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第四章:やさしい時間
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たちまち、レジャーシートの上がちょっと
したパーティーのようになる。僕は自分が食べ
たいカレーパン(2つ)の他に、焼きそば、
唐揚げ、みんなでつまめそうなフライドポテト
を買ったのだけど、弥凪と咲さんはサンドイッ
チに生クリームがサンドされたメロンパン、
揚げタコ焼き、どこで見つけたのかメープル
チーズケーキ(ホール)、なめらかプリンと、
スイーツ系がほとんどだった。
それに対し、町田さんがビニール袋から取り
出したのは、焼き塩鯖サンドと2リットルの
ウーロン茶、カルピスウォーターのみで、
「それだけ!?」と、みんなが目を丸くした
のは言うまでもない。
「俺は小食なの。だから、飲み物担当ね。
はいコップ」
レジャー慣れしているのか、町田さんは
荷物からプラスチックのコップを取り出すと、
口を尖らせながら、みんなに飲み物を配った
のだった。
それから僕たちは、それぞれが食べたいもの
を食べながら、取り留めのない話をした。
僕と弥凪の馴れ初めは、二人ともとっくに
知っているし、僕と町田さんが就労移行支援の
場で働いていることも、咲さんは知っている。
だから、合コンのように堅苦しく自己紹介を
する必要もなかった。彼女が准看護婦として
診療所で働いているのは初耳だったけれど、
何となく、白衣に身を包んだ咲さんの仕事ぶり
は想像出来たので、町田さんと二人、彼女の
白衣姿を思い浮かべながら思わず頷き合って
しまった。
「それにしても、二人とも背が高いです
よね。身長、いくつくらいあるんですか?」
唐突に、咲さんが僕と町田さんの顔を交互に
見やりながら、そんなことを訊いて来た。
もちろん、手話による同時通訳付きだ。
「身長ねぇ、最後に測った時は181だった
かな?高3の時だけど」
そう言いながら、町田さんは最後の一口に
なった焼き塩鯖サンドを口に入れる。
僕も、首を捻りながら答えた。
「僕も、大学の時の健康診断が最後だけど、
確か182だったような」
ということは、測った年月から考えても
身長は二人ともほぼ同じ、ということだろう。
ついでに、職場では“もやしコンビ”と呼ば
れていることも付け加えようかと思ったけれ
ど、それを口にする前に、咲さんがしゃべり
出したので、僕は言葉を飲み込んだ。
「そっか、二人とも180超えてるんだ。
凄いなぁ。わたし、小柄だから羨ましいです。
羽柴さんと町田さん、背格好も雰囲気も似てる
から、二人で並んで歩いてると兄弟に見えます
よ。ね?弥凪」
屈託のない笑みを浮かべながら、咲さんが
僕の隣に座る弥凪に話を振る。弥凪はこくりと
頷くと、(似てるよ)と、手話で言った。
したパーティーのようになる。僕は自分が食べ
たいカレーパン(2つ)の他に、焼きそば、
唐揚げ、みんなでつまめそうなフライドポテト
を買ったのだけど、弥凪と咲さんはサンドイッ
チに生クリームがサンドされたメロンパン、
揚げタコ焼き、どこで見つけたのかメープル
チーズケーキ(ホール)、なめらかプリンと、
スイーツ系がほとんどだった。
それに対し、町田さんがビニール袋から取り
出したのは、焼き塩鯖サンドと2リットルの
ウーロン茶、カルピスウォーターのみで、
「それだけ!?」と、みんなが目を丸くした
のは言うまでもない。
「俺は小食なの。だから、飲み物担当ね。
はいコップ」
レジャー慣れしているのか、町田さんは
荷物からプラスチックのコップを取り出すと、
口を尖らせながら、みんなに飲み物を配った
のだった。
それから僕たちは、それぞれが食べたいもの
を食べながら、取り留めのない話をした。
僕と弥凪の馴れ初めは、二人ともとっくに
知っているし、僕と町田さんが就労移行支援の
場で働いていることも、咲さんは知っている。
だから、合コンのように堅苦しく自己紹介を
する必要もなかった。彼女が准看護婦として
診療所で働いているのは初耳だったけれど、
何となく、白衣に身を包んだ咲さんの仕事ぶり
は想像出来たので、町田さんと二人、彼女の
白衣姿を思い浮かべながら思わず頷き合って
しまった。
「それにしても、二人とも背が高いです
よね。身長、いくつくらいあるんですか?」
唐突に、咲さんが僕と町田さんの顔を交互に
見やりながら、そんなことを訊いて来た。
もちろん、手話による同時通訳付きだ。
「身長ねぇ、最後に測った時は181だった
かな?高3の時だけど」
そう言いながら、町田さんは最後の一口に
なった焼き塩鯖サンドを口に入れる。
僕も、首を捻りながら答えた。
「僕も、大学の時の健康診断が最後だけど、
確か182だったような」
ということは、測った年月から考えても
身長は二人ともほぼ同じ、ということだろう。
ついでに、職場では“もやしコンビ”と呼ば
れていることも付け加えようかと思ったけれ
ど、それを口にする前に、咲さんがしゃべり
出したので、僕は言葉を飲み込んだ。
「そっか、二人とも180超えてるんだ。
凄いなぁ。わたし、小柄だから羨ましいです。
羽柴さんと町田さん、背格好も雰囲気も似てる
から、二人で並んで歩いてると兄弟に見えます
よ。ね?弥凪」
屈託のない笑みを浮かべながら、咲さんが
僕の隣に座る弥凪に話を振る。弥凪はこくりと
頷くと、(似てるよ)と、手話で言った。
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