学生恋愛♡短編集

五菜みやみ

文字の大きさ
5 / 33
先生、好きです。

第4話

しおりを挟む


それから4校時が始まろうとしていた時の話しだ。

突然、嬉しい出来事が起こった。


それは黙って向かい校舎の廊下を何気なく見ていた時だ。

ある部屋から出て来たのが徹先生で、歩いてる姿を見つけた。


うそぉ!

ちょーラッキーなんだけど!


え、やばくない!?

ちょー貴重じゃん!

写真撮りたーい!


ジーッと見つめる私は既に周りのことなんて気にしてなくて、いつの間にか担任の先生が入って来ていたことに気づかなかった。



「おい、筒見!」


「はッ、はい……!」



名前を呼ばれて慌てて振り向くと、前側の扉のところに先生が立っていて、全員で私の方を向いていた。



あれ!?

何か話してた!?



「これから5校時の数学について言うからな」



なんだまだか。

みんなに見られてからビックリしちゃったじゃん。

先生ってば、驚かせないでよね。


私は好きな人の姿を追い掛けていたい気持ちを押さえつけて我慢する。

運悪いなぁなんて思いながら、仕方なく先生の話しに耳を傾けた。



「5校時の授業だが……。
話し合った結果、養護教諭の徹先生が変わりに受け持ってくれることになりました!」



……えっ!?



「今日の日直は号令でお礼をと言っておくように」


「げぇー!」


「それか筒見でも良いぞ」



急な話しに私はついていけてなかったけど、徹先生が来る話しに私は何も考えずに手を上げた。



「は、はい! 私やる!!」


「おっしゃ! じゃぁ筒見よろしくー!」



日直だった男子から号令のバトンタッチを受け取る。



「任せて!」



日直の男子と視線を合わせると親指を立ててグッドサインを送り合った。

そんな様子に先生が声を掛けて来る。



「筒見はくれぐれも勉強の方に集中するように!」


「はーい!」


「くれぐれもだぞ!?」


「分かってるって!」


「あぁ、心配だ。 ……徹先生には申し訳ないことしたなぁ」


「もう! 先生、大丈夫だよ! 私だって受験生なんだもん!」


「そうか…?
_分かってるなら良いが。じゃぁそう言うことだから勉強頑張れよ!」


『はーい!』



よっしゃー!

徹先生と挨拶出来る!

そんで話しが出来る!


朝会えなくて悲しかったけど。

さっき見逃して運悪いななんて思ったけど。

今日はやっぱり運が良い!


こんなことがあるなんて、神様ありがとう!


それから午前中の授業が終わりお昼休みに突入すると、莉奈と一緒に教室でお弁当を食べていた。

因みに今日のお弁当の中身は、唐揚げと甘い玉子焼きだ。

これは徹先生の好物でもある。


黙々と食べていると、ふと莉奈が質問をしてきた。



「それで? 今度は何するつもり?」


「するつもりって、人聞き悪いなぁ……」



私は口を尖らせて抗議する。

けれど莉奈は黙々と食べ続け無表情を貫いていた。


いつもながら、クールな莉奈はカッコイイなぁ。

しかも美少女設定って云うのがホントに萌える……。



「……今、考え中だよ」


「あそう。 授業の邪魔だけはしないでね」


「分かってる。 “節度を守って”でしょ?」


「そうよ。 分かってるなら協力出来る範囲でさせてもらうわ」



くぅーっ!



「いつもありがとう!」


「柚乃の友達になったんだから仕方ないでしょう。

──ねぇ」


「なに?」


「いつまでこっち見てるのよ。 うっとうしい」


「あーん! 目も合わせてないのに、視線感じるなんてやっぱり絆が深いってことね!」


「………もう良いわ」



あはは!

怒っちゃった!


私はニコニコ笑いながらお弁当を食べ始めると今度は莉奈からの視線を感じた。



「……なに?」


「何でもない。」



──と。

ここまでが1年生の頃から続いてるやり取りで。

私と莉奈の夫婦漫才のようなコントになっている。


だからきっと、莉奈も本当に怒ってるわけじゃないと思うんだよね!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...