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5.置き去りにされて
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会談から一晩が明けて、私はアドラーク王国の王城の中にいた。
昨日は客室に泊まらせてもらっていたのだが、正直あまり眠れてはいない。これからのことやこれまでのことを考えすぎてしまったからだ。
「おや、あなたは……」
「え?」
そんな王城の廊下で、私はウォルファン殿下と出会った。
彼はこの王城で暮らしているのだが、それは別にあり得ない話ではない。
ただウォルファン殿下が、目を丸めているのが気になった。彼の方も、私が泊っていることは把握しているはずなのだが。
「ウォルファン殿下、どうかされましたか? 何か驚いているようですが……」
「聖女フェルリア、あなたがどうしてこちらに……ザルード殿下は、先程王城を立ちました。あなたも馬車に乗っていたはずですが」
「え?」
ウォルファン殿下の言葉に、私は固まっていた。
当然のことながら、私とザルード殿下は今回の会談において行動をともにすることになっている。その彼が王城を出たという事実には、混乱してしまう。
しかしながら、なんとなく事態はわかってきた。ザルード殿下ならば、クビにした私は最早不要として置いていったとしてもおかしくはない。
「……どうやら私は、置いていかれたようですね」
「置いていかれた? そんな馬鹿な……おっと、失礼しました」
「いいえ、お気になさらず。信じられないことであることは当然ですから。しかし実は、昨日聖女をクビになりまして……」
「聖女をクビに? なんですって? しかしなるほど、それなら置いていかれてもおかしくは……いや、それでも置いていかれるのはおかしいように思いますが」
私の事情を伝えると、ウォルファン殿下は少々混乱しているようだった。
彼からしてみれば、ザルード殿下の判断は理解できないものであるらしい。
それに私は、安心する。どこの国の王子もザルード殿下のようであるならば、いくらなんでも悲惨すぎるからだ。
「大体、何故クビになんて……」
「会談において、ザルード殿下はクラナシス姫に言われたことを気にしていました。だから見せしめとして、私をクビにしたのだと思います」
「そんなのは滅茶苦茶だ……しかしあなたがこうしてここにいる以上、それが偽りだとは思えませんね。あなたが下らない嘘をつくような人とも思えない」
私の言葉に、ウォルファン殿下は少し表情を強張らせた。
彼はザルード殿下の行いに対して、憤りを覚えてくれているらしい。それだけで少しだけ、私の心は救われた。
「聖女フェルリア……いえ、もう聖女ではないのでしたね? フェルリアさん、あなたは僕がきちんとサルウィス王国に送り届けましょう。ザルード殿下の行いに、抗議もしたい所ですが……」
「いえ、送り届けていただけるのですから、それ以上は求めません。国同士の関係もあるのでしょうし……」
「……残念ながら、それは叶わないでしょうね」
「え?」
私とウォルファン殿下が話していると、辺りに女性の声が響いてきた。
私達は、声の聞こえてきた方向を向く。するとそこには、イルファナ姫がいた。
昨日は客室に泊まらせてもらっていたのだが、正直あまり眠れてはいない。これからのことやこれまでのことを考えすぎてしまったからだ。
「おや、あなたは……」
「え?」
そんな王城の廊下で、私はウォルファン殿下と出会った。
彼はこの王城で暮らしているのだが、それは別にあり得ない話ではない。
ただウォルファン殿下が、目を丸めているのが気になった。彼の方も、私が泊っていることは把握しているはずなのだが。
「ウォルファン殿下、どうかされましたか? 何か驚いているようですが……」
「聖女フェルリア、あなたがどうしてこちらに……ザルード殿下は、先程王城を立ちました。あなたも馬車に乗っていたはずですが」
「え?」
ウォルファン殿下の言葉に、私は固まっていた。
当然のことながら、私とザルード殿下は今回の会談において行動をともにすることになっている。その彼が王城を出たという事実には、混乱してしまう。
しかしながら、なんとなく事態はわかってきた。ザルード殿下ならば、クビにした私は最早不要として置いていったとしてもおかしくはない。
「……どうやら私は、置いていかれたようですね」
「置いていかれた? そんな馬鹿な……おっと、失礼しました」
「いいえ、お気になさらず。信じられないことであることは当然ですから。しかし実は、昨日聖女をクビになりまして……」
「聖女をクビに? なんですって? しかしなるほど、それなら置いていかれてもおかしくは……いや、それでも置いていかれるのはおかしいように思いますが」
私の事情を伝えると、ウォルファン殿下は少々混乱しているようだった。
彼からしてみれば、ザルード殿下の判断は理解できないものであるらしい。
それに私は、安心する。どこの国の王子もザルード殿下のようであるならば、いくらなんでも悲惨すぎるからだ。
「大体、何故クビになんて……」
「会談において、ザルード殿下はクラナシス姫に言われたことを気にしていました。だから見せしめとして、私をクビにしたのだと思います」
「そんなのは滅茶苦茶だ……しかしあなたがこうしてここにいる以上、それが偽りだとは思えませんね。あなたが下らない嘘をつくような人とも思えない」
私の言葉に、ウォルファン殿下は少し表情を強張らせた。
彼はザルード殿下の行いに対して、憤りを覚えてくれているらしい。それだけで少しだけ、私の心は救われた。
「聖女フェルリア……いえ、もう聖女ではないのでしたね? フェルリアさん、あなたは僕がきちんとサルウィス王国に送り届けましょう。ザルード殿下の行いに、抗議もしたい所ですが……」
「いえ、送り届けていただけるのですから、それ以上は求めません。国同士の関係もあるのでしょうし……」
「……残念ながら、それは叶わないでしょうね」
「え?」
私とウォルファン殿下が話していると、辺りに女性の声が響いてきた。
私達は、声の聞こえてきた方向を向く。するとそこには、イルファナ姫がいた。
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