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1章 旅立ちの一歩

11話 冒険者登録

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「見えてきたよ、あれがアーボラだよラリーファ」


しばらく道のない道を歩き、やっと街が見えてきました。

まぁまだ壁しか見えませんけど、結構横まで壁は広がってます、ペルーロの肩の高さが130センチ位で、私の身長がペルーロの頭まであるから、大体壁は4キロは広がってますかね、奥行きは分からないけど、大体同じだろうし、この街の広さはそれ位と推察しました。


「結構広そうな街ね、街に入るのに入場料がいるんだっけ?ペルーロ」


大体の街の広さを想像して聞くと、ペルーロが1人銅貨5枚必要だと話てくれたわ。そしてそれは、食事屋などの店員に渡すチップの額と同じらしく、その金額で黒パンって拳くらいの硬いパンが1つ買えるようです。

そのパンが高いのか安いのか知らないけど、私は一枚も持ってないのよね。


「今回は僕が出すから心配しないでよラリーファ」

「ありがとペルーロ、ギルドで素材を売ったら返すわね」


平原ウルフは最初の3匹が私の獲物です、途中で倒したウルフは、ペルーロが一人で倒したのでペルーロの獲物よ、まだPTを組んでないのでそこら辺はしっかりと区切るわ。なので、私の報酬は角銅貨15枚が手に入ります、そして出して良いのか迷うけど、大怪鳥ラフォールも換金したいと思っています。


「次!・・・何だ獣人か、さっさと身分証を提示しろ」


私が考え込んでいると、門の所にいた見張りの兵士が、ペルーロを見て変な態度です、これはイラっとしますね。


「はいどうぞ、それとこの子は身分証がないので、仮の登録証をお願いします」

「ちっ・・・待ってろ!」


兵士の人が舌打ちをして、門の横にあった扉を開けて中に入って行きました。


「何よあの態度っ!ペルーロあれが普通なの」

「うん・・・ヒューマンは他の種族を嫌ってるからね、ラリーファも気を付けるんだよ」


獣人のペルーロだけじゃなく、私も嫌われる方に入るのね、まぁ他の種族って事だから、かなりの種族がそうなのかしら、あの態度にはイラっと来ますね。


「ほらよ手乗り妖精、受け取れ」


兵士の人が少しして扉から出てくると、私の頭くらいの大きさのサイコロみたいな石を私に投げてきました、サイコロには古代文字みたいなものが書かれているわ。


「料金は、二人で銅貨10枚だ」


手を出して指をクイクイさせています、兵士が料金を要求してきているんだけど、もっと態度を良くしてほしいわ、料金自体は普通の様で、ペルーロが何も言わずお金を払っています、兵士によって割り増しとかしてきそうで嫌ね。


「よしよし、それと仮の身分証を返すときは、角銅貨1枚を持って来いよ」

「分かってますよ兵士さん、それじゃ」


ペルーロがお金を渡してそんな話をしていました、仮の登録証を返す時にまた料金を払うのね、何だかすごく損した気分だわ、でも手数料は払う物だから仕方ないのかしら。


「そんな事よりも手乗り妖精ってなによ!私にはちゃんとした名前と種族があるのよ」


門を通り、しばらくして私は怒っています、街の風景がレンガ造りのシックな感じで良いわね、なんて見ている余裕はないわ。

失礼しちゃうわよね、それに兵士のあの態度って普通らしいのよ、これはギルドに行ったら騒動になりそうな予感よ。


「仕方ないよラリーファ、ここはヒューマンの国の街だし、君の種族は手乗り妖精って言われてて、すごく珍しいんだ、攫われないように注意した方がいい」

「ふ~ん・・・まぁ良いわ、ギルドに行きましょ」


ヒューマンがギルドで絡んできそうな予感がするわ、その時は私がケチョンケチョンにしてやると闘志を燃やしました、ペルーロがちょっと怖がっていたけど、ああいった態度を取る奴らは最初が肝心よ。


「いらっしゃいませ~どのようなご用件でしょうか~」


すごく棒読みなヒューマンの女性が、傭兵ギルドの受付でペルーロに言ってます。

作り笑顔が見え見えね、それに周りのギルドにいる傭兵たちもかなり態度が悪いわ、街のヒューマンたちも遠目からヒソヒソ話していたけど、ほんと嫌な感じよ。


「どうも、この子の冒険者登録とクエスト達成報告、それとPT申請と素材の納品をお願いします」


ペルーロが全部を一気に言ったら、すごく嫌そうな顔をし始めたわ、そんなに他種族が嫌なの?ペルーロはこんなに可愛いのに、ちょっとボサボサだけど、それを引いても可愛いじゃない。

これは躾が必要そうだわ、みてなさいよ。


「では登録から・・・この紙に必要事項を記入してください」


イヤそうな顔をして、テーブルにA4くらいのゴワゴワしてそうな紙を出してきました。

作りからして良品質とは言えないわ。


「えっと名前に種族、使用する武器と陣形で得意な位置か」


イライラしながら私は、紙に記載されている内容を一度読みました、そして書き込んで行ったのよ、受付嬢とペルーロはそれを見てびっくりしてるわ。


「出来たわ、はいどうぞ」

「は、はい確かに・・・少々お待ちください」


受付嬢が紙を持って奥に行きました、ここで処理できないのかしら?と思い後ろにいるペルーロの肩に戻ったの。


「すごいねラリーファ、文字は読めるし書けるなんて、僕尊敬するよ」

「そうかしら、もしかしてペルーロは書けないの?」


ペルーロの肩で聞いたら頷いてたわ、私はそこら辺どうしてか分かるのよね、これはペルーロを教育してあげなくちゃだわ。


「じゃあそこら辺も教えてあげる、もちろん優しくね」

「ありがとラリーファ」


ペルーロと楽しく話しをしていると受付嬢が帰ってきました、小さいメモ帳位のカードを持ってね。

っと言っても、私くらいの大きさよ、これって収納持ってなかったらどうするのかしら?


「お待たせしました、このカードに手を触れてください登録をいたします」


私がそんな疑問を抱えていると、カードに触ってと言われました、そこで私はなるほどって思ったわ、素手で触ると登録されちゃうから、受付嬢は手袋をしてるんです。私はカードに触れて登録をしました、カードには私の名前とランクが浮き上がり、この世界の数字で10と書いてあります。


「登録おめでとうございます、これから頑張ってください」


私が収納にカードをしまうと、棒読みで受付嬢に祝福されました、そしてランクの説明です。新人は10等級って事らしいわ、そして3か月間10等級でクエストを達成していき、その成果をギルドが評価します、そしてその結果で9等級に上げるかの判断をするそうですよ。


「ふむふむ、どんなに強くても直ぐに上がることは出来ないのね、そして傭兵は基本自己責任、余程ひどい物以外はギルドは関与しないと」

「はい、ギルドの報酬は記載されている額で上がる事ありません、依頼主とよく話し合ってください、PT内での分配も同じです、命のやり取りをしている仕事とはいえ、話し合いで解決してくださいね」


それを聞き、私は何となく察したわ、そして嫌にもなった。
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