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私と友達
第6話 さよなら友達
「こんなに遅くなるつもりじゃなかったんだけどごめん」
申し訳ない裕美の声に、むしろ私のせいで希の話をこんな時間まで聞く羽目になったことがわかっていた私は申し訳なくなる。
「希の話きいてくれてたんでしょ?」
「まぁね。実来は気にしてるだろうと思ってね」
私が恐る恐る切り出すと、ごまかしきれないと思ったのだろう、裕美はあっさりと希の話を聞いていたことを認めて気まずそうに笑った。
「……希怒ってるよね?」
絶対に怒っているのはわかっていたけれど、聞かずにはいられなかった。
「怒るというよりかは、本当はすごく不安なんだと思う。成績下がったって言ってたし。もともと責任感強いタイプじゃん? 自分が抜けたらって思っているところに。実来に見ないようにしてた正論ぶつけられて戸惑っているって感じなんだと思う」
裕美は怒っているかどうかは言わずに、私に配慮するように言葉を選んで話してくれた。
「私も言葉の選び方がわるかったのかも」
十分考える時間が空いたことで、すっかりカチンときた気持ちは消えて、希だって自分の成績のこともあって悩んでいたんだしとちょっとだけ相手の立場も見えてくる。
バイトをやめてスッキリした半面、罪悪感が全くなかったわけではなくて、罪悪感の部分をあてこするかのように意図的に言われたことは図星だったからこそ。
希と同じで私もカチンと来てしまったんだ。
「うーん。実来がというよりかは、履歴的に希が一方的に噛みついてきて、ちょっと言い返されたら逆切れされた感じに私は思ったよ。そして、私は希とちがって実来の言う通りかなって思った」
「裕美……」
裕美の本心はわからないけれど、私の意見を肯定してもらえたことにじーんとしてしまった。
「私は二人と違って単位も落としちゃったし。このままバイトを優先させていたら流石にヤバいって思っててさ。希の言うように人が足りないから私が辞めたら困ると思うけれど。だからといって、留年するわけにもいかないじゃない?」
そういって、明るい声で裕美は笑った。
「そうなの! 希のこととか関係なしに。テストも受けながらこれヤバいってずっと考えてて。バイト先は困っていることはわかるんだけど、私が背負えないってなっちゃったの……」
「私もテスト期間中もバイト頼まれて、テストのための準備もできてないし。テスト受けているときにもっと準備さえしてればもっとちゃんと点が取れるテストだったのにって」
「それな。科目によっては事前にある程度準備しておけばそれなりにとれたのにさ。テスト期間にラストまで入れられる職場じゃテスト期間前にまとめる時間もないしってなって」
「そうそう。テスト期間中にシフト入れてくるところなんだから、テスト前に準備できないんだよね……」
愚痴が沢山沢山こぼれて、気がつけば1時間も時間が経っていた。
「希には実は言えてないんだけど。私もバイト辞めようと思う。留年はシャレにならないし。ただ希には黙っていてほしい」
「それがいいと思う。希には言うつもりないっていうか、正直なところなんて連絡していいかわからないし。学校が始まったらどうしようかなって感じ」
「今は多分頭に血がのぼっているだけで、時間が経てば大丈夫だと思うよ。私も二人の間に入るし」
裕美はそう言ってくれた。
けど、私は裕美におねがいねと頼んで間を取り持ってもらってまで、愚痴を聞くグループにいるのは嫌だなと思ったのだ。
今までだったら、裕美にごめんだけれど。お願いって頼んで希と仲直りをなんとかして、これまで通りまた3人で昼食を食べるようになっただろう。
だけど今日の私は違った。
二人にバイトをやめたことを話して、古屋さんに言われたことを話すことで、二人もうまくバイトをやめて3人でたのしくやれたらいいなとおこがましく思っていた考えはうまくいかなかった。
裕美は私の話をきいて、自分もバイトをやめることを決断してくれたけれど。
希はそうは思わず、むしろ仲たがいする結果となった。
裕美は希の機嫌を損ねるからとバイトをやめたことを言わないつもりってことだし。
結局希と裕美の愚痴をきいていたのが、裕美がバイトをやめても希の愚痴を聞く昼食になる。
それはきっとまたおいしくないご飯で、楽しくない日々が続くということだった。
できれば3人で楽しく過ごしたかった。
だけど悲しいけれど、その願いはかないそうはない。
グループに戻ることはできるかもしれない、でもそれは私が望んでる楽しい会話ができるグループではなく。
おそらく愚痴を聞き続ける必要のあるグループになると思う。
古屋さんや私のいたグループから抜けて行った先人たちのように、今更ながらこんなにこじれるならば余計なことを言わずにさっと離れるのが正解だったかもと思いつつも。
すでに起こったことは仕方ない。
バイトと同じ腹をくくるときが来たんじゃないかな? と冷静に思う自分がいた。
だから……
「裕美ありがとう。希も気まずいだろうし。私も少し考えてみるよ……」
そういって電話を切った。
裕美、気を使ってくれてごめん。
だけど私せっかくならもう少し楽しく過ごしたいんだ。
電話を切ってから裕美に心の中で謝罪して眠りについた。
申し訳ない裕美の声に、むしろ私のせいで希の話をこんな時間まで聞く羽目になったことがわかっていた私は申し訳なくなる。
「希の話きいてくれてたんでしょ?」
「まぁね。実来は気にしてるだろうと思ってね」
私が恐る恐る切り出すと、ごまかしきれないと思ったのだろう、裕美はあっさりと希の話を聞いていたことを認めて気まずそうに笑った。
「……希怒ってるよね?」
絶対に怒っているのはわかっていたけれど、聞かずにはいられなかった。
「怒るというよりかは、本当はすごく不安なんだと思う。成績下がったって言ってたし。もともと責任感強いタイプじゃん? 自分が抜けたらって思っているところに。実来に見ないようにしてた正論ぶつけられて戸惑っているって感じなんだと思う」
裕美は怒っているかどうかは言わずに、私に配慮するように言葉を選んで話してくれた。
「私も言葉の選び方がわるかったのかも」
十分考える時間が空いたことで、すっかりカチンときた気持ちは消えて、希だって自分の成績のこともあって悩んでいたんだしとちょっとだけ相手の立場も見えてくる。
バイトをやめてスッキリした半面、罪悪感が全くなかったわけではなくて、罪悪感の部分をあてこするかのように意図的に言われたことは図星だったからこそ。
希と同じで私もカチンと来てしまったんだ。
「うーん。実来がというよりかは、履歴的に希が一方的に噛みついてきて、ちょっと言い返されたら逆切れされた感じに私は思ったよ。そして、私は希とちがって実来の言う通りかなって思った」
「裕美……」
裕美の本心はわからないけれど、私の意見を肯定してもらえたことにじーんとしてしまった。
「私は二人と違って単位も落としちゃったし。このままバイトを優先させていたら流石にヤバいって思っててさ。希の言うように人が足りないから私が辞めたら困ると思うけれど。だからといって、留年するわけにもいかないじゃない?」
そういって、明るい声で裕美は笑った。
「そうなの! 希のこととか関係なしに。テストも受けながらこれヤバいってずっと考えてて。バイト先は困っていることはわかるんだけど、私が背負えないってなっちゃったの……」
「私もテスト期間中もバイト頼まれて、テストのための準備もできてないし。テスト受けているときにもっと準備さえしてればもっとちゃんと点が取れるテストだったのにって」
「それな。科目によっては事前にある程度準備しておけばそれなりにとれたのにさ。テスト期間にラストまで入れられる職場じゃテスト期間前にまとめる時間もないしってなって」
「そうそう。テスト期間中にシフト入れてくるところなんだから、テスト前に準備できないんだよね……」
愚痴が沢山沢山こぼれて、気がつけば1時間も時間が経っていた。
「希には実は言えてないんだけど。私もバイト辞めようと思う。留年はシャレにならないし。ただ希には黙っていてほしい」
「それがいいと思う。希には言うつもりないっていうか、正直なところなんて連絡していいかわからないし。学校が始まったらどうしようかなって感じ」
「今は多分頭に血がのぼっているだけで、時間が経てば大丈夫だと思うよ。私も二人の間に入るし」
裕美はそう言ってくれた。
けど、私は裕美におねがいねと頼んで間を取り持ってもらってまで、愚痴を聞くグループにいるのは嫌だなと思ったのだ。
今までだったら、裕美にごめんだけれど。お願いって頼んで希と仲直りをなんとかして、これまで通りまた3人で昼食を食べるようになっただろう。
だけど今日の私は違った。
二人にバイトをやめたことを話して、古屋さんに言われたことを話すことで、二人もうまくバイトをやめて3人でたのしくやれたらいいなとおこがましく思っていた考えはうまくいかなかった。
裕美は私の話をきいて、自分もバイトをやめることを決断してくれたけれど。
希はそうは思わず、むしろ仲たがいする結果となった。
裕美は希の機嫌を損ねるからとバイトをやめたことを言わないつもりってことだし。
結局希と裕美の愚痴をきいていたのが、裕美がバイトをやめても希の愚痴を聞く昼食になる。
それはきっとまたおいしくないご飯で、楽しくない日々が続くということだった。
できれば3人で楽しく過ごしたかった。
だけど悲しいけれど、その願いはかないそうはない。
グループに戻ることはできるかもしれない、でもそれは私が望んでる楽しい会話ができるグループではなく。
おそらく愚痴を聞き続ける必要のあるグループになると思う。
古屋さんや私のいたグループから抜けて行った先人たちのように、今更ながらこんなにこじれるならば余計なことを言わずにさっと離れるのが正解だったかもと思いつつも。
すでに起こったことは仕方ない。
バイトと同じ腹をくくるときが来たんじゃないかな? と冷静に思う自分がいた。
だから……
「裕美ありがとう。希も気まずいだろうし。私も少し考えてみるよ……」
そういって電話を切った。
裕美、気を使ってくれてごめん。
だけど私せっかくならもう少し楽しく過ごしたいんだ。
電話を切ってから裕美に心の中で謝罪して眠りについた。
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