしかしたら勘違いだろうか。グライム辺境伯は、私と誰かを間違っているのかもしれない。
「おっと、君からすればブレットンという名前の方が馴染み深かったかな?」
「ブレットンさん、ですか? えっと、ヴォルバルトさんという方が、ブレットンさんということなのでしょうか?」
「ああ、彼の本名だ」
「本名……」
ブレットンさんの名前は、どうやら偽名だったようである。
それは考えてみれば、当然のことかもしれない。アンデルト伯爵家に忍び込むにあたって、本当の名前を正直に使うなんて馬鹿げた話だ。
そのことを理解した私は、さらなる疑問に思わずグライム辺境伯の方を見た。すると彼は、笑みを浮かべている。
「ヴォルバルトとは、旧知の仲でね。君くらいの年の子は知らないかもしれないが、以前この辺りでは戦があったんだ。隣国から攻められてね」
「私が生まれる前の話、ですよね? 知識としてはありますが……」
「この辺りで戦いが起こったということは、矢面に立つのは私だ。兵を率いて戦った。今でもその時のことはよく覚えている。長い戦いだった」
グライム辺境伯の表情は、そこで少し強張った。
戦の記憶というものは、彼にとって良いものという訳ではないのだろう。それがその表情からはよく伝わってくる。
「そんな中でともに戦地に立った者達のことを、私は忘れていない。ヴォルバルトもその一人だった。彼は、勇敢な戦士であった。いや、彼は今も戦士だ。私では想像できない程の苦しみの中で戦い抜いている」
「それは……」
「端的に聞かせてもらいたい。ヴォルバルトはやったのか? 君がここに来たということは、悲願を成し遂げたのか? それは是非とも、聞いておきたい所だ」
そこで私は、思わず固まってしまった。
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つまり彼も、事情を知っているということだろう。彼は私よりもずっと前から、ブレットンさんのことを気にしていたのだ。
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