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第三章:雨の中で
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-----件名は(リクエスト)だった。
ご都合がよければ、今週の土曜日にしま
せんか?お天気がいいので、総合公園の中
を散歩しながら、コッペパンを食べるのは
どうでしょう?
あの公園に来る、移動販売のコッペパン
は、やわらかくて美味しいです。
「総合公園で、コッペパンか……うん。
いいなぁ」
そう呟きながら、青空の下、豊かな木々に
囲まれた園内を並んで歩く二人の姿を想像し、
無意識に頬を緩ませた。
最寄駅から2駅先にある総合公園は、5ヘク
タールにも及ぶ広大な芝生地や、遊具で子供た
ちが遊べる光の広場、陸上競技場やテニスコー
トなど、さまざまな施設を兼ね備えた都市公園
だ。
春はサクラや木蓮、秋はイチョウ並木を始め
とした色とりどりの紅葉が楽しめる。いまの
時期だと紅葉はまだ早いけれど、レジャーシー
トを持って行って芝生でのんびりするのもいい
し、公園内を散歩しながら、お腹が空いたら
ベンチでコッペパンを食べるのもいい。
下手にお洒落な店を探して入るよりも、
よほど開放的で、気兼ねなく喋れるかも知れ
ない。
僕は彼女の提案に二つ返事をし、当日は
11時に家まで迎えに行くことを約束した。
そして、(おやすみなさい)と、メールの
最後に添える。時計を見れば、時刻は深夜と
言える時間だった。すぐにメールの着信音が
鳴って、(おやすみなさい、また明日)と、
彼女から返事が来た。
僕は携帯を閉じ、ゴロンとベッドに横に
なった。
見慣れた天井を眺めながら、ぼんやりと考え
る。もし、携帯というものがなかったら、僕
たちはどうやって連絡を取り合ったのだろう
か、と。携帯が普及したのはほんの数年前で、
僕が持ち始めてからまだ1年も経っていない。
もちろん、部屋に電話は引いてあるけれど、
FAXはないし彼女は電話で話すことが出来な
い。となると………手紙?
それも、返事を待つ楽しさがありそうだけ
ど、時間がかかりすぎて約束をするための
手段としては、役に立たないだろう。
「文明の利器に、感謝だな……」
そう呟いて瞼を閉じると、あっという間に
眠りに落ちてしまった。
------当日は、予報通りの秋晴れだった。
僕はいつもより念入りに髪を整え、サングラ
スをかけると、パシッと両手で頬を挟み、鏡の
中の自分に喝を入れた。
今日の帰りがけ、タイミングを見計らって、
彼女に告白するつもりなのだ。
うまくいけば天国。
ダメなら週明けから彼女と顔を合わせるたび
に、地獄。結果は神のみぞ知る、だ。
僕はベージュのパーカーを羽織ると、少し
早めに家を出た。
ご都合がよければ、今週の土曜日にしま
せんか?お天気がいいので、総合公園の中
を散歩しながら、コッペパンを食べるのは
どうでしょう?
あの公園に来る、移動販売のコッペパン
は、やわらかくて美味しいです。
「総合公園で、コッペパンか……うん。
いいなぁ」
そう呟きながら、青空の下、豊かな木々に
囲まれた園内を並んで歩く二人の姿を想像し、
無意識に頬を緩ませた。
最寄駅から2駅先にある総合公園は、5ヘク
タールにも及ぶ広大な芝生地や、遊具で子供た
ちが遊べる光の広場、陸上競技場やテニスコー
トなど、さまざまな施設を兼ね備えた都市公園
だ。
春はサクラや木蓮、秋はイチョウ並木を始め
とした色とりどりの紅葉が楽しめる。いまの
時期だと紅葉はまだ早いけれど、レジャーシー
トを持って行って芝生でのんびりするのもいい
し、公園内を散歩しながら、お腹が空いたら
ベンチでコッペパンを食べるのもいい。
下手にお洒落な店を探して入るよりも、
よほど開放的で、気兼ねなく喋れるかも知れ
ない。
僕は彼女の提案に二つ返事をし、当日は
11時に家まで迎えに行くことを約束した。
そして、(おやすみなさい)と、メールの
最後に添える。時計を見れば、時刻は深夜と
言える時間だった。すぐにメールの着信音が
鳴って、(おやすみなさい、また明日)と、
彼女から返事が来た。
僕は携帯を閉じ、ゴロンとベッドに横に
なった。
見慣れた天井を眺めながら、ぼんやりと考え
る。もし、携帯というものがなかったら、僕
たちはどうやって連絡を取り合ったのだろう
か、と。携帯が普及したのはほんの数年前で、
僕が持ち始めてからまだ1年も経っていない。
もちろん、部屋に電話は引いてあるけれど、
FAXはないし彼女は電話で話すことが出来な
い。となると………手紙?
それも、返事を待つ楽しさがありそうだけ
ど、時間がかかりすぎて約束をするための
手段としては、役に立たないだろう。
「文明の利器に、感謝だな……」
そう呟いて瞼を閉じると、あっという間に
眠りに落ちてしまった。
------当日は、予報通りの秋晴れだった。
僕はいつもより念入りに髪を整え、サングラ
スをかけると、パシッと両手で頬を挟み、鏡の
中の自分に喝を入れた。
今日の帰りがけ、タイミングを見計らって、
彼女に告白するつもりなのだ。
うまくいけば天国。
ダメなら週明けから彼女と顔を合わせるたび
に、地獄。結果は神のみぞ知る、だ。
僕はベージュのパーカーを羽織ると、少し
早めに家を出た。
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