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3章 コスで反逆

49話 謎の行商団体

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「男性2人に女性2人、それと獣人の男が2匹、内ガキが1匹か」


王都の門で身分証の確認の為に睨まれます、僕は笑顔で御者席に座っているけど内心ドキドキだよ、2台の馬車には解体に使う大きな包丁や瓶が入っていて、それを門番が確認してやっと通して貰いました。
身分証が無いので入門に銅貨30枚を払っています、この中で僕の分身は2人です、どちらも女性でリーダーの松竹の1ですね。
獣人の男性は、前に助けた猫耳の子供と、集落で親しくなった父親さんで、ガイちゃんとガールさんを門番が数える時、匹扱いだったのをイラっとしつつ兵士の横を通りました、もう一人の男性は獣人に援助をするようになった、あのだめだめ貴族の部下でリルラと言います、商会が使うお店を管理してもらう予定です。


「ドラゴン商会ですか?」


商業ギルドに着き、身分証を作ったついでに商会も立ち上げました、ドラゴンの素材を扱う専門家ということにしたんだ、他の街では名前だけで通してたと説明し登録します。
変な顔をされましたけど、地方だとあってもおかしくないんだ、最後は笑顔で登録してくれました。


「お店は貴族区の近くですか、まぁ妥当ですね」


ドラゴンの肉や臓器を見せると職員さんがそんな事を呟きます、高級品なので売るのは上流階級なので当然です、腕前は素材を確認して分かってもらったんだ。
自分たちで狩ったドラゴンを解体し売る、通常は冒険者ギルドを通すけど、ドラゴンは解体が難しく扱える場所も人もほとんどいません、その高級素材が素晴らしい状態で保存されていて褒めてくれます、職員さんがここで取引を求めてくるくらいです、テーブルに出したモモ肉200グラムを金貨30枚出すと言ってきましたよ。


「ご冗談でしょう、ドラゴンの肉ですよ?」

「そ、そうですね・・・では40枚ではどうでしょうか?」


僕が断ると40枚に上がりました、それでもまだ渋っています、リルラさんが黒い笑顔で僕を見てきてますよ、もっと上げれますっと無言の圧力を加えてきます、僕はモモ肉200グラムは金貨60枚で売れると提言しました、急な来訪で60枚はさすがに出せないと職員さんは諦め始めてしまいます。
リルラさんは値切る作戦ですっと、耳打ちしてくれたので10枚分で貴族の宣伝をしてくださいっと要求します。
職員さんは笑顔で了承してくれました、他の職員さんを呼び料金を準備してもらってる間、今後の取引の方法を職員さんにご説明です。


「ドラゴンの素材を直接販売ですか・・・出来ればギルドを通して欲しいですが、貴族の方が来店するのでしたら仕方ないですね」


販売は普通のお店と同じです、相手が貴族というだけですね、宣伝をしてくれるので職員さんのお願いである、ギルドを通す方を優先すると握手を交わしたんだ、そこで料金を持った職員さんが部屋に来て取引が成立しました。


「即金で感謝します」


どもらずに最後まで言えた、心の中で喜び職員さんにお礼を言いました、ドラゴンの肉が手に入ったととても嬉しそうです、僕も売れて良かったと嬉しいです。
またの取引を期待していますと、椅子を立ち再度握手を求めます、職員さんは笑顔で答えてくれたんだ、その笑顔は良い取引相手を見つけたって顔してます。


「こちらこそですよ、またの取引をお持ちもうしあげております、よろしくお願いしますリュウガサキ様、申し遅れました、ワタクシはバンジャーと申します」


バンジャーと名乗った後、ドラゴンの素材はとても魅力な様でちょっとテンションが高い職員さんでした、次は爪や牙の素材が欲しいと言われましたね、必ず資金を揃え早めの商談に行くと焦るほどでしたよ。
そんなに欲しがるんだねっと繁盛の予感を感じ、用意されたお店に向かったんだ、貴族区が目の前にあるけどお店は2階建ての普通のお店です、地下は相当広いとリルラは言います、案内をしてもらいさっそく開店です、用意したドラゴン商会と書かれた看板を外に立て、良し!っと腰に手を置いてドヤ顔です。


「基本依頼されるのはお金を持った貴族になります、あの様子ですと商業ギルドが間に入ってくれますから、お話が来てからで良いでしょう」


リルラの解説を聞き、任せるよっと肩をポンと叩きます、彼は良い仕事をしてくれそうです、僕も頑張らないとです。
お店に入り、今出せる商品を札に記載して棚に並べます、後はお店に来た人がそれを取って取引を持ち掛けて来るんです、ドラゴンの解体もすると看板には書きましたけど、イーザスさんたち以外では依頼はありません。


「お店の管理は、ガイちゃんとガールさんが担当してください、商談はリルラさんにお願いします」


獣人を偏見で見て来るお客は、誰だろうとお断りするようにリルラにはきつく伝えます、ドラゴンの素材は強力です、あまり出し過ぎるのも注意です。
戦争の火種にはしたくない、そこら辺はバランスを考えると分身と外にあいさつ回りに走りました、そしてその日の最後には、リュウとイーザスさんたちと対面です。


「早速だが腕前を見てみたい、見せてもらえるかな?」


そう言われるだろうと準備をしていました、お店に案内して奥の部屋で解体ショーです、まな板の上に乗せ細胞を壊さず薄く切って行きました。
イーザスさんたちはすごいと言ってくれますが、凄いのはここからです、火魔法を長い包丁に纏わせ切って行き麦飯のどんぶりに添えます。


「ドラゴンヒレ肉の麦丼です、どうぞ召し上がれ」


料理人コスではなく、今は解体屋コスなので塩だけの味付けになってしまいました、戦うコックさんならもっとおいしい料理が出来るんです、解体の腕を見せる為だったけど十分な香り部屋に充満しましたね。
イーザスさんたちも涎が出そうです、2人分なのでスプーンをイーザスさんとファンシャさんだけに渡して味見をしてもらいます、でも他の部位はあるので次も作ります。
氷魔法を包丁に纏わせ、次はお刺身です、水龍のお肉は少しシャリシャリして美味しいんです、味付けはコショウを振って渡しました、ショウユが欲しいねっとたたきを作り出しましたよ。


「どうですか?」


聞くまでもない状況ですけど聞きました、みんな無言で食べ頷いてます、20人もいますが一品は渡したので十分です、これだけでも金貨500枚は取れます。
期待に応えられてよかったと、包丁の手入れを始めます、この包丁はミスリルのナイフなどを錬金コスで加工した物です、まだ未完成で専用の炉が無いとこれ以上は出来ません。


「これなら依頼しても問題ないだろう、良いよなファンシャ」

「そうねイーザス、それにギルドもリュウ君を推薦してくれてるし、良いんじゃないかしら」


イーザスさんが収納から30mはあるトカゲを出しました、松の1に風魔法でトカゲを宙に持ち上げてもらいます、そして僕が包丁で解体です、梅の1にも風魔法を使って貰います、流れる血液を無駄にしない様に特殊な壺に流して貰うんです、その数5000本(5000リットル)にもなりました、臓器や肉は特殊な紙に包みます、紙には魔法陣が刻まれていて劣化はしません、これは製紙コスで作ったけど魔法の紙を作れるようになったのは良かったです。
同じ様に骨や牙や皮なんかも、種類の違う紙に包み保管します、1つ1つ丁寧に保管し、銀のトレーに並べます、大きな物もそれに合わせた大きめのトレーに乗せます、イーザスさんたちは僕の作業を見て口をあんぐりです。


「そんなに驚かないでください、これで終わりですよ」


最後は心臓です、一番繊細な部分で血を抜いたら更に厳重に魔法陣を刻んだ箱に入れます、2m角の箱には前面に文字が刻まれそれがすべて魔法陣です。
心臓の保管が終わり、包丁の血を拭きとります、解体したすべてを紙に書きイーザスさんに渡したんだ。


「これは・・・まさか今すぐとは思わなかった、ほんとにすごいな」


普通の解体には数時間を使うそうです、冒険者ギルドでもその情報はリュウから聞きました、氷魔法でドラゴンを凍らせ少しずつ切り分けるそうです、僕の方法とは違うので時間が掛かるんです。
腕と包丁の強度が違うんですっと説明し、これが本場の実力と宣言したんだ。


「なるほど、冒険者と騎士の違いの様な物かな」

「良く分かりませんが、それでわかってくれるのなら、そう言う事ですイーザスさん」


専門家という括りだと理解して答えたんだ、報酬はエリナに渡すことになってるので、どんな味かは後のお楽しみですね。
そう思っていたんだけど、どうやらイーザスさんたちは今食べたいようです。

 
「普通のドラゴンがあの味だぞ、ここで食べなきゃいつ食うんだ、そうだろファンシャ」

「そうですね、お願いしますリュウガサキさん、一人一品で良いですから作ってください」


土龍の鑑定は出来てます、さっきの料理は普通のドラゴンに合った料理で、しかも解体コスでも十分美味しい料理と限定的でした、でも土龍は少し硬いようで、今のままでは十分な味は出せません。
松と梅の手を借りてその場で着替えを始めます、イーザスさんたちから見えない様、一瞬だけ大きな布で隠し戦うコックさんに衣装替えしました、イーザスさんたちは布から出て来た僕を見てびっくりしています、どうやったのかは置いといて、今出来る美味しい物を作ります、ほんとは柔らかくした角煮などが良いんだけど、それは今すぐにはできません、なのであれしかありません。


「油で揚げた串カツです、一人4本までですからね」


揚げる前にしっかりと筋を切り、僕の作ったパンとダンジョンで採れる卵にくぐらせ油で揚げたんだ、コスの力も助けになり凄く上品な味になるはずです。
みんなでどんな味なのか一口食べて確かめると、肉汁がじゅわっと口に広がり、それはとても美味しかったです。
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