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11.他国に移って(モブside)
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ラウヴァンはソネリアとともに、ナシャール王国に辿り着いていた。
二人はラスタード王国から船によって脱出した。入念に準備をしていた二人を止めるものはなく、いとも簡単に国から出られたのだ。
「ナシャール王国……事前に調査はしていたが、少し熱いな」
「そうですね……でも、この国が一番良かったのでしょう?」
「ああ、この国の王太子とは親密なんだ。多少の融通は利かせてくれるさ」
二人はナシャール王国の王都までやって来ていた。
そこにある王城の門番に、ラウヴァンは近づく。仲が良いナシャール王国の王太子に、彼は色々と取り計らってもらおうとしている。
「そこの門番、少しいいか?」
「……何者だ?」
「乱暴な口の利き方だな……僕を誰だと思っている? 僕はラスタード王国の王太子ラウヴァンだぞ?」
「何?」
ラウヴァンが名乗ると、門番は目を丸めた。
彼は周囲にいる他の門番と目配せする。その動揺は、全体に広がっていた。
それにラウヴァンは、ゆっくりとため息をつく。彼は門番達が結論を出すのを待つ。
「お前、何か聞いているか?」
「いや、聞いていないさ。俺達に話が来ていないことなんて、あり得ることじゃない」
「……それなら妄言か」
門番達の言葉に、ラウヴァンは怒りを覚えていた。
自分のことをわからない。そんな門番達のことを彼は愚かだと思ったのだ。
「お前達では話にならん。誰かもっと上の者を連れて来い。少なくとも僕の顔がわかる奴を呼んでくるんだ」
「……申し訳ないが、あなたの言葉を聞き入れることはできない。仮にあなたがラウヴァン殿下であるというなら、このように訪問してくるはずがないだろう」
「お忍びできたんだ」
「お忍びで他国の王城を訪問してくるなど無礼極まりないことを、一国の王太子がするはずはない。もう少しマシな作戦を立てるべきだったな」
「なっ……!」
門番の断固とした態度に、ラウヴァンは怒りを積もらせていた。
しかし彼も理解はしていた。これ以上ここに留まると、場合によっては捕まりかねないと。
そうすれば自分の顔を知っている者が助けてくれる可能性はある。だが、それは彼のプライドが許さなかった。一度でも牢屋に入るなど、ラウヴァンにとってはあってはならないことなのだ。
「馬鹿どもが……覚えていろよ!」
「ラ、ラウヴァン殿下、待ってください」
ラウヴァンの敗走に、ソネリアが慌ててついていく。
王城を抜け出す際に、ある程度の資金は仕入れていた。だからしばらく生活することはできる。ラウヴァンはそのように考えながら、ソネリアとともにその場を後にするのだった。
二人はラスタード王国から船によって脱出した。入念に準備をしていた二人を止めるものはなく、いとも簡単に国から出られたのだ。
「ナシャール王国……事前に調査はしていたが、少し熱いな」
「そうですね……でも、この国が一番良かったのでしょう?」
「ああ、この国の王太子とは親密なんだ。多少の融通は利かせてくれるさ」
二人はナシャール王国の王都までやって来ていた。
そこにある王城の門番に、ラウヴァンは近づく。仲が良いナシャール王国の王太子に、彼は色々と取り計らってもらおうとしている。
「そこの門番、少しいいか?」
「……何者だ?」
「乱暴な口の利き方だな……僕を誰だと思っている? 僕はラスタード王国の王太子ラウヴァンだぞ?」
「何?」
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彼は周囲にいる他の門番と目配せする。その動揺は、全体に広がっていた。
それにラウヴァンは、ゆっくりとため息をつく。彼は門番達が結論を出すのを待つ。
「お前、何か聞いているか?」
「いや、聞いていないさ。俺達に話が来ていないことなんて、あり得ることじゃない」
「……それなら妄言か」
門番達の言葉に、ラウヴァンは怒りを覚えていた。
自分のことをわからない。そんな門番達のことを彼は愚かだと思ったのだ。
「お前達では話にならん。誰かもっと上の者を連れて来い。少なくとも僕の顔がわかる奴を呼んでくるんだ」
「……申し訳ないが、あなたの言葉を聞き入れることはできない。仮にあなたがラウヴァン殿下であるというなら、このように訪問してくるはずがないだろう」
「お忍びできたんだ」
「お忍びで他国の王城を訪問してくるなど無礼極まりないことを、一国の王太子がするはずはない。もう少しマシな作戦を立てるべきだったな」
「なっ……!」
門番の断固とした態度に、ラウヴァンは怒りを積もらせていた。
しかし彼も理解はしていた。これ以上ここに留まると、場合によっては捕まりかねないと。
そうすれば自分の顔を知っている者が助けてくれる可能性はある。だが、それは彼のプライドが許さなかった。一度でも牢屋に入るなど、ラウヴァンにとってはあってはならないことなのだ。
「馬鹿どもが……覚えていろよ!」
「ラ、ラウヴァン殿下、待ってください」
ラウヴァンの敗走に、ソネリアが慌ててついていく。
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