古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか

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私と友達

第7話 立ち回れ

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 寝たのは2時半過ぎだったのに、7時には目が覚めた
 モヤモヤとした気持ちはのこるけれど、仕方ないと割り切ろう。
 すべてに納得できることのほうが少ない。
 バイトだって、モヤモヤはあったけれどやめたことは後悔してないでしょ? そう自分に言い聞かせる。


 動かず嫌なことを我慢しているより、自分で行動に移して楽しめるようにしよう!
 希と裕美は。また二人といて楽しいと思えるときに仲良くすればいいだけと言い聞かせ。
 マグカップに牛乳をたっぷりいれて飲みほした。


 まず今は連絡をほとんどしていないけれど、ダメもとで麗奈に連絡してみることにした。


 ちょっとずるいけれど、それでうまくいったら麗奈のグループに移動する。
 上手くいかなかったら、とりあえず希と裕美に取り繕って前のグループにいつつ。他のグループに移動できないか考えることにした。
 ちょっと前なら思いつかなかったずるい感じだった。


 奇数のグループのほうが仲間に入れてもらいやすいはず。
 ペアになってとか、4人組でとか何かするときに割と偶数でやらされることが多いし。
 グループを移動した子たちも、自分が3人目や5人目になるところではなくて、自分が入ることで偶数人数になるところを選んでいたことに私は気が付いていた。


 問題はなんて送るかよ……
 麗奈たちはやんわりとグループから離れたことを考えると、付き合う人間をある程度選ぶタイプなのだと思うから。
 マイナスな印象が残らない感じがいいよね。
 私と麗奈たちがグループが離れる原因になったのは、私がおそらくバイトの愚痴ばかりいっていたせいだと思う。
 それならバイトやめたことは言ったほうがいいかも。

 そしてグループにいれてと言うよりかは自然とメンバーに入る感じがいいよね。となるとまずは遊びに誘ったほうがいいかも。

 私たちが3人のグループをSNSでつくったから、麗奈たちも麗奈、白雪ちゃん、朋ちゃんでグループを作っているだろうし、麗奈に声をかければ他の二人にも連絡が行くでしょう。


『バイトやめて時間できたから、春休中に1度白雪ちゃんと朋ちゃんも誘って久しぶりに4人でごはんでもいかない?』
 15分ほどすると既読が付いた。
 私はドキドキしつつ画面を見つめていた。
『バイトやめたんだΣ(・□・;)』
 麗奈から返事はきたけれど、ご飯でも行かない? という質問ははさらっとスルーされていた。


 大丈夫まだ断られたわけじゃない。
 ついつい、裕美とのやり取りの時のように、辞めてスッキリってバイトの愚痴を話したくなるけれど。
 私が見限られたのはおそらく愚痴が多かったからだから気を付けて返事を考える。
『2月いっぱいでやめたんだ。遊びに行けてない間に駅中結構お店が変わってて今浦島状態笑。いいお店あった?』
 私は愚痴を言わないように気を付けつつ、私は意図的に愚痴になりそうなバイトから話をそらした。
『私の好みではないけれど、白雪がよく着てるようなフェミニン系の服のお店が多い感じかな』
『値段は?』
『わりとお手頃かな~』
 愚痴に流れないように気を付けつつ、麗奈と他愛もない話をワイワイと久々にやり取りした。



『ところで、希と裕美は? 二人と仲良かったじゃん。遊ぶにしてもどうしてうちらなのかなって……』
 しばらく話すと麗奈からそう聞かれた。
『二人ともバイト忙しいだろうし。それに二人ともすごくいい子なんだけど。愚痴抜きで今みたくいろいろ話して遊びたいなってバイト辞めたら思ってさ』
『ちょっと、二人にも聞いてみるね』

 麗奈が白雪ちゃんと朋ちゃんに聞いてみるってことで会話は終わった。



 なるべく愚痴は言わないようにしたし、楽しい会話を心掛けたんだけど。
 どうだろ…………


 その日の夕方。
 二人とも〇って連絡がきてほっとした。
 私がまだ駅中のリニューアル後見て回ってないってことで、そのあたりをぶらぶらして、ご飯でもしようってことにトントンと決まった。



 麗奈、白雪ちゃん、朋ちゃんと遊ぶのは秋以来でちょっと緊張したけれど。
 私の読み通り私をいれて4人になったことで自然と歩くときに2,2に別れた。
 麗奈と白雪ちゃんが先を歩いて、私と朋ちゃんが並んだ。
「実来ちゃんと遊びに行くの久しぶりだね」
 ニコっと朋ちゃんが笑う。
 愚痴は言わない、もうバイトはやめたから愚痴ることはない。
 今を楽しもう。


 久々に友達と遊ぶのはすごく楽しかった。
 特別なことをしたわけではない、買い物をして、疲れたからお茶をしながら、あれ買えばよかったかも~とかそんな他愛もない話をして。
 古屋さんとちがって、友達としてある程度遊びに行ったことがあったからこそ、すぐに前のように話すことができて私はすごく楽しい時間を過ごしていた。
 愚痴を言わないようにと最初は思っていたけれど、意識しなくても私が愚痴をいうことはなかった。


 お昼ご飯をたべて、カフェでふかふかの椅子にすわって休憩していると麗奈が白雪ちゃんと朋ちゃんに目配せをしてから私に話を切り出してきた。
「なんか、実来かわったね。悪い意味じゃないよ。いい意味で」
「え? そう?」
 麗奈に突然そう言われてきょどってしまう。
「言いにくいんだけど……愚痴っぽくなくなったよね」
 白雪ちゃんが遠慮がちにそういう。
「うんうん。前は皆で話していていてもきっかけがあるとすぐ話題を変えても、愚痴になるっていうか」
 思い返すと愚痴が続くと話題を変えてくれていた朋ちゃんが困った顔でそういった。
 というか、やはり話題意図的に変えてくれてたんだ。


「皆楽しい話しようとしてるときに、いつも愚痴いいだしてごめん。ご飯おいしくなくなかったよね」
「ということは、ご飯がおいしくないこと経験したんだ」
 麗奈がまっすぐと私を見つめてはっきりと言い切った。
「……うん。自分も愚痴を言っている間はむしろストレス発散できてたんだけど。いざバイトをやめて同調せず聞く側にまわったらちょっとしんどくて」
「「あ~」」
 白雪ちゃんと朋ちゃんが私が言ったことにそう声を出していた。



「なんていうか、ちょっと意外かな……。実来って優しいタイプというか。ちょっと引っかかることがあっても我慢する人って思ってた」
 麗奈の言う通り、私はこれまでだったら見事ちょっと引っかかることがあっても友達をやめるとかは思いつかずに、相手の嫌なところが見えても友達でいなきゃって思うタイプで。グループを移動しようとか思いもつかなかった。



 
 

 
 
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