悪辣令嬢、媚薬を盛る

宵の月

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悪辣令嬢、策に溺れる

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 アシェラはグラードから許可をもぎ取って、実家の公爵家にやって来ていた。
 はちみつ色の柔らかいの髪の毛。サファイアかと見紛う煌めく瞳。陶器のように艶やかな白い肌に、薔薇色に色づく唇。線が細く華奢な体躯までそっくりな、目の前で怯える弟のリンデンは容姿だけなら確かに自分とよく似ている。本当に容姿だけなら。三歳年下の成人を迎えたばかりのリンデンは、アシェラの様子を伺うように縮こまっている。
 
「リンデン、どうして私が来たか当然わかっているでしょう?」
「……いえ、全く分かりません。姉上」

 バサリと扇を開き、アシェラは呆れてため息をついた。小動物のようなリンデンのまるで変わらない気弱さに、アシェラはうんざりと扇を揺らす。

「しゃんとなさいな。リンデン。鬱陶しいわ」
「は、はい。ごめんなさい、姉上」
「まあ、いいわ。今日、私が来たのはね、貴方が私に似ているからなのよ」
「…………」

 分かるわけがない理由を堂々と言い放つアシェラに、リンデンは唇を引き結ぶ。姉の理不尽に長年耐えてきたリンデンは、こういう時は黙っているのが安全だと熟知していた。

「……姉上に似ていてすみません」

 とりあえず謝ったリンデンに、アシェラはにっこりと笑みを浮かべる。

「許すわ。それに、似ているからこその使い道もあるの」
「それはどういう……?」

 顔をあげたリンデンは、アシェラの表情に青ざめる。ろくなことを考えていない時の表情だった。リンデンはそろりと、退路を探して部屋の扉を見やった。
 それを嘲笑うようにアシェラは、パチリと扇を閉じる。アシェラ付きの侍女が、ザッとリンデンを取り囲んだ。

「あ、姉上……! 一体何をするおつもりですか……!?」
「始めてちょうだい」
「うわっ! ちょ、やめて! 姉上! 誰か助けて! いやーーーーー!!」

 侍女が一斉にリンデンに襲いかかる。リンデンの悲痛な叫びが公爵家に響き渡ったが、救いの手が差し伸べられることはなかった。

※※※※※

「アシェラ、随分ご機嫌だな」
「ええ、久しぶりに実家に顔を出せたので……」
「そうか。皆息災だっただろうか」
「はい、つつがなく」

 夫婦の寝室で美しく笑みを浮かべて見せたアシェラを、じっとグラードが見つめる。どこか探るようなグラードの視線を、笑顔で躱わしながら、アシェラは水差しに手を伸ばした。香炉に垂らした水がジュッと音を立てると、紫がかった煙が沸き立ち始める。漂う紫煙にぴくりと唇を震わせ、グラードが額を抑えて声を絞り出した。

「ふっ! ア、シェラ! なぜ、《龍の目覚め》を……!!」

 指の隙間から覗く龍の末裔の証である金の瞳が、瞳孔を急激に縦にするのを確認したアシェラは嫣然と微笑んだ。
 
「妃教育で学んだのです。《龍の目覚め》には覚醒後は媚香の効果もあると。一度も正しく使えませんでしたでしょ? ですから試して……んっふぅ……」

 さらいとるようにアシェラを引き寄せ、奪う激しさでグラードが唇を貪る。強制的に起こされた龍化に、理性が溶けたグラードから龍の気配が溢れ出す。龍専用に作り替えられたアシェラの身体が、ぞくりと最奥を震わせた。
 食われるかと思うほどに深く侵入した舌に、口内を無遠慮に舐め回される。やわやわと吸われる舌が甘く痺れて、脊髄に官能が駆け抜けた。

「ん……あぁ……グラード……」

 濃く漂う龍の気配にアシェラが喘ぎながら、熱くうねり始めたソコをもどかしげにグラードに押し付ける。鷲掴むように握り込まれた豊かな乳房に、グラードの指がめりこみ、じわりと広がる快楽にアシェラはグラードの肌に縋った。体温を上げた肌が焼けるように熱く、重なる素肌に熱が触れる心地よさにため息が漏れた。

「アシェラ……アシェラ……俺のアシェラ……」
「ふぁ……あぁ、グラード……龍の、目覚めで……そんなに興奮しているの……?」

 うわごとのようにアシェラの名を呼びながら肌を貪るグラードに、笑みを浮かべながらアシェラは満足げに瞳をとろりと細めた。応える余裕もないグラードの左腕が誘うように揺れる腰に回され、乳房を弄んでいた右手が下腹部を弄りぐずぐずに溶けた秘裂を一気に貫く。

「ああっ! ああ……あっあっ……!」

 ぐちぐちと音を立てて掻き回されると、アシェラの声からも余裕が消えた。自ら腰を揺らしながら欲しい刺激を求めて、淫らに肢体をしならせた。棍棒ほどに膨れ上がり、脈動しながら血管をゴツゴツと隆起させたアルティメットが、獲物が仕上がるのを待ち侘びて先走りを滴らせている。

「グラード……! グラード……! 足りない……足りないのぉ……!」

 全開の龍の気配。龍の女の身体が満たされないもどかしさに涙を浮かばせる。欲しい、欲しい、欲しい。身体の一番深いところまで。ドラゴンさえ魅了する美貌が、むき出しの欲望の晒し痴態を惜しげもなく晒している。細くつながっていたグラードの最後の理性がぶつりと音を立ててちぎれた。乱暴に寝台に押しつけられると、いきり立つ魔物で卑猥に熟れてひくつかせた、アシェラの秘部が一気に刺し貫かれる。

「ああああーーーー!!」

 絶叫をあげて絶頂したアシェラを押さえつけ、醜悪なほど禍々しい魔物は、残酷に龍の女を抉った。絶頂した身体を容赦なく抉られ続け、アシェラがボロボロと涙をこぼす。ギラギラと欲望に輝く龍の瞳で、組み敷いたアシェラを見据えながら、繋がってもまだ足りない渇望のままに、グラードは白い肌に歯を立てる。

「アシェラ! アシェラ! 俺のアシェラ!」

 不吉なほど寝台を軋ませ深すぎる絶頂に声も上げられないアシェラを、グラードは肚の奥で暴れ回る欲望のまま犯した。

「愛してる……アシェラ……お前は俺の全てだ……アシェラ……アシェラ……」

 何度最奥に白濁を叩きつけても、湧いて溢れる渇望と愛しさを、グラードは瀕死のアシェラに囁きかける。今もなお揺らされ続けながら、アシェラは《龍の目覚め》にちょっと水をかけすぎたことを悟った。でも必要だった効能は確認できた。
 断続的に途切れ始めた意識。全身を抜け出せないドロドロした快楽に浸されながら、意識が白む寸前、アシェラが小さく笑みを浮かべる。

(ああ、これなら……)

 寝台の軋む音を聞きながら、アシェラはそのまま意識を手放した。

※※※※※

 アシェラは鋭い目つきでじっくりとを眺める。やり遂げた満足感を滲ませている侍女達と、怯える完成品にアシェラはにっこりと笑みを浮かべた。

「私には数段劣るけど、悪くはないわ」
「あ、姉上……どうしてこんなことを……」

 羞恥と状況が掴めない恐怖に、リンデンは不安げに視線をアシェラに縋らせた。その様子にアシェラがムッと眉根を寄せる。

「リンデン、私はそんな顔をしたりしなくてよ?」
「ぼ、僕は姉上ではありません! なんでこんなことを……」

 無理やりさせられたリンデンが、アシェラを涙目で見つめる。血を分けた姉弟なだけあって、その美貌は非常に似通っていた。
 ただ楚々とした美貌に仕上がったリンデンには、アシェラのような高慢さと匂い立つような色香が足りない。パッと見は騙せても、グラードならばきっとすぐにバレてしまうだろう。

「でも《龍の目覚め》の増量でなんとかなるわ……」
「あ、姉上……こんな……お願いです。どうか家に帰してください……」

 実家を襲撃したアシェラは、侍女姿にしてリンデンを拉致。とある目的のために。改めて着飾らせたリンデンの可憐でたおやかな姿に、侍女達は興奮気味に頬を染めている。非常に楽しそうだ。

「用事が済んだら帰してあげる」

 ふふんと鼻を鳴らしたアシェラに、リンデンは絶望的な表情を浮かべて項垂れた。アシェラは機嫌よく嗤うと、扇をバサリと広げた。

「ここで大人しく待機してなさい。この部屋に人が来たらこの小瓶を渡すの。やることはそれだけよ」
「……どなたが来るのですか? どうして僕はドレス姿に……こんな格好を見られるなんて絶対嫌です!」
「黙りなさい?」

 ひくりと口を閉じたリンデンに小瓶を押し付け、アシェラは立ち上がると部屋の隅の香炉に水を注ぐ。リンデンは押し黙って、不安そうにアシェラを見つめた。香炉から揺らめく紫煙が立ち上り、部屋の中に行き渡りはじめる。アシェラがニヤリと口元を歪めた。

「弱みがないなら作ればいいのよ……」

 歪めた口元でアシェラは呟くと、実家から連れてきた侍女達を続き部屋へと下がらせる。祈るような視線を向けてくるリンデンに、アシェラは脅しつけるように念を押した。

「じゃあ、リンデン。言った通りにするのよ? わかったわね?」
「……待って! 姉上! 行かないで!」

 必死に声を縋らせたリンデンを無視して、アシェラはそのまま廊下へと出た。
 しばらく待っていると一人の侍女が通りかかる。アシェラは侍女にグラードを呼ぶように伝えると、リンデンのいる部屋の続き部屋へ入っていった。先に下がらせた侍女達は、すぐさま椅子に腰掛けたアシェラへと紅茶を注ぎ始める。

「泣かぬなら泣かせるまでだわ、ホトトギスってね……ふふっ」
 
 貞淑を重んじる王族の不貞は、この上ない弱みになる。今度こそ主導権を取り戻してみせる。

「リンデン様は大丈夫でしょうか?」

 心配そうな声音とは裏腹に、ウキウキツヤツヤの侍女の言葉に、アシェラはカップを傾けてにっこり笑った。

「尻ぐらいどうってことないわ」

 大変なのはリンデンの尻であって、アシェラの尻ではない。そして弟の尻など、心の底からどうでもいい。
 《龍の目覚め》の効果は、指南書通りと確認した。問題だったのは龍の本能の方。美醜に超絶うるさいグラードが、お気に召す令嬢はさっぱり見つからなかった。
 ドラゴンは気難しい性質で気に入った相手以外だと、あの強烈な《龍の目覚め》の効果も、簡単に沈静化されてしまうのだという。めんどくさい。そしてわがまま。確実に主導権を取り戻すためには、是非ともいいわけのしようもない、不貞の真っ最中を取り押さえたい。それなのに《龍の目覚め》の効果を保てる令嬢は、さっぱり見つからなかった。
 そこでアシェラは自分によく似た、リンデンを拉致してきたのだ。便利な弟がいてよかった。きっと姉の役に立てるならリンデンも本望だろう。リンデンがアシェラに似ているのが悪い。

「ふふふ。早く来て、グラード。私が直接浮気現場を押さえてあげる」

 アシェラは高慢に高笑いを響かせると、夜鍋して作った覗き穴に艶然と微笑みかけた。

※※※※※

(アシェラは甘えん坊さんだな……)
 
 アシェラの呼び出しにグラードは、ウキウキと夫婦の寝室に向かっていた。先だってはアシェラ自ら《龍の目覚め》を使い、熱い夜を共にしたばかり。とうとうアシェラも恋心を抱き始めたかと、グラードは最高にご機嫌だった。

「アシェラ、俺だ。会いに……」

 辿り着いた寝室に踏み入った瞬間、充満する《龍の目覚め》にグラードは、息を詰めて崩れ落ちる。

「……え? まさか、殿下なのですか?」

 人の気配にびくりと肩を揺らしたリンデンが、膝をついたグラードに慌てて駆け寄った。

「ぐっ……! アシェラ……いや、リンデンか……? どうしてここに……」
「は、はい。ご無沙汰しております。リンデンです。それより大丈夫ですか? 今急いで人を……」
「いや、人は呼ぶな……ふぅう……ア、アシェラは……?」
「姉上は僕に無理やりドレスを着せ、人が来たらこれを渡せと言って、どこかへ行ってしまいました」

 リンデンが掲げた《龍の慈悲》の小瓶に、アシェラの目論見に見当がついたグラードは奥歯を軋らせる。

「アシェラめ……!! くそ! リンデン、巻き込んで済まない。どうやらお前の姉に盛大に一服盛られたようだ……」
「ええっ! そ、そんな! 申し訳ありません。では今の殿下のご様子は姉上のせいなのですか……?」

 額を覆って頷いたグラードに、リンデンはオロオロと涙目になった。絶望するリンデンを見上げ、グラードの脳がぐらりと揺れる。ああ、だめだ。とてもよく似ている。俺の愛しい妻に本当によく似ている。
 
「うっ……相変わらずお前はアシェラにそっくりだな……ちょっとアシェラに見えてきた……かわいい……」
「しっかりしてください! 姉上に似ているとか、一ミリも嬉しくありません!」
「俺のアシェラは息を飲むほど美しく、子猫のようにやんちゃで可愛いのにか……?」
「え? 正気ですか? 今まさに一服盛られたんですよ? 子猫だなんて恋は盲目にも程があります! 確かに姉上は美しいですが、性格はドブスですよ!」
「くっ……ああ、まだ躾が足りていなかったようだ……ぐぅっ……」
「姉上を躾けるのは無理では……? 犬じゃなくて猫ですし……」

 リンデンは心配そうに、グラードを覗き込み青ざめた。
 覚醒のせいで呼吸は荒く、頬が上気し熱を帯びている。その上グラードの瞳が爛々と輝き、瞳孔が縦になっている。

「殿下! 瞳が……ど、ど、どうしよう……姉上は毒を盛ったのですか? どうしたら……」
「問題ない、リンデン……いや、問題か……アシェラと同じ色の瞳で俺を、見るな……嬉しくなる……」
「え……で、では目は閉じますか?」
「いや、閉じるな。アシェラが口付けを強請っているという、幸せな錯覚を起こす」
「は? 口付け!? 殿下、僕はリンデンですよ!? 弟のリンデンです! しっかりしてください!」
「そうだ……分かっている……お前はリンデンだ。俺のアシェラによく似た弟の……」
「そうです。リンデンです!」
「ああ……なんてことだ……お前は声までアシェラに少し似ているな……リンデン、ちょっと試しにグラード、愛してると言ってみてくれないか?」
「ちょ、殿下! 何を言ってるんですか!」
 
 体調どころか話す内容もおかしくなってきたグラードに、焦ったリンデンはアシェラに渡された小瓶を差し出した。

「あ、殿下! これ! 姉上に渡された小瓶! これ、解毒薬とかではありませんか? これを飲んだら……」
「ぐぅ……いや、それはダメだ……飲むものではない。今すぐしまえ。いや、俺に渡すんだ……」
「はい……ちょ、うわっ! 殿下! 魔物いる!! なんか下半身に魔物いる! なんか盛り上がって、動いてる……!」

 リンデンが覚醒したグラードの、アルティメットに気がついて悲鳴を上げた。
 アルティメットに真っ青になって震えるリンデンに、グラードの脳が再びぐらりと揺れる。驚き青ざめるリンデンが、初めてアシェラがアルティメットと対面した時に重なる。あの時は喰らってしまいたくなるほど、アシェラは可愛らしかった。グラードは唇を噛み締めた。しっかりしなくては。リンデンがこれほどアシェラに似てさえいなければ、《龍の目覚め》もすぐに沈静化するのに。グラードの《唯一》にリンデンは似すぎている。もう手段を選んでいられない。

「リンデン……済まないが、ちょっと匂いを嗅がせてくれ……」
「へ? 何を言って……」
「おかしな意図はない。アシェラじゃないと確認する必要がある……頼む……」
「は、はい……」

 リンデンは涙目で恐る恐るグラードに近づくと、ガバリと巻きつかれて引き寄せられる。ヒッと息を飲んだリンデンの鼓膜が、グラードがスンスンと匂いを嗅ぐ気配に震えた。

「ああ……大丈夫だ。違う……この匂いじゃない。そう、俺のアシェラじゃない……アシェラはもっと甘くて……アシェラ……俺のアシェラ……」

 完全に様子のおかしい王太子の義兄に、女装させられた自分の首筋をスンスン嗅がれている。最高に訳のわからない事態だが、耳元で繰り返し囁くグラードの声は落ち着きを取り戻してきている。ちょっとホッとしたリンデンは、早く落ち着かせようと背中をさするために腕を伸ばした。その瞬間、続き扉から鬼の形相をしたアシェラが飛び込んできた。

※※※※※

「あ、殿下がいらしたわ!!」

 顰めた侍女の興奮する声を耳に、アシェラはいよいよだと興奮を抑えて、夜鍋して開けた穴へ顔を近づけた。
 ちょうど中がよく見える位置で、崩れ落ちたグラードが《龍の目覚め》に気づいて、怒りの表情を浮かべている。リンデンが慌てて駆け寄ってきた。ワクワクと不貞現場を押さえようとしていたアシェラは、グラードがリンデンを見つめる瞳にムッと眉根を寄せた。
 甘く蕩けるように目を細め、まるで愛猫家が猫を眺めるような視線。バキッとアシェラが握りしめていた扇が不吉な音を立てる。非常に不愉快だった。
 折れた扇を握りしめたまま、会話を交わす二人を凝視する。会話の内容までは聞き取れなかったが、グラードの声にハチミツのような甘さが滲んでいる。今度はピキリとアシェラの額に青筋が浮かぶ。《龍の目覚め》も一向に沈静化する様子を見せない。むかつく。

(……グラードは女装したリンデンが大層お好みのようね!!)

 龍の審美眼に叶うものでなければ、沈静化されるはずの覚醒の効果。覗き見ている先のグラードは、リンデンを前にアルティメットしっぱなしだ。
 散々俺のアシェラやら唯一だと言っていたくせに。別にアシェラじゃなくても、リンデンでもイケるらしい。あれだけアシェラを貪っていたくせに。ギリッとアシェラの奥歯が不穏に軋む。苛立ちが急速に膨れ上がっていく。

「あら? リンデン様が殿下に何かを渡されたわ……」
「じゃあ、そろそろ……」

 興奮を抑えきれないように侍女達が、ますます壁にへばりつく。
 見ればリンデンがグラードに《龍の慈悲》を手渡している。そのままグラードがリンデンを引き寄せると首筋に鼻先を埋めた。アシェラが拳を握りしめる視界の先で、リンデンもグラードの背に腕を回そうとする。グラードが愛おしそうに、何事かを呟くのを目の当たりにして、アシェラは我慢の限界を迎えた。即座に壁に張り付くのをやめ、湧き上がる怒りのままに続き扉から部屋に踏み入った。そのままズカズカと、紫煙を吐き出し続ける香炉を苛立ちのままに床にぶちまける。

「……あ、姉上!!」

 物音に振り返って目を見開くリンデンに、アシェラは折れた扇を投げつけ罵倒しようと口を開けた。

「アシェラーーーー!!」

 罵倒が音になる前に、アシェラは強烈なタックルを喰らった。勢いよく飛び込んできたのがグラードだと分かった瞬間、アシェラは渾身の力を振り絞って押しのける。タタラを踏んでグラードがへたり込む。アシェラは昂然と顎を逸らし、冷ややかにグラードを睥睨した。

「汚い手で触らないでいただけます? 散々私を唯一だと言っておきながら、たかだか適量オーバーの《龍の目覚め》を焚かれた程度で、あっさりと流されて。私に触れる資格があるとでも?」
「えぇ……」

 自分が仕掛けたくせに全部棚上げして、ガンギレしているアシェラに、リンデンは思わず声を漏らした。グラードも金に光る瞳を見開いている。

「《龍の目覚め》さえあればリンデン如きでもいいなんて、グラードの節操のなさには呆れ果てますわ」

 夜な夜な取り巻きに傅かれて、靴を舐めさせていたアシェラ。呆気に取られたようにアシェラを凝視するグラードに、リンデンは恥ずかしくなって俯いた。アシェラが放ったブーメランは、アシェラを素通りして身内のリンデンに深く突き刺さる。

「……ねぇ、グラード。自分の趣味の悪さに恥ずかしくならないの? それとも覚醒中は目が見えなくなるのかしら?」

 これにはリンデンも思わず頷いた。確かにアシェラを選ぶあたり、女の趣味は最悪だ。言葉もなくただ呆然とするグラードに、アシェラは嘲りを浮かべてぐっと胸を逸らした。

「よく見なさい、グラード! リンデンなんかより何万倍も、私の方が美しいわ!」

 ふふんと鼻を鳴らしたアシェラに、幼少期から弟として過ごしたリンデンでさえ、衝撃に言葉を失った。
 勝ち誇るアシェラ。絶句するリンデン。張り詰めた空気の中、グラードがゆらりと立ち上がる。ふらふらとアシェラへと歩み寄るグラードに、

「あ……」
 
 とうとう堪忍袋が切れたのかとリンデンは怯えたが、グラードは金色の瞳をひどく甘く蕩けさせた。

「ああ、その通りだな。俺の愛しいアシェラ。リンデンなど足元にも及ばない。比べるべくもない。お前はリンデンの何万倍も美しい……」

 でろでろのはちみつのような声で、急にディスられ始めたことに驚いたリンデンは、扉が開いた気配に振り返る。
 細く開けた隙間からアシェラ付きの侍女が、リンデンに必死に手招きしているのが見えた。リンデンはハッとしてアシェラとグラードを振り返り、即座に立ち上がると急いで扉に向かって駆け出して素早く部屋から避難した。立ち去ったリンデンを気にも止めず、アシェラは近づいてくるグラードを睨みつける。

「不貞を犯そうとした夫の言葉など……」
「やきもち、かわいい……」
「…………はぁーー??? 私がやきもち? どんな幻想を……!」
「理不尽でかわいい」
「理不尽? 媚香程度耐えられない方が……!」
「うんうん、媚香にも負けずにいて欲しかったんだな。かわいい。リンデンとくっついたから、頭に来ちゃったんだな。嫉妬深くて、すごいかわいい。俺のアシェラは本当にかわいい。心配するな、俺はお前だけを愛している」
「べ、別に私はそんなこと……」

 蕩けるような甘い笑みを向けられて、アシェラはぷいと顔を背けた。

「でも自分の夫に弟の尻をけしかけたらだめだな?」

 グラードは笑顔のまま、唐突に龍の気配を一気に全開にした。立ち上る龍のオーラに、龍の女の身体の肚の奥が熱を孕んだ。一瞬で肚がドロリと溶け、アシェラはその場にくずおれる。

「あ……やぁ……グ、ラード……」
「身体が熱くて辛いな? 俺のかわいいアシェラ。毎日念入りに可愛がられて、お前はすっかり龍の女だもんな」
「ふぅ……グラードォ……グラードォ……」
 
 グラードはしゃがみ込んで、熱を持った自分の身体に震え出した、アシェラの頬を愛おしげに撫でる。
 優しく瞳を細めたまま、グラードはアシェラの目の前で《龍の慈悲》を振ってみせた。ニタリと笑ったグラードに、アシェラは涙目になって青ざめた。

「いい子だな、アシェラ。近頃きちんと勉強している成果が出ている。《龍の目覚め》のように、《龍の慈悲》の覚醒後の効果をちゃんと理解できている。いい子だ……」
「……グラード……それだめぇ……やだぁ……ポイしてぇ……」
「ポイしないぞ、アシェラ。二度としないように、きちんと反省しような? 俺のかわいいアシェラ……」

 凶悪に口角を釣り上げたグラードに、逃げようとしたアシェラはあっさり捕まった。しでかしたアシェラが怒られずに済む未来など、当然あるわけもなかった。

※※※※※ 
 
 すでに龍の女となっている身体に垂らされる《龍の慈悲》は、無慈悲なほど強烈な媚薬として機能した。それでもアシェラは、グラードが漂わせる全開の龍の気配にも、《龍の慈悲》にも頑固に抗った。
 ぐずぐずに蕩けている媚肉に、丹念に指で龍の慈悲を塗り込められても。そうされるせいで燃えるように肌が灼け、グネグネと蠢く膣道のうねりにさえ、快楽が生まれていても。アシェラはアルティメットの侵入を頑なに拒んだ。

「アシェラ……俺のかわいいアシェラ……ほら、ごめんなさいは? お前のここはこんなに欲しがっているぞ?」

 ぐちぐちと中を掻き回しながら誘惑を甘く囁くグラードに、とろとろに蕩けて腰を揺らめかせながらアシェラは頑張った。絶対に謝らない。
 
「はぅ……あ……リ、リンデンに欲情した、グラードこそ謝るべきよ……う、嘘つきに、許すほど……私の身体は……安くないの……」

 毅然、とまではいかなくても、強くなるばかりの快楽に媚びる痴態を晒しても、アシェラは謝らなかった。いつになく頑固なアシェラに、グラードは取りなすように囁いた。

「アシェラ、俺はリンデンに誘惑されてなどいない」
「あ、あぁ! う、嘘です、わ……リ、リンデンを……襲おうとしていたのを……ちゃんと見てますもの……ああっ!!」
「そうじゃない、アシェラじゃないと匂いを嗅いで確かめていただけだ。俺はお前以外は愛せない」
「あぁ……あぁ……! リンデンでもアルティメットしてたくせに……!」
「アシェラ……」

 悲しそうな呟きを落として、グラードはアシェラの中に埋めていた指で、最奥を押し込んだ。

「ああああーーーー!!」

 甲高い嬌声をあげたアシェラの弓形に反らせた肢体を支えながら、膣壁を圧迫したまま激しく出し入れする。
 慈悲と愛液で溶け切った蜜壺が、苛烈な抽送に卑猥な体液を蜜口から飛び散らせた。あっさりと絶頂してガクガクと痙攣するアシェラに構わず、グラードは手を止めることはなかった。

「アシェラ、意地を張らないでくれ。もう俺も限界なんだ。お前を抱きたい……」

 切なげに眉根を寄せるグラードの言葉を、アシェラは聞いている余裕はなかった。止まらないグラードの攻め立てに、ずっと極めたままの身体はより高みへと押し上げられる。

「アシェラ、お願いだ……あと、もう二度とやるな。な?」

 普通に困るから。汗で張り付くアシェラの髪をかき上げながら、グラードが宥めるように言い聞かせる。強烈な快楽にぐちゃぐちゃに掻き乱され続け、アシェラがボロボロ泣き出した。

「だ、だって、グラードが言ったんじゃない、ゆ、唯一だって! それ、なのに、ずっとアルティメットしてたじゃない……! これは、うわ、浮気だもん! もうリンデンと結婚すればいいじゃない……うぇ……」

 涙を流していい募るアシェラに、グラードはゴリっと奥歯を鳴らした。全開だった龍の気配が更に濃く吹き出し、アシェラがびくりと身体を跳ね上げた。

「あぁ……アシェラ……お前はどうしてそんなにかわいいんだ!! 俺を殺そうとしているのか。お前に殺されるなら本望だ。ああ、かわいい俺のアシェラ。どうか泣かないでくれ……!」

 もう一刻の猶予もない切実さに、グラードはアシェラの説得を諦め、躊躇なく一切をリンデンに転嫁することにした。すまん、リンデン。
 
「リン、デン……?」
「そうだ。リンデンが悪いんだ。リンデンが俺のアシェラの色を宿しているから。宝石のように麗しい瞳も、薔薇色の唇もはちみつ色の髪の毛も。俺のかわいいアシェラと同じだから。でも同じだからってリンデンと結婚なんてあり得ない。俺の妻はアシェラだけだ」
「…………」

 リンデンが悪い。無言で快楽にボヤける頭で咀嚼しながら、うるうるした瞳でアシェラはグラードを見上げた。なんかそんな気がしてきた。

「俺のかわいいアシェラ。お前より美しいものはこの世にない。俺の心は余すところなく、お前だけのものだ。でもお前と血を分けたリンデンは、お前と同じ色と面影を宿してるだろ?」

 優しく問われてアシェラは頷いた。同じ色の瞳と髪。よく似ていると言われる弟のリンデン。
 
「そうだろ? すごく紛らわしい。違う色ならアルティメットしなかったのに。なんで同じ色に生まれたのか、俺が後でリンデンを叱りつけておく。だからもう泣くな……」

 悪いリンデンをグラードが叱っておいてくれる。アシェラは甘ったるく細めた優しい眼差しで、見下ろしてくるグラードを見つめてこくりと頷いた。

「アシェラ……リンデンのせいで、やきもち妬いちゃったな。でも大丈夫だからな。俺はお前だけを愛している……」
「やきもちじゃ……」

 グラードはアシェラのいいかけの言葉を、吸い取るように口付ける。
 満たされないまま疼き続けていた身体に、再び火を灯され思考を放棄したアシェラは甘えるように腕を伸ばした。もう平気。悪いリンデンはグラードが叱ってくれるから。
 拒むのをやめたアシェラに口付けたまま、グラードは最奥に膨れ上がり不吉に脈動するドラゴンが突き立てた。アシェラの身体が中心どころか引き裂かれるような衝撃を伴って、陶酔するような快楽と満たされる幸福感を全身に走らせた。間髪入れず最奥を揺らされ、アシェラの意識は陶然と侵食してくる快楽に引き摺り込まれる。

「ああっ……! あっ、ああっ! もっとぉ……グラードォ……ああっ!」
「アシェラ! アシェラ! 俺のアシェラ!」
「あっ! グラードォ……いいっ……ああっ!」

 愉悦の咆哮を上げながら、自分だけに権利のある媚肉をグラードは犯した。焼け付くように熱を持った蜜壺、絡みつく肉襞と奥へと淫猥にうねる膣壁。結合するそこが凶悪な魔物を飲み込む様に愛おしさが募り、グラードは甘く哭くアシェラを抉りながら囁いた。

「俺の愛するアシェラ……お前だけが俺の唯一だ……」

 極彩色の快楽に揺らされながら、真っ直ぐに届く絶対上位の支配者グラードの声に、アシェラは鮮烈な快楽に貫かれながら薄く目を開けた。
 そう、自分こそがドラゴンの唯一無二の宝物。自分以上に美しいものなど存在しない。熱い飛沫を最奥に感じながら、その思考を最後にアシェラはふわりと浮かびがるように絶頂を迎えた。

「アシェラ……」

 トロトロと眠りに落ちそうなアシェラを、低く優しい声が引き留める。

「考えたんだがな、リンデンを叱るのはやめておくことにした。愛しいアシェラと同じ色だと叱れないと思ってな」
(どうして……?)

 ぼんやりとした微睡の中、アシェラは問うようにでない声の代わりに瞬いた。小さく笑う気配と一緒に、大きな手がアシェラの髪を優しく撫でる。

「同じ色だと叱ってしまったら、アシェラと俺の子が同じ色だと叱らなければならなくなるだろう?」

 ふわふわとした充足感の中で、アシェラはそうねと小さく笑みをこぼした。グラードの唯一無二はアシェラだから。いつかグラードの子をアシェラが生むのだ。だってアシェラは王妃となるのだから。

「きっと美しいアシェラにそっくりな、愛らしい子を授かる。アシェラと同じ美しい色を宿した子だ。絶対そうだ、そう思うだろう?」
(そうよね……きっとそうだわ……)

 でも瞳だけは朝焼けを反射した湖の水面のように、キラキラと輝く金色をしているはずだ。グラードの血を引く、ドラゴンの末裔なのだから。きっととても綺麗だろう。

「早く会いたいな……だからアシェラ、俺に協力してほしい。アシェラと俺の子に早く会えるように」
(考えてあげてもいいわ……)

 だってアシェラは唯一無二の妃だから。グラードの子を産んでこそ、目指した権力の頂点に立てる。だから考えてあげてもいい。優しく撫でる大きな手の心地よさに、アシェラはゆっくりと目を閉じた。

「俺のアシェラ、心から愛している……」

 穏やかな睦言に見送られ、アシェラは眠りに落ちていく。
 完全に被害者のはずのリンデンに、謂れのない理不尽な罪を重ねがけ。冤罪すぎる。尊いリンデンの犠牲の下、ドラゴンの末裔とその妻は、高らかな嬌声をあげて心ゆくまでお互いを貪りあって眠りについた。
 でもきっとそんなかわいそうなリンデンにも、平穏な日々がそう遠くないうちに訪れるだろう。長い間リンデンを虐げ続けた極悪な姉をは、ドラゴンの末裔が喜んで引き取ってくれた。
 どんなドラゴンの末裔は、妻に似たかわいい子供を授かることを夢見始めた。王国で名高い悪辣令嬢には、悪さを企む暇さえないほど念入りにねちっこく貪られる未来が待っている。
 龍の伝説が息づくドラグル王国には、唯一無二の宝を得た喜びを満喫するドラゴンの末裔の愛の咆哮と、息も絶え絶えなほど愛される悪辣令嬢の、甘い嬌声が今日も昼夜を問わず響き渡るのだろう。

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