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6月15日
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遂にこの日が来た。
ようやく出逢いから2ヶ月になる土曜日。
彼にメールをしてみる。会いたいって。
仕事、忙しいって返ってくる。
電話をしてみる。
彼が出る。久しぶりに聞く彼の声。少し不機嫌そう。やっぱり会えないって言われて切られる。
もう一度、彼に電話をかける。
着信拒否。
メールを送る。
返したい物があると。
返事は無い。
でも、それでも自分は彼の部屋へ向かう。
自分勝手で我儘だと思われるだろうけど、ケリをつけるために彼の部屋へと向かう。
何もかも、終わらせに行く。
わざわざフラれに行く馬鹿な自分。
正直、とても怖い。
彼の部屋に着いて、彼の部屋のチャイムを押す。
ドアが開くと、彼は今までに見たことない顔をしている。
「これ」と言うのが精一杯だった。
以前、彼が貸してくれたビデオ。
結局、一度も観ることは無かったけど。
口実なんて何でも良かった。
彼に会える口実なら何でも良かった。
彼は、そのビデオを奪うように受け取ると、すぐにドアを閉めた。
ようやく彼に会えた。
最後の彼は、自分が知っていた彼とは違ったけど。
これでやっと自由になれた。やっと楽になれた。
駅に向かって歩いて行く。
なるべく人のいない道を歩く。
目から、止めどもなく涙が溢れて止まらない。あゝ、涙ってこんなに出るものなんだ。
油断すると、嗚咽が漏れそうになる。声を押し殺して歩く。
いつも不思議に思う。
どうして泣くと、涙と一緒に鼻水も出るのだろう?
涙だけなら綺麗だろうに。
カミングアウトしている女友達に電話をして、事情を説明した。
話を聞いてくれると言われて会いに行く。
彼女は、全てを黙って聴いてくれた。そして、一緒に寝てくれた。
6月15日。この日は、自分の人生の中で、後にも先にも、最も辛い1日になった。春に始まった恋は、春の終わりとともに去った。
これを書いていて、当時を思い出した。
久しぶりに声を出して泣いた。
まだ、こんなに泣けるんだなと少々驚いた。
こんな備忘録を書こうと思ったのは間違いだっただろうか?
ようやく出逢いから2ヶ月になる土曜日。
彼にメールをしてみる。会いたいって。
仕事、忙しいって返ってくる。
電話をしてみる。
彼が出る。久しぶりに聞く彼の声。少し不機嫌そう。やっぱり会えないって言われて切られる。
もう一度、彼に電話をかける。
着信拒否。
メールを送る。
返したい物があると。
返事は無い。
でも、それでも自分は彼の部屋へ向かう。
自分勝手で我儘だと思われるだろうけど、ケリをつけるために彼の部屋へと向かう。
何もかも、終わらせに行く。
わざわざフラれに行く馬鹿な自分。
正直、とても怖い。
彼の部屋に着いて、彼の部屋のチャイムを押す。
ドアが開くと、彼は今までに見たことない顔をしている。
「これ」と言うのが精一杯だった。
以前、彼が貸してくれたビデオ。
結局、一度も観ることは無かったけど。
口実なんて何でも良かった。
彼に会える口実なら何でも良かった。
彼は、そのビデオを奪うように受け取ると、すぐにドアを閉めた。
ようやく彼に会えた。
最後の彼は、自分が知っていた彼とは違ったけど。
これでやっと自由になれた。やっと楽になれた。
駅に向かって歩いて行く。
なるべく人のいない道を歩く。
目から、止めどもなく涙が溢れて止まらない。あゝ、涙ってこんなに出るものなんだ。
油断すると、嗚咽が漏れそうになる。声を押し殺して歩く。
いつも不思議に思う。
どうして泣くと、涙と一緒に鼻水も出るのだろう?
涙だけなら綺麗だろうに。
カミングアウトしている女友達に電話をして、事情を説明した。
話を聞いてくれると言われて会いに行く。
彼女は、全てを黙って聴いてくれた。そして、一緒に寝てくれた。
6月15日。この日は、自分の人生の中で、後にも先にも、最も辛い1日になった。春に始まった恋は、春の終わりとともに去った。
これを書いていて、当時を思い出した。
久しぶりに声を出して泣いた。
まだ、こんなに泣けるんだなと少々驚いた。
こんな備忘録を書こうと思ったのは間違いだっただろうか?
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