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2章 戦争の第一歩

36話 ラリーファの決意

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「良くお越しくださいました、メリナ殿」

「ローデニア殿、遅くなりましたわ」


村に着くと、早速村長たちがお出迎えをしてくれたわ、他種族たちを乗せたバスは先に砦に移動中で傭兵たちが護衛ね。


「とんでもございません、我らがこうして元気になったのは、ひとえにメリナ殿のおかげです、ほんとにありがとうございました」


村人が全員メリナ(メリーナ)に跪いてきたわ、私は胸の谷間からひょっこり顔を出してみたんだけど、メリーナに押し込まれてしまいました。


「それで、その後は何もありませんでしたか?」


場所を村長の家に移し、メリーナはお茶を飲んでいます、私はこの話し合いよりも外の事がちょっと気になってるわ、今外にこっそり出ようとしてる村人がいるのよ。


「今の所は・・・しかしいつかは見つかるでしょう、何せ私たちは元気ですからね」

「そうですわね・・・それでは後金を払ってしまいましょうか」


森の罠を確認しているとメリーナが話を進めました、村長はちょっと驚いていたけど、見ればすぐと説明をすると納得してもらいました、そして既に村にある倉庫に食料を運んでいると説明したわ。


「それでは見つかってしまいますが・・・そこは、あえてそれに注目させ、他を残すと言う事ですねメリナ殿」

「その通りですわ、後はこの村に内通者がいなければ、ですわね」


メリーナがそう言うと、村長はかなり驚き焦った顔をし始めたわ、村単位の人達ですからきっと家族の様に知ってる仲なのね。


「い、言いがかりは止めてくださいメリナ殿!この村にその様な者」

「それは後にならないと分かりませんわローデニア殿、あくまでも可能性の話です、そしてそう言った者がいた場合、1月以内に兵士が来ます、その意味分かりますね」


メリーナがそこまで言って話を止めたわ、村長も分かるようで頷いています、もし兵士が来た場合事態は最悪です、情報が全て向こうに行き、言い逃れが出来ません。


「この村で最初に元気だったのは、数名の兵士とあなたの補佐、それとあなただけでした、そんなに分かりやすい状況です、まずはいないと信じていますわ」

「そ、そうですね・・・はい」


村長が歯切れの悪い返事をしました、心当たりがあるのかもしれませんね。


「それでは、わたくしは倉庫の様子を見てきますわ」

「わ、ワタシも行きます」


村長が慌てて立ち上がり、メリーナの後に着いて来ています、その後ろには兵士が1人いるわ。

今いない1人が問題なのよねぇ。


「じゃあメリーナあとよろしく、私ちょっと外に行ってくるわ」


私は外の状態が悪化してきたので、光学迷彩を作動させメリーナの肩の上で呟きました、メリーナは返事をしないで頷くだけです、私はそれを確認して村の外に飛びましたよ。


「移動の準備をしてるわね、させないわよ」


ある程度飛ぶと、革の鎧を着た者が馬に乗るタイミングだったの、私はカリーサに頼んだ時の見本で作った網を上から落とし、相手を包んだわ。


「な、なんだこれは!?」

「観念しなさい、あなたはもうお終いよ」


私が空から降りて来ると、相手は馬から落ちてナイフで網を切ろうとしているわ、でもなかなか切れないみたい、かなり丈夫に作ってあるのよ。


「お前は何者だ!」

「それはこっちが聞きたいわね、あなたあの村の人よね?確か村長と一緒にいたエイハルさんでしたか?みんなを裏切ってどこに行くつもりよ」


私の質問にエルフの男は「ふんっ!」って鼻を鳴らしたの、そして網を取ると開き直った感じです、私はそれを見て男が言う前に分かったわ。


「俺はあの村の生まれじゃない、あんな奴らと一緒にするんじゃない!」


男の言葉に私はやっぱりって思ったわ、あの村の人達は家族の様にみんなが名前で呼び合っていたわ、でもこの人を名前で呼ぶのは、村長と兵士の仕事をしている人だけ、それが分かっていたから注意していたのよ。


「それで、これからそれを言いに行くのね、じゃあ命はないと思って良いのよね?」

「お、俺を殺したらエイジャルナさまが黙ってないぞ!」


私はまだ人を殺めた事は無いわ、でも戦争が始まればそれは嫌って程やらないといけない、それにゴブリンの時の様に完勝なんてほとんどない。

怖いけど、覚悟を決める時よラリーファ。


「安心しなさい、痛みは無いわ一瞬で終わるわよ」

「な、何を向けてきているきさま、分かっているのか」


エルフが何か言っているけど、私は銃を降ろすことはしません、震える手で狙いを定めるのが大変なだけです。


「き、聞いてるのか!俺が帰らないと」

「もうっ!うるさいわね知ってるわよそんな事!相手の貴族は村人なんてなんとも思ってないから襲って来るんでしょ、そんなのあなたが帰ろうがそうでなかろうが来るわよ!それにあなたの情報を高く評価なんてしないわ、他種族なんてなんとも思ってない奴らよ!」


私はエルフに向けて引き金を引いたわ、弾は胸に当たりエルフは膝をついたの、私はそれを見て凄く体が重くなりました。


「な、なんだ?これは」


エルフが胸を抑え倒れたわ、私は銃を降ろし、ちょっと空を見上げたの。


「これが人を撃つって事なのね・・・思ってたよりは!?うえぇぇ~」


私は気分が悪くなって嘔吐してしまったわ、でもこれは必要な事です、自分でやれるようにならないと後悔する時はあります、私は泣きながら心に刻みました。


「げ、ゲームとは違うもんね・・・私が甘い采配をしたら、ペルーロたちがあぶない目に会うかもしれない、そこはよく考えなくちゃ」


フラフラと飛びながら私は村に飛んだの、エルフの遺体は回収したわ、ローデニアに見せないといけないからね。


「おかえりラリーファ」


フラフラっとして私が村に着くと、顔の変わっているペルーロたちが迎えてくれたわ。私はペルーロの肩に無言で乗り、垂れている耳に抱き着いたの。


「ど、どうしたのラリーファ?」

「うん・・・少しだけこうさせてペルーロ、少ししたら、また元気になるから」


私はしばらくペルーロの耳に抱き着いていました、これから戦争は酷くなる、そう思うととても怖いの。


「そうですか・・・やはりエイハルが」


元気になった私は、さっそくメリーナの所に飛びました、そして証拠を見せてお話の最中です。


「ええ、幸いにして様子見をしていたようです、情報は漏れていないですわ、ですが注意は必要ですから気を付けてくださいましね」

「そうですね・・・分かりました」


それだけ言って村長は下を向いています、外部から来た者とは言え、いつも一緒にいた者なのでショックなんでしょう。


「では、わたくしたちは出発いたします・・・ローデニア殿、気をしっかりとお持ちになってください」


メリーナがそう言って部屋を出ました、私はその言葉を聞いて、自分にも言われているように錯覚したわ。

私が頑張らないといけないんです、みんなの安全の為に、何より、私の平和の為にです。
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