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先生、好きです。
第4話
しおりを挟むそれから4校時が始まろうとしていた時の話しだ。
突然、嬉しい出来事が起こった。
それは黙って向かい校舎の廊下を何気なく見ていた時だ。
ある部屋から出て来たのが徹先生で、歩いてる姿を見つけた。
うそぉ!
ちょーラッキーなんだけど!
え、やばくない!?
ちょー貴重じゃん!
写真撮りたーい!
ジーッと見つめる私は既に周りのことなんて気にしてなくて、いつの間にか担任の先生が入って来ていたことに気づかなかった。
「おい、筒見!」
「はッ、はい……!」
名前を呼ばれて慌てて振り向くと、前側の扉のところに先生が立っていて、全員で私の方を向いていた。
あれ!?
何か話してた!?
「これから5校時の数学について言うからな」
なんだまだか。
みんなに見られてからビックリしちゃったじゃん。
先生ってば、驚かせないでよね。
私は好きな人の姿を追い掛けていたい気持ちを押さえつけて我慢する。
運悪いなぁなんて思いながら、仕方なく先生の話しに耳を傾けた。
「5校時の授業だが……。
話し合った結果、養護教諭の徹先生が変わりに受け持ってくれることになりました!」
……えっ!?
「今日の日直は号令でお礼をと言っておくように」
「げぇー!」
「それか筒見でも良いぞ」
急な話しに私はついていけてなかったけど、徹先生が来る話しに私は何も考えずに手を上げた。
「は、はい! 私やる!!」
「おっしゃ! じゃぁ筒見よろしくー!」
日直だった男子から号令のバトンタッチを受け取る。
「任せて!」
日直の男子と視線を合わせると親指を立ててグッドサインを送り合った。
そんな様子に先生が声を掛けて来る。
「筒見はくれぐれも勉強の方に集中するように!」
「はーい!」
「くれぐれもだぞ!?」
「分かってるって!」
「あぁ、心配だ。 ……徹先生には申し訳ないことしたなぁ」
「もう! 先生、大丈夫だよ! 私だって受験生なんだもん!」
「そうか…?
_分かってるなら良いが。じゃぁそう言うことだから勉強頑張れよ!」
『はーい!』
よっしゃー!
徹先生と挨拶出来る!
そんで話しが出来る!
朝会えなくて悲しかったけど。
さっき見逃して運悪いななんて思ったけど。
今日はやっぱり運が良い!
こんなことがあるなんて、神様ありがとう!
それから午前中の授業が終わりお昼休みに突入すると、莉奈と一緒に教室でお弁当を食べていた。
因みに今日のお弁当の中身は、唐揚げと甘い玉子焼きだ。
これは徹先生の好物でもある。
黙々と食べていると、ふと莉奈が質問をしてきた。
「それで? 今度は何するつもり?」
「するつもりって、人聞き悪いなぁ……」
私は口を尖らせて抗議する。
けれど莉奈は黙々と食べ続け無表情を貫いていた。
いつもながら、クールな莉奈はカッコイイなぁ。
しかも美少女設定って云うのがホントに萌える……。
「……今、考え中だよ」
「あそう。 授業の邪魔だけはしないでね」
「分かってる。 “節度を守って”でしょ?」
「そうよ。 分かってるなら協力出来る範囲でさせてもらうわ」
くぅーっ!
「いつもありがとう!」
「柚乃の友達になったんだから仕方ないでしょう。
──ねぇ」
「なに?」
「いつまでこっち見てるのよ。 うっとうしい」
「あーん! 目も合わせてないのに、視線感じるなんてやっぱり絆が深いってことね!」
「………もう良いわ」
あはは!
怒っちゃった!
私はニコニコ笑いながらお弁当を食べ始めると今度は莉奈からの視線を感じた。
「……なに?」
「何でもない。」
──と。
ここまでが1年生の頃から続いてるやり取りで。
私と莉奈の夫婦漫才のようなコントになっている。
だからきっと、莉奈も本当に怒ってるわけじゃないと思うんだよね!
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