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4章 コスで救済

78話 子供の指導

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「海だ!これが海って言うんだろドミノン」

「違うよアルミク、あれは湖、だよねエリナ姉」


船の上で二人がはしゃいでる、僕は微笑ましいと思いつつ返事をします、でもこの後の事を考えるとちょっと心が苦しいよ。
予定のポイントに来て、僕は素潜りを始めます、あるキャラの水着コスなのでふたりはちょっと赤くなっていました。
潜った先には黒い塊がいます、それをモリで殴って浮上させます、湖から勢いよく飛び出た僕は空にいる状態でふたりに戦闘の指示を出します、相手は船に落ちていてふたりは剣を抜いたけど、大きなウニを見てかなり逃げ腰です。


「で、でけぇ~!?それに棘がウニウニしててキモイな」

「これは大きすぎる」


4mはあるトゲトゲの黒い玉の前で見上げるけど、ふたりは逃げようとしないんだ、未知の敵にどうすれば良いのか分かってない、そんな時は攻撃の予想をして構えないといけないんだ。
僕は後ろで見てるだけです、今回はふたりの実戦なんだよ、今頃沖ではリュウがミーオたちの調理の指導をしています、冒険者に合う食べ物のレクチャーだそうだよ、スイーツも料理もね。
帰ったらふたりがどんな物でもてなしてくれるのか、それがとても楽しみです。


「その為にも、こっちのふたりも成長させないとね」


巨大ウニからの針攻撃が降り注ぎ、アルミクたちは傷を負いながらも何とか絶えます、僕はモリを回転させてすべてを弾き飛ばしました。
ボロボロになってるのにふたりはまだ諦めません、その気持ちは大事だよね、でも打開策があるかでそれは無謀になる、ふたりの目を見てそれを確認します。


「見つけてない・・・でもまだ止めないよ、がんばれふたりとも」


ピンチをチャンスに変える時はきっと来ます、諦めてないのならきっと・・・そう思って見守ります、ボロボロになるふたりを見てられないけど、我慢です。
4回目の針攻撃を受け、やっとアルミクが動きます、武技の為に闘気を溜めドミノンが相手の注意を引き始めたんだ、でもダメージが大きかったのか闘気の溜めが足りません、【扇風刃】の闘気の刃が飛んでウニの殻を砕きました、でも倒すまでには行きません。


「くっそーまだダメか、あと頼むドミノン!」

「うん任せて【双竜連斬】」


砕いた殻にドミノンがトドメの連撃の武技を放ちました、でもそれももう一息です、相手は動けないふたりに転がって襲ってきたんだ、武技で全力を出しダメージもあってか動けないでいます、僕はここでふたりの前に位置取りウニをモリで叩き飛ばしたんだ。


「「すご!?」」

「ふたりとも諦めないのは良い事だよ、でも一時撤退する勇気は持たないとね」


ヒールを二人に掛けつつ注意点を教えます、戦いでは万全な状態こそが大事です、回復のアイテムを持っているのに使わなかった、それが敗因だったんだ。
ダメージさえ少なかったらアルミクの武技で倒せた、ドミノンのスタミナが無くなりかけていなければ、しっかりと砕いた先に武技を当てていた、全部が悪い方に向かってしまったから負けたんだ。


「ポーションは高いけど使わないとダメだよ、その為にポーチを渡してるんだからね」


収納スキルを持ってない冒険者は、肩から下げる鞄を持って冒険しています、見てて戦いにくそうっと思っていました、だから腰のベルトに付ける小さなポーチを売り出したんだ、モンスターの素材とは別に出来るから人気なんです。
ふたりには渡したのに1度も開けてなかった、棘攻撃の合間は十分にあったんだ。


「ふたりは戸惑ってたでしょ、そんな時でも観察と回復は欠かしちゃダメだ、それで無理だと思ったら即逃げなくちゃいけない」


分かったねと言い聞かせます、ふたりは頷くけど叱られたと思ってしょげちゃったんだ、だから慰める為に頭を撫でました、最初から出来る人はいません、これから練習して出来るようになっていけばいいんですよ。
本格的な訓練が始まる、ふたりはその時喜びました、だけど1時間もしない内にふたりは辛さのあまり船に倒れます。


「だらしないよふたりとも、ほら立って」

「む、むり~」

「そうだぜエリナ姉、闘気を足に集めるのだって初めてで大変なのに、魔力まで両手に込めろとか無理だ」


ふたりが行った訓練は僕の中では初歩です、この前段階はザナルパープルちゃんの座学と空気イスなんだよ、ここから更に両足で闘気を飛ばして水に浮き、両手で性質の違う魔力を操作するんだ、そして最後には考えないで出来る様になってもらう、そこまで出来て免許皆伝だね。


「仕方ないなぁ~・・・まぁ新年祭まで半年あるし、ゆっくりやるからね」

「「は~い」」


げっそりしてるふたりの返事を聞いて、まだまだ子供だねとにっこりしました、今日の訓練はいきなりだったから出来ないのは分かっていたんだ、辞めたくなるんじゃないかって心配したけど良かったです。
湖を上がるとすごくおいしそうな匂いがしてきて、僕たちは早くご飯が食べたくなったよ、リュウたちの待ってる場所からは煙が上がり、見えてくるとそこでは大きなウニが焼かれていました。


「遅かったねもう準備出来てるよ」


アルミクとドミノンは僕を見てきます、今焼かれているウニはふたりが戦っていた奴です、僕が飛ばした方角がこっちだったんです、それ位は調整するとニッコリしました、早速食べようとテーブルに集まったんだ。
だけどそこでちょっと問題が出てきました、サーヤとミーオがリュウにくっ付いているんだよ。


「リュウ、どういうことかな?」


ふたりの態度を見てアルミクとドミノンが凄くイライラしています、これじゃ楽しくないので率直に聞いたんだ、みんなに分からない様簡素に答えてくれた内容を聞き、どうやらリュウが見せた料理の腕に惚れてしまったのが分かりました。
やり過ぎたんだねっと、僕は瞬時に理解しました、アルミクとドミノンはそれを聞いても納得してません、一口ウニ丼を食べてもそれは変わらずムスーっとしてます。


「けっなんだよこれくらい、俺だって出来るぜ」

「何をむくれてるのよアルミク、リュウ先生はすごいのよ!このムースのケーキ食べて見なさい」


サーヤが無理やりアルミクの口の中にケーキの乗ったフォークを入れます、それをパクっと食べてアルミクの顔が真っ赤になったんだ、ドミノンもミーオからしてもらいふたりの機嫌は治ったよ。
安上がりだねっとか思っちゃったけど、好きな人からの【あ~ん】は特別だよね。


「でもリュウ・・・この料理はまだ二人には早いよ」


テーブルに乗っているのは本格的なケーキ達です、この世界ではないし難しいんだ、僕の機材を使えば出来るし孤児院では作ってた、だけどお店で出すのは早いんだよ。
それは分かってるとリュウは言います、ケーキは最終段階の物と教えたそうですよ。
流石僕の分身、やる事は同じです、4人のイチャイチャを見ながら成長を楽しみに料理を食べました。
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