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43、君が待っていてくれるなら
しおりを挟む感情のままに話し、涙を流すノアールを何も言わず見つめていたオーロラ。
「辛い・・・思いをされているのですね・・・」
「あぁ、辛い」
「あなたは、そんなに私の事がお好きだったのですか・・・」
「あぁ、大好きだ」
「他の女性では無理なのですか?」
「オーロラじゃなきゃダメだ」
「あなたは、このままの私でも愛せると言うの?」
「オーロラはオーロラだ」
「・・・このままずっと、あなたの事がわからなくても?」
「・・・辛いが・・・我慢する。思い出してもらえるように・・・いや、好きになってもらえるように頑張る!」
「あなたは、覚悟があるのですか?私を手にする意味を、その結果、あなたの未来がどうなるのかを」
「・・・オーロラが好きだ・・・でも、その先は俺が望んでいいかわからない。でも、オーロラと一緒にいれるなら、何だって頑張る。努力する。試練を乗り越えれば、その先にオーロラがいるなら、先の見えない道だって進み続ける。進んでお前の元に辿り着いてみせる。オーロラが待っていてくれるなら、棘の道だって潜り抜ける!望んでいいなら・・・いいのなら・・・オーロラが欲しい」
「・・・そう」
必死に縋り付くように話すノアールに、オーロラは優しい微笑みを向けた。
「泣いた後がありますわ。泣いて疲れていたのでしょう?今日はゆっくり休まれてください」
「あぁ、そうだな・・・少し、すっきりした」
「夜明けはやってきますわ。毎日、毎日・・・変わらず夜は明けますの」
オーロラは、ノアールの頭をゆっくり撫で、そのまま頬に触れる。
「朝、目が覚めたら、また一歩進めますわ。男爵様にいい事がありますようにって願っていますわね」
「あぁ、ありがとう」
ノアールは、自身の頬に触れていたオーロラの手をとって、口づけをし、離れ難いのをあらわすように、頬に押し当てて擦り付けた。一度失ったこのぬくもりを忘れまい、逃すまいと確かめるように。
「じゃあ、そろそろ失礼するよ。おやすみ、オーロラ」
「えぇ、おやすみなさい」
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次回
【オーロラside」
壁を乗り越えて。
覚悟を決めなさい
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