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先生、好きです。
第5話
しおりを挟むそれからまた雑談をしていると教室からいなくないっていた啓太が駆け足で教室に入って来ては、私のところまでやって来た。
隣りの席の机に座って、莉奈と似たような質問をしてくる。
「おい、柚乃! 授業は何するんだ?」
「啓太まで人聞きの悪いことを……。
何しようか考え中!
滅多にないチャンスだもん変わったことがしたいのよね」
「変わったことかー! 何でも良いけど、アイツの授業は俺ら楽しみにしてんだよな」
またアイツ呼ばわり!
啓太は直ぐ徹先生のことをアイツって言うんだから。
「授業の邪魔はしないようにするから安心して」
「お、あんがと! それで?
変わったことって何考えてんだよ」
「何も浮かんでないのよね。
ベタなやり方だと、1番前の席にいることだけど、それは先生が集中出来ないだろうし」
「あはは! 確かに!」
「それに自習だから仕掛けることが出来ないし。
……無難なやり方だけど、普通に質問してプライベートな質問を混ぜるかなー。
それかノートに予めラブレターの内容を書いておいて何かの拍子に見せるとか?」
他に自習の時に出来ることってあるのかな……。
「それいいな! けどなんか地味じゃね?
もっと何かしろよ!」
「うーん……。 また始まってから考える」
「そうか。 まぁ良いけど、何かする時は俺も混ぜろよ!」
「分かってますって!」
啓太はずっと前から私と徹先生の攻防を面白がって、積極的に協力してくれている。
特別な日のサプライズでは人手が多いと出来ることが多くなって本当に助かるし、本人の希望通り、突然啓太を巻き込んでアタックすることも最近は多くなっている。
まぁおかげ様で二人で徹先生からは私も啓太も呆れられてるワケだけど……。
真面目にアピールしても、先生が素直に笑ってくれないからなぁ。
それにやっぱり、何かするならみんなで楽しくするのが一番だろうし!
仲良くなれるなら結果オーライってことで!!
昼休みが終わると、待ちに待った5校時の授業が始まった。
自習の準備をして大人しく徹先生が教室に来るのを待つ。
_ガラッ
来た!
入って来たのはスーツの上に、ヨレヨレの白衣を纏った徹先生で、ボサボサの天然パーマの髪を掻き上げながら入って来た。
キャー!
徹先生がホントにやって来たぁー!
すると徹先生は誰かを探すようにクラスを見渡した。
そして後ろにいた私と目が合うと嫌がるような顔をして溜め息つく。
ちょっ……!!
「先生! その反応はいくらなんでも酷いよ!」
第一声が溜め息ってなに!?
そこはカッコよく「よろしくな」とか、「フッ」って笑ってほしかったに!
もう、妄想してた先生が台無しじゃない!
「どうして俺はこんなところにいるんだ……」
「先生が暇してるからですよぉー」
「あ? なんだ啓太もいたのか……」
「おい、前に同じクラスって言いましたよね!?」
「……あぁ、そうだったな」
あ、アレは絶対に覚えない反応だ……。
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