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episode4 帰れない道
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「とにかく、これで現地に足を運べるだけの情報が揃ったわけだ。
後は向こうに行って相手の出方を待つしかないけど……どうする?」
嵐がコートのポケットに両手を突っ込んで、2人の顔を交互に見た。
その問いに答えたのは、斗哉だ。
「幸い明日は休みだし、すぐに行ってみよう。また、この場所から
過去に飛ばされない保証もないし、真相がわからないままじゃ
落ち着かない」
「じゃあ、決まりだな。明日の朝、9時に駅の改札で待ってる」
手短に明日の待ち合わせ時間を決めると、嵐は、くるりと踵を
返し、その場を後にした。
帰宅後。
熱いお風呂で躰を温めて部屋に戻ると、携帯が着信を告げていた。
液晶画面に目をやれば、そこには「斗哉」の2文字がある。
つばさは、何だろう?と首を傾げながら受話器を上げた。
「はい」
「そろそろ風呂から出るころだと思って。
そのままでいいから、今からこっち来ない?」
携帯の向こうで斗哉の笑う気配がして、つばさは顔を上げる。
カーテンを開けたままの窓に目をやれば、斗哉がベランダから
つばさに手を振っていた。つばさは、頭に巻き付けているタオルに
手をやって、照れたように笑った。無防備な姿を見られたのが、
何となく恥ずかしい。
「わかった。すぐ行くから待ってて」
「了解」
それだけ言うと、斗哉はプツリ、と電話を切った。
「 小寺 春樹 7歳」
部屋に入るなり、机に座っていた斗哉が振り返って言った。
「どうしてわかったの?名前」
ドアの前に立ったまま、目を丸くしているつばさを手招きする。
「別荘の住所を調べながら、春樹君の名前と適当なキーワードを
入れてみたら、ヒットしたんだ。事件とか、事故とかね。古いネット
の記事だけど……日付を見ると、11年も前に亡くなってる」
つばさは、斗哉のPCを覗き込んだ。
確かに、父親の別荘があるN県の新聞記事が載っている。
日付は20××年8月13日(金)って……
「13日の金曜日って、もしかして……ジェ…」
「つまらないダジャレはいいから。先読んでみろよ」
ぴしゃりと斗哉に釘を刺されて、つばさはぺろりと舌を出す。
斗哉に言われるまま、記事に目を走らせれば、記されている内容は
気が重くなるものだった。
「一家無理心中ってことは、あの別荘で?」
「いや、違う。亡くなった場所は近くの湖だ。車ごと突っ込んだらしい」
斗哉が別のページの記事に切り替えて、つばさに見せる。
そこには確かに、車ごと湖に入水自殺をはかったと記されていた。
「それと、11年も前に亡くなっているのに、どうして今になって
つばさをあの場所に呼び寄せたのか、そのことも気になって調べてみたんだ。
そうしたら……見つかってなかった」
「見つかってないって、何が?」
その先の言葉が予測できないわけじゃないのに、なぜか聞いてしまう。
斗哉は声のトーンを落として、答えを口にした。
「遺体が。春樹君の遺体だけが見つからないって、書いてある」
その部分の記事を指で差して、斗哉が眉を顰める。つばさは、
背筋が寒くなるような感覚を覚えながら、PCを覗き込んだ。
「この記事は古いものだから、その後の捜索で見つかってる可能性も
あるけど……今の状況を考えると、彼の遺体はまだ湖の底にある、
って考えた方がしっくりくるよな」
「うん。私もそう思う。そのことが、今回の出来事に関係してる気がする」
つばさは、斗哉の目を見て頷いた。
後は向こうに行って相手の出方を待つしかないけど……どうする?」
嵐がコートのポケットに両手を突っ込んで、2人の顔を交互に見た。
その問いに答えたのは、斗哉だ。
「幸い明日は休みだし、すぐに行ってみよう。また、この場所から
過去に飛ばされない保証もないし、真相がわからないままじゃ
落ち着かない」
「じゃあ、決まりだな。明日の朝、9時に駅の改札で待ってる」
手短に明日の待ち合わせ時間を決めると、嵐は、くるりと踵を
返し、その場を後にした。
帰宅後。
熱いお風呂で躰を温めて部屋に戻ると、携帯が着信を告げていた。
液晶画面に目をやれば、そこには「斗哉」の2文字がある。
つばさは、何だろう?と首を傾げながら受話器を上げた。
「はい」
「そろそろ風呂から出るころだと思って。
そのままでいいから、今からこっち来ない?」
携帯の向こうで斗哉の笑う気配がして、つばさは顔を上げる。
カーテンを開けたままの窓に目をやれば、斗哉がベランダから
つばさに手を振っていた。つばさは、頭に巻き付けているタオルに
手をやって、照れたように笑った。無防備な姿を見られたのが、
何となく恥ずかしい。
「わかった。すぐ行くから待ってて」
「了解」
それだけ言うと、斗哉はプツリ、と電話を切った。
「 小寺 春樹 7歳」
部屋に入るなり、机に座っていた斗哉が振り返って言った。
「どうしてわかったの?名前」
ドアの前に立ったまま、目を丸くしているつばさを手招きする。
「別荘の住所を調べながら、春樹君の名前と適当なキーワードを
入れてみたら、ヒットしたんだ。事件とか、事故とかね。古いネット
の記事だけど……日付を見ると、11年も前に亡くなってる」
つばさは、斗哉のPCを覗き込んだ。
確かに、父親の別荘があるN県の新聞記事が載っている。
日付は20××年8月13日(金)って……
「13日の金曜日って、もしかして……ジェ…」
「つまらないダジャレはいいから。先読んでみろよ」
ぴしゃりと斗哉に釘を刺されて、つばさはぺろりと舌を出す。
斗哉に言われるまま、記事に目を走らせれば、記されている内容は
気が重くなるものだった。
「一家無理心中ってことは、あの別荘で?」
「いや、違う。亡くなった場所は近くの湖だ。車ごと突っ込んだらしい」
斗哉が別のページの記事に切り替えて、つばさに見せる。
そこには確かに、車ごと湖に入水自殺をはかったと記されていた。
「それと、11年も前に亡くなっているのに、どうして今になって
つばさをあの場所に呼び寄せたのか、そのことも気になって調べてみたんだ。
そうしたら……見つかってなかった」
「見つかってないって、何が?」
その先の言葉が予測できないわけじゃないのに、なぜか聞いてしまう。
斗哉は声のトーンを落として、答えを口にした。
「遺体が。春樹君の遺体だけが見つからないって、書いてある」
その部分の記事を指で差して、斗哉が眉を顰める。つばさは、
背筋が寒くなるような感覚を覚えながら、PCを覗き込んだ。
「この記事は古いものだから、その後の捜索で見つかってる可能性も
あるけど……今の状況を考えると、彼の遺体はまだ湖の底にある、
って考えた方がしっくりくるよな」
「うん。私もそう思う。そのことが、今回の出来事に関係してる気がする」
つばさは、斗哉の目を見て頷いた。
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