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第4章 宮廷にて知る
第7話 祭りの後は
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「私は・・・ついに我が運命と出会った」
「その娘に罵倒されたのでしょう? なんでそういう話になるんです?」
自分の目の前で、端正な顔立ちをした男が鼻息荒く息巻く様子を訝しげに見つめながら、マーク・エリオットは内心で、この男は頭でもおかしいのだろうか?と、自問自答していた。
頭をぶつけたか?
それとも元から頭がおかしかったのか?
それでもそれを露骨に顔に出さないのは、この男がとても上品で豪華な貴族の衣装を身に纏っていたからであり、マークも、貴族相手に無礼な真似をして手打ちにあうのはごめんだと分かっていたからである。
じっとその男を冷静に観察すれば、男からみても実に魅力的な顔立ちをしている。彫りの深い顔立ちに、深い緑色の瞳の奥には高い知性が垣間見えているし、文官ではあるが、体つきは逞しく、背が高く男らしかった。
女から見たらさぞかし魅力的に映るであろうその風貌と、今のおかしな言動が一致しないことが、最大の問題である。
騎士が不審者を取り調べに使う殺風景な部屋の中の椅子に男達はどかっと座り、マークは若い見習い騎士が持ってきたゴブレットにはいった水を男に勧めた。水は生ぬるく到底貴族の口に合うものではないが、この際、それは気にしないことにしていた。
「まあ・・・とにかく、水でも飲んで気持ちを落ち着けてください」
きっと、頭でも打ったのだろう。一時的な錯乱状態なのかな、と、マークはちらと思った顔を読み取られてしまったらしい。
「言っておくが、私は錯乱している訳ではないからな」
やはり知性は高いらしい。男は、マークの様子に釘をしっかりと刺してきた。
「それで・・・その、まず、貴方のお名前は?」
騎士達の取調室とも言えるその部屋で、男はたたみかけるように話し始めた。
それは、小一時間ほど前、マークが、他の騎士達に挑戦を受けている所から始まったのである
◇
いつもの業務が終わり、マークが休憩と取ろうとほっとしながら回廊を歩いていた時だった。
「おい、お前!」
いきなり見知らぬ男達に呼び止められた。マークに向って無礼千万というような態度で、見たこともない若手騎士が挑むように睨み付けている。
第一騎士団は愚か、辺境警備をするような若手の騎士だった。まだ青二才とも言える。そんな若造にお前呼ばわりされる筋合いはない。
呼ばれて無視する訳にもいかない。そうなれば、余計に面倒なことになる。
「・・・ああ、俺のことか?」
めんどくさそうに振り向いたマークに、血の気の多い若造が挑戦的な口調で挑んできた。
また、いつものあれだ、とマークは少しウンザリした様子でため息をついた。
チェルトベリー子爵領という末端貴族から王立騎士団に入団できた、と言うだけで、どうやら青二才の癇に触るらしい。本当ならば相手にしないのが一番なのだが。
「そうお前だ」
「子爵領の騎士のくせに王立騎士団に入ってくるなんて顔がでかいぞ」
「身の程を知って、子爵領に帰ったらどうだ?」
いきなりの言いがかりを面倒に思ったマークはとっとと片をつけることにした。こういう輩は剣で黙らせるのが一番早い。チェルトベリー子爵領の男達はジュリアも含めて、みんな気が短いのだ。
マークもその例にもれず、口でなく、拳で語り合うほうを好んだ。
「生憎、俺は言葉で語り合う性格ではなくてね。俺が気に入らないなら、剣で手合わせをしてみるか?」
まだひよっ子とも言える若造にマークはにやりと語りかけた。こいつらなら、5分もあれば事足りるだろう。
若造たちは、マークをはっと見つめた。剣で手合わせなど、よほど熟練したものでなければ提案しない。ただ、残念なことにマークのへらっとした表情が相手の目には隙とうつり、舐めてかかられることが多いのだ。
相手の力量をきちんと把握することも騎士としての実力なのだが、まだ、未熟な若造はまだそこまで至ってはいないのだ。
「面白い、うけて立ってみせる」
背の低い若造の一人がきゃんきゃんと吠えた。そんな風に叫べば、否応無しに周囲の注目を浴びる。
「おい、決闘らしいぞ」
「なんだって、面白いじゃないか」
中庭で剣を抜き合う騎士達をめざとくみつけ、他の騎士達も野次馬として集まってきた。
「おお、新入り!頑張れよな!」
マークに声援を送っているのは第一騎士団の連中だ。マークの実力はすでに彼らは理解していた。
「下級貴族に使えていた騎士なんかに負けるな!」
そうヤジを飛ばすのは、第五騎士団の連中だ。やはり、マークの第一騎士団入りが気にくわない連中だ。
「第一騎士団の実力を見せてやれ」
「おう、任せてくれ」
マークは、同僚のエールをしっかりと受け止め、練習用の剣を手に、若造をすっと見据え、剣を抜いた。
「さあ、かかってこい。餓鬼ども」
子爵領の騎士達は口も悪いのだ。
「お、おう。お前、すぐに泣きっ面をかくんじゃないぞ」
~ その5分後のこと ~
マークは、きっちり5分で3人の若造を地面に沈めた。勝負にすらならない展開に、周りの男達はどっと湧いた。
地面に這いつくばった若造は口々に恨み言を呟いていた。
「く、くそう・・・こんな手を使うなんて汚いぞ」
「ああ、もう立ち上がれない。くそっ」
「くう。こんな実力があったとは・・・!」
「ふふ、お前ら、もう退散か。口ほどにもないな」
マークは、地面に這いつくばっている若造に嘲笑を浴びせかけた。それもそのはず、子爵領は王立騎士団と違ってダーティーなやり方はいくらでも心得ている。どんなやり方でも、勝ったものが高笑いをする。それだけだ。
「第一騎士団の実力を思い知れ!若造!」
中堅の騎士達がひよっこに向ってやんやとヤジを飛ばす。みんながこの勝負を面白がっていたのだ。第一騎士団に入団できるものは、マークのようにひよっこの3人や5人は平気でのせる。そうでなければ、第一騎士団に入団など出来ないのだから。
ちょうど同時刻、ルセーヌ侯爵は、城の中で打ち合わせが終わり高官と共に城の回廊を歩いている時だった。
「・・・まだ、お探しの方は見つかりませんか?」
秘書官が静かな口調で侯爵に語りかける。
「ああ、まだなのだ。貴族令嬢を片っ端から当ってみたが彼女に該当する令嬢が全く見当たらない」
「もう高位の貴族令嬢は一人も残っていないのですか?」
「ああ、残念だがそうなのだ」
今まで自分が欲しいものが手にはいらなかったことは一度もないのに、その娘の鱗片すら見つからないのだ。
「侯爵様にしては珍しいことですね。一人の娘にそこまで執着なさるとは」
「宮廷嫌いの侯爵様が毎日のように通われていらっしゃるので、周囲は、天変地異の前触れかと驚いておりますよ」
「生涯かけて出会うべき娘だ。どんな犠牲を払ってでも彼女を見つけ出すさ」
「後残っているのは、子爵以下でかつ辺境の地にいる令嬢だが、そんな野暮な土地に女神のような彼女がいるとは思えないんだが」
浮かない顔をしている侯爵に、秘書官は何かを見つけた様子だった。
「侯爵様、ほら、騎士達が中庭で決闘をしているようですよ。どこかの尻の青い小僧が中堅の騎士に挑んでるようです」
侯爵はそんなくだらないことには興味がなかったのだが、秘書官が見に行きたそうだったので、仕方なくつきあった。人が集まる場所にいれば、もしかしたら、あの娘のゆかりのある者もいるかもしれない。
彼らが到着すると、勝負はあらかたついてしまっていたようで、若い騎士が3人地面に這いつくばっているのが見えた。
「・・・もう決闘が終わってしまったようですね」
秘書官が悔しそうに呟くが、侯爵は若造の一人がなんとか立ち上がったのを見た。
「いや、まだ勝負はついてないぞ?」
その男が剣を振り上げ、悔し紛れに叫んだ。
「くそうっ、負けてたまるかっ!」
それでもなお立ち上がって剣を振りかざす若者を中堅の騎士はさっと躱し、慣れた手で剣を叩きおとし、若者の足を払い、再び地面へと沈めた。
倒れた男の周りに砂埃が巻き上がると、中堅の騎士は嘲笑を浴びせかけるかのように口を開いた。
「なんだその剣は。お前のはウズラか?」
子爵領特有の相手を愚弄するときの言い回しだ。
「ウズラの卵・・・・」
男の脳裡には咄嗟にあの時のことが鮮やかに蘇った。絶対に忘れられないあのセリフ。仮面舞踏会で、フォークを暴漢に投げつけた娘が自分に吐いた言葉が、再び脳裡をよぎる。
─ 貴方のウズラの卵はどこへ行ったの?
ウズラ・・・ウズラの卵、その特徴のある言い回し。忘れたくても決して耳から離れなかった女の凜としているけど甘い声。
もしかして、この男は彼女と関係があるかもしれない!
侯爵は、自分でも気づかないうちに、男達が決闘(剣の手合わせ)していた中庭に走り出していた。
「ぐえっ」
「ひっ!」
なんだか、足下でぐにゃりと人を踏んだ感触があったが、男は気にもせず、一目散に、若造を倒した騎士に走り寄っていた。
「人を踏みつけにされてますがっ、貴方はどなたっおっ・・・・」
マークの腕をひっぱり、引き寄せた男は血走った目で叫んだ。
「その表現、その言い回しはどこで覚えたっ?!」
突然の闖入者に、マークは驚いて見つめた。子爵領の独特の言い回しだったが、それを何故、この貴族風の男が必死になって知りたがるのだろうか?
男の目は血走り、縋り付くような目でマークを見つめた。
◇
最終章は無茶苦茶長くなるかもしれません。
「その娘に罵倒されたのでしょう? なんでそういう話になるんです?」
自分の目の前で、端正な顔立ちをした男が鼻息荒く息巻く様子を訝しげに見つめながら、マーク・エリオットは内心で、この男は頭でもおかしいのだろうか?と、自問自答していた。
頭をぶつけたか?
それとも元から頭がおかしかったのか?
それでもそれを露骨に顔に出さないのは、この男がとても上品で豪華な貴族の衣装を身に纏っていたからであり、マークも、貴族相手に無礼な真似をして手打ちにあうのはごめんだと分かっていたからである。
じっとその男を冷静に観察すれば、男からみても実に魅力的な顔立ちをしている。彫りの深い顔立ちに、深い緑色の瞳の奥には高い知性が垣間見えているし、文官ではあるが、体つきは逞しく、背が高く男らしかった。
女から見たらさぞかし魅力的に映るであろうその風貌と、今のおかしな言動が一致しないことが、最大の問題である。
騎士が不審者を取り調べに使う殺風景な部屋の中の椅子に男達はどかっと座り、マークは若い見習い騎士が持ってきたゴブレットにはいった水を男に勧めた。水は生ぬるく到底貴族の口に合うものではないが、この際、それは気にしないことにしていた。
「まあ・・・とにかく、水でも飲んで気持ちを落ち着けてください」
きっと、頭でも打ったのだろう。一時的な錯乱状態なのかな、と、マークはちらと思った顔を読み取られてしまったらしい。
「言っておくが、私は錯乱している訳ではないからな」
やはり知性は高いらしい。男は、マークの様子に釘をしっかりと刺してきた。
「それで・・・その、まず、貴方のお名前は?」
騎士達の取調室とも言えるその部屋で、男はたたみかけるように話し始めた。
それは、小一時間ほど前、マークが、他の騎士達に挑戦を受けている所から始まったのである
◇
いつもの業務が終わり、マークが休憩と取ろうとほっとしながら回廊を歩いていた時だった。
「おい、お前!」
いきなり見知らぬ男達に呼び止められた。マークに向って無礼千万というような態度で、見たこともない若手騎士が挑むように睨み付けている。
第一騎士団は愚か、辺境警備をするような若手の騎士だった。まだ青二才とも言える。そんな若造にお前呼ばわりされる筋合いはない。
呼ばれて無視する訳にもいかない。そうなれば、余計に面倒なことになる。
「・・・ああ、俺のことか?」
めんどくさそうに振り向いたマークに、血の気の多い若造が挑戦的な口調で挑んできた。
また、いつものあれだ、とマークは少しウンザリした様子でため息をついた。
チェルトベリー子爵領という末端貴族から王立騎士団に入団できた、と言うだけで、どうやら青二才の癇に触るらしい。本当ならば相手にしないのが一番なのだが。
「そうお前だ」
「子爵領の騎士のくせに王立騎士団に入ってくるなんて顔がでかいぞ」
「身の程を知って、子爵領に帰ったらどうだ?」
いきなりの言いがかりを面倒に思ったマークはとっとと片をつけることにした。こういう輩は剣で黙らせるのが一番早い。チェルトベリー子爵領の男達はジュリアも含めて、みんな気が短いのだ。
マークもその例にもれず、口でなく、拳で語り合うほうを好んだ。
「生憎、俺は言葉で語り合う性格ではなくてね。俺が気に入らないなら、剣で手合わせをしてみるか?」
まだひよっ子とも言える若造にマークはにやりと語りかけた。こいつらなら、5分もあれば事足りるだろう。
若造たちは、マークをはっと見つめた。剣で手合わせなど、よほど熟練したものでなければ提案しない。ただ、残念なことにマークのへらっとした表情が相手の目には隙とうつり、舐めてかかられることが多いのだ。
相手の力量をきちんと把握することも騎士としての実力なのだが、まだ、未熟な若造はまだそこまで至ってはいないのだ。
「面白い、うけて立ってみせる」
背の低い若造の一人がきゃんきゃんと吠えた。そんな風に叫べば、否応無しに周囲の注目を浴びる。
「おい、決闘らしいぞ」
「なんだって、面白いじゃないか」
中庭で剣を抜き合う騎士達をめざとくみつけ、他の騎士達も野次馬として集まってきた。
「おお、新入り!頑張れよな!」
マークに声援を送っているのは第一騎士団の連中だ。マークの実力はすでに彼らは理解していた。
「下級貴族に使えていた騎士なんかに負けるな!」
そうヤジを飛ばすのは、第五騎士団の連中だ。やはり、マークの第一騎士団入りが気にくわない連中だ。
「第一騎士団の実力を見せてやれ」
「おう、任せてくれ」
マークは、同僚のエールをしっかりと受け止め、練習用の剣を手に、若造をすっと見据え、剣を抜いた。
「さあ、かかってこい。餓鬼ども」
子爵領の騎士達は口も悪いのだ。
「お、おう。お前、すぐに泣きっ面をかくんじゃないぞ」
~ その5分後のこと ~
マークは、きっちり5分で3人の若造を地面に沈めた。勝負にすらならない展開に、周りの男達はどっと湧いた。
地面に這いつくばった若造は口々に恨み言を呟いていた。
「く、くそう・・・こんな手を使うなんて汚いぞ」
「ああ、もう立ち上がれない。くそっ」
「くう。こんな実力があったとは・・・!」
「ふふ、お前ら、もう退散か。口ほどにもないな」
マークは、地面に這いつくばっている若造に嘲笑を浴びせかけた。それもそのはず、子爵領は王立騎士団と違ってダーティーなやり方はいくらでも心得ている。どんなやり方でも、勝ったものが高笑いをする。それだけだ。
「第一騎士団の実力を思い知れ!若造!」
中堅の騎士達がひよっこに向ってやんやとヤジを飛ばす。みんながこの勝負を面白がっていたのだ。第一騎士団に入団できるものは、マークのようにひよっこの3人や5人は平気でのせる。そうでなければ、第一騎士団に入団など出来ないのだから。
ちょうど同時刻、ルセーヌ侯爵は、城の中で打ち合わせが終わり高官と共に城の回廊を歩いている時だった。
「・・・まだ、お探しの方は見つかりませんか?」
秘書官が静かな口調で侯爵に語りかける。
「ああ、まだなのだ。貴族令嬢を片っ端から当ってみたが彼女に該当する令嬢が全く見当たらない」
「もう高位の貴族令嬢は一人も残っていないのですか?」
「ああ、残念だがそうなのだ」
今まで自分が欲しいものが手にはいらなかったことは一度もないのに、その娘の鱗片すら見つからないのだ。
「侯爵様にしては珍しいことですね。一人の娘にそこまで執着なさるとは」
「宮廷嫌いの侯爵様が毎日のように通われていらっしゃるので、周囲は、天変地異の前触れかと驚いておりますよ」
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浮かない顔をしている侯爵に、秘書官は何かを見つけた様子だった。
「侯爵様、ほら、騎士達が中庭で決闘をしているようですよ。どこかの尻の青い小僧が中堅の騎士に挑んでるようです」
侯爵はそんなくだらないことには興味がなかったのだが、秘書官が見に行きたそうだったので、仕方なくつきあった。人が集まる場所にいれば、もしかしたら、あの娘のゆかりのある者もいるかもしれない。
彼らが到着すると、勝負はあらかたついてしまっていたようで、若い騎士が3人地面に這いつくばっているのが見えた。
「・・・もう決闘が終わってしまったようですね」
秘書官が悔しそうに呟くが、侯爵は若造の一人がなんとか立ち上がったのを見た。
「いや、まだ勝負はついてないぞ?」
その男が剣を振り上げ、悔し紛れに叫んだ。
「くそうっ、負けてたまるかっ!」
それでもなお立ち上がって剣を振りかざす若者を中堅の騎士はさっと躱し、慣れた手で剣を叩きおとし、若者の足を払い、再び地面へと沈めた。
倒れた男の周りに砂埃が巻き上がると、中堅の騎士は嘲笑を浴びせかけるかのように口を開いた。
「なんだその剣は。お前のはウズラか?」
子爵領特有の相手を愚弄するときの言い回しだ。
「ウズラの卵・・・・」
男の脳裡には咄嗟にあの時のことが鮮やかに蘇った。絶対に忘れられないあのセリフ。仮面舞踏会で、フォークを暴漢に投げつけた娘が自分に吐いた言葉が、再び脳裡をよぎる。
─ 貴方のウズラの卵はどこへ行ったの?
ウズラ・・・ウズラの卵、その特徴のある言い回し。忘れたくても決して耳から離れなかった女の凜としているけど甘い声。
もしかして、この男は彼女と関係があるかもしれない!
侯爵は、自分でも気づかないうちに、男達が決闘(剣の手合わせ)していた中庭に走り出していた。
「ぐえっ」
「ひっ!」
なんだか、足下でぐにゃりと人を踏んだ感触があったが、男は気にもせず、一目散に、若造を倒した騎士に走り寄っていた。
「人を踏みつけにされてますがっ、貴方はどなたっおっ・・・・」
マークの腕をひっぱり、引き寄せた男は血走った目で叫んだ。
「その表現、その言い回しはどこで覚えたっ?!」
突然の闖入者に、マークは驚いて見つめた。子爵領の独特の言い回しだったが、それを何故、この貴族風の男が必死になって知りたがるのだろうか?
男の目は血走り、縋り付くような目でマークを見つめた。
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