聖女の代わりなんていないのに見栄を張って私をクビにしたのですか?

木山楽斗

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4.突然の宣告

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「君が聖女になったのは、特例中の特例だったのだ。偶然にも聖女の席が空いていて、務まる者がいなかった。だからそうなった」
「ザルード殿下、それは……」

 アドラーク王国の王城にて、私は何故かザルード殿下に詰められていた。
 会談でのクラナシス姫の言葉に、彼は売り言葉に買い言葉のように答えてしまった。それは会談が終わってからも、尾を引いているのだ。

「……聖女フェルリア、君はクビだ。第一王子の名において、君から聖女の地位を剥奪する」
「ま、待ってください」
「これは決定事項だ。大体、僕は前々から気に食わなかったんんだ。平民に聖女の地位を明け渡すなどということが……」

 ザルード殿下は、かなり頭に血が上っているようだった。
 会談で恥をかいたと思い込んだ彼は、私に対してその怒りをぶつけることを選んだようだ。
 私はなんとか、ザルード殿下を落ち着かせなければならない。だが、それは難しいように思える。こうなった彼に、私の言葉が届くことは少ない。

「私をクビにするなんて、いくらなんでも早急すぎる判断です。まずはサルウィス王国に戻り、せめて次の聖女を選んでから……」
「はっ! キミイは勘違いしているようだな。君の代わりなんて、いくらでもいるのさ。サルウィス王国の人材を舐めるなよ? 確かに君は優れた魔法使いではあるが、特別ではない」
「それは……」

 ザルード殿下の言葉に、私はすぐに言い返すことはできなかった。
 当然のことながら、聖女が私にしか務まらないなどということはないだろう。一応、同年代の中で最も秀でていたから私は聖女に選ばれた訳だが、それでも優れた魔法使いは他にもいるはずだ。

 クラナシス姫の言葉を、私は思い出していた。
 平民である私に、正直な所聖女の地位というものは荷が重い。貴族達からも反感を買っているし、本当に聖女のままでいいのかという迷いがある。

「ふん、言い返せないか。まあ、今まで聖女として上手い汁を吸っていたんだ。そろそろ君にも灸をすえる時がきたということだな」
「……」
「ははっ! 気分がいい……今まで目障りだった君を排除できることは嬉しいものだな。さて、何をしている? さっさとこの部屋から出て行け」
「……わかりました」

 私は、ザルード殿下の言葉にゆっくりと頷くことしかできなかった。
 聖女としての地位を剥奪される。それは私にとって、それなりに辛いことであった。
 ただ同時に、肩の荷が下りたような気もしていた。結局の所、私には聖女などという地位は過ぎたるものだったのかもしれない。
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