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人の恋路を応援している場合ではない
第19話 心当たり
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「冒険者ギルド、商業ギルド、アルバイト斡旋所に街の小さな店までとはかなり大規模に何かを探っているようだね。ところで、忠告された噂とはなんだい?」
「私の行きつけの店から、ここ最近茶色の髪をもつ女子生徒を……」
自分で口に出してハッとした。確か学園の生徒を探しているようだと言っていた。
マリアの髪の色は茶色で、マリア本人からも誰かが私を見張っているようだという相談を受けたところだったのだ。
私は二人の前で思わず控えめに挙手をした。
「私、このことに関係がありそうな心当たりを思い出しました。本当は相談を受けた私があちこちに勝手に言いふらしてはいけないのかもしれませんが……」
マリアから誰かに見張られている気がすると相談を受けたこと。
マリアは店の親父が警告してきた、学園の女子生徒で茶色の髪色という条件を満たしていること。
この二つは何か関係性があるのではないかということだ。
マリアは悪役令嬢の私と違いヒロインだ。今はまだ真の力に目覚めていないが浄化の力を持つ光魔法の使い手となるのだから。この価値に気がついた人間が他にいるとすれば……だ。
「何かお告げのようなものが出たのでしょうか?」
「お告げ? なんだいそれは」
てっきり、神とかからのお告げで浄化の力を持つ女の子の特徴とかが流れてきたのかと思ったけれどこの世界には異世界でおなじみの神からのお告げのような文化はないようだ。
ジークとリオンが顔を見合わせていた。
「第一、少女を探すのが目的ならギルドはともかく、個人商店までご丁寧にすべて執拗に回る理由が説明できない」
バッサリとジークにやられた。
それはそうだ、少女を探していることと、魔法省が動いていることは関係があるのか、そこから考える必要がありそうだけど。
出来れば私はノータッチで行こう。命大事によ。
マリアのことは学校の先生をはじめとして、エドガーに頑張ってもらう方向で私は優雅にお茶を飲む係りだ。なんならニコル・マッカートの時のように書記係でもいい。
とにかく裏方に回らなければ。
「とりあえず議論をしたらお茶喉が渇きました。二人も何か一度飲みましょう」
「お気づかいありがとうございます」
リオンは頭を下げる。
ジークのほうをみると、お茶にほとんど手をつけていなかった。でも、冷めたのこのまま飲んでねってわけにいかないわよね。
「ところでレーナ、茶葉をかえたかい?」
「え? すぐ出てきたところをみると、いつものではございませんか?」
「はぁ……ならお茶はもう結構だ」
ため息をひとつつくと、残りを飲むわけでもないのに新しいものと交換するのを拒否した。
「何か不備がありましたでしょうか?」
メイドの不手際は主である私が謝らないといけない、ジークとは結構言いたいことを言い合って水面下でやり合っているけれど。
婚約を解消したとしても彼が公爵家の嫡男であることはずっと変わらない。
その彼が飲めない茶を出したままにするわけにはいかない。
「なんでもないよ」
ジークは何も言わない。
砂糖の代わりに塩でも入っているのか? とジークの飲みかけの冷めたカップを手に取り一口飲んでみる。間接キスとかそういうのは気にしだすときりがない。
はい、ストレートティーでした。
私の飲んでいるモノとは異なるけれど、普通の味だと思う。
「うーん……」
わからない。苺パフェを食べた時もそうだった、私の舌では飲んでみたのはいいけれど、茶葉違いはなんとなくわかるけれど、それがいつも飲んでる味に比べて劣ってるといったクオリティー的なものはわからない。
ブレンドとかされていれば私の舌での識別は絶望的だ。
「別に君のところのメイドにケチをつけるつもりはない。されても文句を言えない主の君に対して相応のこともしてきたからね。君と婚約を解消したことが原因なのか、君が解消しようと思った理由が噂にでもなったのかカフェでのお茶ぐらいから家で雇っているメイドですら、そうなのだから。しばらくおいしいお茶が飲めないことくらいわざわざ荒立てるほどの問題ではない」
何気に飲み物問題抱えていたジーク……。
でも、そんなわけにはいかない。食べ物の恨みというのは深い。
やはりここは公爵令嬢として対応しないといけない。ジークざまぁ、とかは思ってもいいけれど行動には決して移してはしてはいけない。レーナの品位が疑われる大問題だ。
今回の議論は置いといて、メイドに確認をする。
私がジーク様に提供したお茶は何かと聞くと、封を切られてすぐの茶葉の入った小瓶が差し出された。
匂いをとりあえず嗅いでみた。封を切られたばかりだけあって、よい香りだと思う。
ジークのほうに物を回す。彼も確認したようだが何ともないようだ。
料理が得意なリオンに本来は来客だからさせるべきではないがお茶を入れてもらった。
基本に忠実なのだと思う、砂時計を使いしっかりと時間を計り蒸らしてから器に注がれる。
混ぜ物などしていない。
しかし、ジークは私よりも舌が肥えているようで、一口飲むと眉をひそめた。
「茶葉の質が落ちただけか?」
そういい残すとお茶を結局残していた。お茶が飲めないなら牛乳や100%のジュースを飲めばいいじゃない的な生活をしているのだろうか。
とにかく私の前にいつくもの問題が立ちはだかった。
①茶色の髪の女子生徒を探す噂とマリアのこと。
②魔法省の職員が学園都市に出入りしまくっていること。
③マリアとエドガーの恋の行方
④ジークへのお茶嫌がらせ問題←new
とりあえず、①はリオンと一部エドガーと学校の先生にお任せ。②はリオンにお任せ。
私は③、④の問題解決のために動くことにしましょう。そうしましょう。それが安全そうだわ。
方針が決まれば早い。リオンに噂の調査と魔法省の職員なのだから今回の出入りの原因について魔法省の職員としてわからないか調べてもらうことにした。
③は一人でがんばるとして、④は公爵令嬢としてジークが飲めるお茶問題の解決に取り組むことにした。
「私の行きつけの店から、ここ最近茶色の髪をもつ女子生徒を……」
自分で口に出してハッとした。確か学園の生徒を探しているようだと言っていた。
マリアの髪の色は茶色で、マリア本人からも誰かが私を見張っているようだという相談を受けたところだったのだ。
私は二人の前で思わず控えめに挙手をした。
「私、このことに関係がありそうな心当たりを思い出しました。本当は相談を受けた私があちこちに勝手に言いふらしてはいけないのかもしれませんが……」
マリアから誰かに見張られている気がすると相談を受けたこと。
マリアは店の親父が警告してきた、学園の女子生徒で茶色の髪色という条件を満たしていること。
この二つは何か関係性があるのではないかということだ。
マリアは悪役令嬢の私と違いヒロインだ。今はまだ真の力に目覚めていないが浄化の力を持つ光魔法の使い手となるのだから。この価値に気がついた人間が他にいるとすれば……だ。
「何かお告げのようなものが出たのでしょうか?」
「お告げ? なんだいそれは」
てっきり、神とかからのお告げで浄化の力を持つ女の子の特徴とかが流れてきたのかと思ったけれどこの世界には異世界でおなじみの神からのお告げのような文化はないようだ。
ジークとリオンが顔を見合わせていた。
「第一、少女を探すのが目的ならギルドはともかく、個人商店までご丁寧にすべて執拗に回る理由が説明できない」
バッサリとジークにやられた。
それはそうだ、少女を探していることと、魔法省が動いていることは関係があるのか、そこから考える必要がありそうだけど。
出来れば私はノータッチで行こう。命大事によ。
マリアのことは学校の先生をはじめとして、エドガーに頑張ってもらう方向で私は優雅にお茶を飲む係りだ。なんならニコル・マッカートの時のように書記係でもいい。
とにかく裏方に回らなければ。
「とりあえず議論をしたらお茶喉が渇きました。二人も何か一度飲みましょう」
「お気づかいありがとうございます」
リオンは頭を下げる。
ジークのほうをみると、お茶にほとんど手をつけていなかった。でも、冷めたのこのまま飲んでねってわけにいかないわよね。
「ところでレーナ、茶葉をかえたかい?」
「え? すぐ出てきたところをみると、いつものではございませんか?」
「はぁ……ならお茶はもう結構だ」
ため息をひとつつくと、残りを飲むわけでもないのに新しいものと交換するのを拒否した。
「何か不備がありましたでしょうか?」
メイドの不手際は主である私が謝らないといけない、ジークとは結構言いたいことを言い合って水面下でやり合っているけれど。
婚約を解消したとしても彼が公爵家の嫡男であることはずっと変わらない。
その彼が飲めない茶を出したままにするわけにはいかない。
「なんでもないよ」
ジークは何も言わない。
砂糖の代わりに塩でも入っているのか? とジークの飲みかけの冷めたカップを手に取り一口飲んでみる。間接キスとかそういうのは気にしだすときりがない。
はい、ストレートティーでした。
私の飲んでいるモノとは異なるけれど、普通の味だと思う。
「うーん……」
わからない。苺パフェを食べた時もそうだった、私の舌では飲んでみたのはいいけれど、茶葉違いはなんとなくわかるけれど、それがいつも飲んでる味に比べて劣ってるといったクオリティー的なものはわからない。
ブレンドとかされていれば私の舌での識別は絶望的だ。
「別に君のところのメイドにケチをつけるつもりはない。されても文句を言えない主の君に対して相応のこともしてきたからね。君と婚約を解消したことが原因なのか、君が解消しようと思った理由が噂にでもなったのかカフェでのお茶ぐらいから家で雇っているメイドですら、そうなのだから。しばらくおいしいお茶が飲めないことくらいわざわざ荒立てるほどの問題ではない」
何気に飲み物問題抱えていたジーク……。
でも、そんなわけにはいかない。食べ物の恨みというのは深い。
やはりここは公爵令嬢として対応しないといけない。ジークざまぁ、とかは思ってもいいけれど行動には決して移してはしてはいけない。レーナの品位が疑われる大問題だ。
今回の議論は置いといて、メイドに確認をする。
私がジーク様に提供したお茶は何かと聞くと、封を切られてすぐの茶葉の入った小瓶が差し出された。
匂いをとりあえず嗅いでみた。封を切られたばかりだけあって、よい香りだと思う。
ジークのほうに物を回す。彼も確認したようだが何ともないようだ。
料理が得意なリオンに本来は来客だからさせるべきではないがお茶を入れてもらった。
基本に忠実なのだと思う、砂時計を使いしっかりと時間を計り蒸らしてから器に注がれる。
混ぜ物などしていない。
しかし、ジークは私よりも舌が肥えているようで、一口飲むと眉をひそめた。
「茶葉の質が落ちただけか?」
そういい残すとお茶を結局残していた。お茶が飲めないなら牛乳や100%のジュースを飲めばいいじゃない的な生活をしているのだろうか。
とにかく私の前にいつくもの問題が立ちはだかった。
①茶色の髪の女子生徒を探す噂とマリアのこと。
②魔法省の職員が学園都市に出入りしまくっていること。
③マリアとエドガーの恋の行方
④ジークへのお茶嫌がらせ問題←new
とりあえず、①はリオンと一部エドガーと学校の先生にお任せ。②はリオンにお任せ。
私は③、④の問題解決のために動くことにしましょう。そうしましょう。それが安全そうだわ。
方針が決まれば早い。リオンに噂の調査と魔法省の職員なのだから今回の出入りの原因について魔法省の職員としてわからないか調べてもらうことにした。
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