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28、活きのいい何か
しおりを挟むしばらくして、フロアにトワイライト家の面々が会場入りした。
ルーナの本日のドレスは、デビュタントのため白を基調としたものだが、あちらこちらに金や紫の刺繍や宝石が散りばめられている。レオンを想像させるような装いである。
「はぁ、あの子ったら、あからさまよ・・・」
「今日の装いの点では、オーロラ様も負けてませんよ?独占欲丸出しの感じという意味で」
「私はそう見える相手が横にいるから問題ないのよ。あれは・・・他のご令嬢からの視線が痛いわ」
「確かにそうですね・・・」
そこへまた一人の男が歩み寄る。
「やぁ、オーロラ嬢久しいな」
「ノエル殿下、お久しゅうございます」
「隣の彼は・・・以前城にいなかったか?見たことがある気がするが」
「殿下ご無沙汰しております。セシル殿下に従者としてお仕えしておりました、ノアール・イースブールでございます」
「あぁ、君か聞いたよ。公爵家の庭に落ちたんだって?・・・という事は、今の飼い主はオーロラ嬢か」
ノエルは無邪気な笑顔を向けてくる。
「ノエル殿下、後でプレゼントがございますの」
「僕にかい?」
「殿下にというより、第二騎士団にですわ」
「それは新しい武器かい?それとも馬かい?」
「馬ではございませんが、活きのいいメスですわ」
「?」
「まぁ、楽しみにしておいてくださいませ。後ほどご覧にいれますわ」
「ほぅ、わかった。楽しみにしておこう。
話の内容がわからないノアールは、とりあえず笑顔を絶やさず隣に立っていた。しかし、馬?活きのいいメス?一体なんの生き物の話をしてるんだ?と困惑していた。
考え事をしていたノアールだったが、ふと自身の腕に何かがあたる感触があった。なんとオーロラが、ノアールの腕にしがみついていたのだ。
しかしオーロラはノアールのほうは向いておらず、あちらこちらを見ているようだ。ノアールは婚約者らしく振る舞っているのだろうと思っていたが、今回ばかりはオーロラは、らしく振る舞っているわけではなかった。まわりのご令嬢の視線に気付いたのだ。ちらほらとノアールに向けられた視線に気付いて、これは私のノアールよ!としっかり牽制しまくっていた。
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次回
すでにあなたの腕の中よ
サイラス様、出番です!
応援ありがとうございます!
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