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3章 商品チート

51話 悩んでいる時はダンジョンへ

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「狙われるのは分かっていたはずなのに、どうして俺は気づかなかったんだ」


聖女が帰って、俺は契約内容の変更や雇用の違い等、もっとしっかり作っておけばよかったとかなり後悔していた。
給金は多めだし、それで十分と思って勘違いをしていた。


「人は欲に吸い寄せられるモノで、それ以外の魅力を感じてない限り、それを回避するのは不可能なんだよね」


ペンダントでそれを与えているつもりだったけど、それでも足りなかったと後悔したんだ。
そんな落ち込んでいる俺を見て、ぎゅっと抱きしめてくれた人がいて、その人は諦めるなと言ってくれたんだ。


「ありがとうカーリーもう平気だよ」
「ほんとに?もう少しこうしてても良いのよ」
「いや、落ち込んでても仕方ないよカーリー」


そうだよねっと、僕は起きてしまった事に後悔をするのではなく、反省して改善する事にしたんだ。
いつもそうだったのに、完全にしてやられた事で忘れてしまっていた。


「もう彼らは戻らない、それなら向こうで助ける事を考えれば良いんだ」
「そうかもだけど、それも難しいわよ」
「まぁ確かにね」


友好国でもないそこに店は構えられないし、それなら冒険者として行くしかなかった。
そして、その場合は教会には入れないから、ほとんど何も出来ないんだ。


「これは、店を建てる方が良いのかな」
「それって難しいわよ・・・それに時間も掛かるわ」
「そうだよねぇ~」


そうすると、冒険者として行くしかなく、それにはランクを上げる必要が出てきました。
そして、更に問題が出て来て、僕は悩んだよ。


「僕のランクは3だから、強引に入る為にも5にはならないとだね」
「それなら、フォーミに頼めば直ぐじゃない」
「それは無理だよカーリー」


新人のギルマスで、しかも本部にケンカを売っている状態だから、そこで無理やりとなると絶対に通りません。
しかもいきなり2つも上げるとなると、普通でも無理とカーリーに伝え、それで上げる方法は1つになりました。


「文句のつけようがない証拠を出す?」
「そうだよカーリーそれしかない」
「それならリケイル、また130階のボスでも倒しに行きましょうよ」
「そうしたいんだけど、5つ星となると僕の実力を見せないとダメでしょ」


130階だと、50人の仲間が同行しなくてはならず、僕だけの探索か、カーリー同伴と言う条件が頭に浮かんだ。
それならいけるのは100階が妥当で、それなら否定できないレベルと納得したんだ。


「だからね、ギルド本部から査定官でも呼んでもらうんだ」
「なるほどね、それから・・・ちょっと待ってリケイル、それだと3月は掛かるわよ」
「うん、だから両方同時進行するんだ」


もう失敗はしたくないから、出来る事は全てやろうと決めたんだ。
それと言うのも、今回失敗したら誰かが死ぬのが予想出来た。


「そうよね、使いつぶすってそういう事よね」
「そうなんだ、だからそうなる前に何とかしたい」
「でも、3月って長くないかしら?」
「それは・・・そうかもしれないけど、もうそれ位しかないよ」


カーリーの同伴が必須で、僕だけで戦う場合、行けるのは70階だから、もしかしたら十分じゃないかもしれないんだ。
ここに来て、みんなを強くし過ぎた事が影響してて、他のみんなも80階のボスまでは1つのPTで討伐出来てるんだ。


「ああ~確かにそうねぇ」
「うん、だから借りがあるあいつらに頼んでみようと思う」
「それって、もしかしてシューリたちの事?」
「そうだよ、もうそれしかない」


ちょっと頼りないけど、裏切る事はあまり考えられないので、今回は適任と思ったんだ。
頼むのはカーリーにお願いして、僕は冒険者ギルドに向かったよ。


「なるほど、それなら手紙を送って見ますね」
「お願いします、もしかしたら助ける以外にもちょっと問題が起きるかも知れないんで、ちょっと覚悟しててください」
「問題ないですよリイル様、色々助けてもらいましたからね」


昇格査定をお願いして、僕は屋敷に戻ったけど、カーリーがシューリたちを連れて来ていたんだ。
今回の依頼を僕の口から聞きたいらしく、僕はお願いしたんだ。


「リケイル、ふたりにも本当の事を話してあげて」
「リケイルって・・・そう言う事だねカーリー分かったよ」


それだけ信用させる為の手段で、だから僕は教えました。
僕がリケイルで、再スタートの為に時魔法で若返ったことまで話したんだ。


「そんな事が」
「すげぇな」
「酒の席でも二人には言ってなかったけど、これが僕なんだ」


納得してくれた様で、頷いて今回の作戦に乗ってくれる約束をしてくれた。
これで全ての準備は出来たんだけど、それでも何か足りない気がしていて、僕は考えて悩んでしまったよ。


「リケイル落ち着いて、悩み過ぎない方が良いわ」
「でもカーリー」
「そんなに悩んでいたら、良い方法も思い付かないわ」


冷静にならないといけない、それが分かっているけど、僕は後悔していたんだ。
反省して次に生かさないといけなくて、頭で分かっていても出来なかった。


「考えすぎない所に行きましょ、ダンジョンで沢山違う事考えるのよ」
「ダンジョンかぁ・・・それも良いかもねカーリー」


出来る事は全てやったと思う、でもそれが本当かどうかを見るには、一度冷静にならないといけないんだ。
分かっていても出来ないなら、一度考えられないくらい疲れれば良いと、僕はカーリーの提案に乗る事にしました。


「じゃあ、カーリーはしばらく戦わないようにね」
「そ、それって、もしかして限界まで行くつもり?」
「うん、そうしないと考える事は止められないよ」
「分かったわ、倒れてもしっかりと戻って来てあげる」


お願いしますっと、僕はカーリーに全てを頼みました。
そして、90階から入った僕は、限界まで突き進む為の準備を始めたんだ。


「そ、その装備って」
「そうだよカーリー君がくれた短剣だね」


しっかりと付与も付けた最高の装備で、防具はオリハルコン装備です。
ミスリルだから弱いとカーリーは言うけれど、これは僕の絆を強くして力になってくれるんだ。


「だからね、しっかり見ててよ」
「わかったわリケイル」


限界まで進むだけなので、装備がこれでなくても良いのだけど、この方が頭がすっきりする気がしました。
だからこそ、これでダンジョンに入り、そこから新たな方法を見つけようと決めたんだよ
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