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超年の差結婚だけど幸せでした! でも短すぎる夫婦生活だったのでやり直しを希望します!

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「記憶喪失ぅ?」

 旦那様――もとい、サイファス様は、素っ頓狂な声をあげた。

 サイファス様によると、どうやらここはわたしがいた時間から四十年前――ちょうど戦争が終わったころの時代だった。

 未来から来ましたなんてもちろん言えないし、でもなんとかしてこのままサイファス様と一緒にいたいわたしは、苦し紛れに「記憶喪失」と言うことにした。

 サイファス様はあきれていたけれども、四十年前の世界のことなんてわたしは知らないから、意外と押し通すのは簡単だった。

 名前だけは覚えていると言って、まんまとサイファス様に「ベル」と呼んでもらうことに成功したわたしは、「不安だ」「一人にしないで」とサイファス様にまとわりついて、彼の邸に連れて帰ってもらった。

「いいか、お嬢ちゃん。記憶が戻ったら出ていくんだぞ?」

 ということは、ずっと記憶喪失のふりをしていたら、ずっと置いてくれるのかしら?

 うんうんと頷くわたしに、サイファス様は「お嬢ちゃんの顔、誰かに似てるんだよなぁ」って頭をかいている。

 うーん、たぶんそれ、おじいさまだと思うわ。

 目元がよく似ているってお父様が言っていたもの。

 でも、国王様の未来の孫娘ですなんて言えるはずがないから、にこにこと笑って誤魔化しておいたけど。

 四十年前だから、旦那様は三十二歳か。若いころの旦那様もかっこいいなぁ。

 サイファス様にもう一度会えたのが嬉しくて、どこに行くにも雛鳥みたいにあとをくっついて歩いていたら、とうとう笑われてしまった。

「ベル、変わってるって言われないか?」

「どうして?」

「普通、ベルみたいな若い娘は、俺のこの顔を怖がるんだがなぁ」

 あー、確かにサイファス様の顔は一見すると怖いけど、でも、わたしは昔からたくさん遊んでもらったし、結婚してからはとっても優しくしてもらったし、全然怖くないわよ? あ、もちろん怒らせたら怖いのは知ってるけどね。

「怖くありませんわ」

 わたしが平然と笑うものだから、サイファス様は虚を突かれたような顔をして、ぷいっと横を向いてしまった。ふふ、目元が少し赤くなっているわ、旦那様。

 そしてまた、わたしがうしろをちょこちょこついて歩いていると、とうとうお腹を抱えて笑い出してしまった。

 こうして、わたしとサイファス様の生活がはじまった――




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