影は落ちました

agapē【アガペー】

文字の大きさ
上 下
64 / 116

43、君が待っていてくれるなら

しおりを挟む


感情のままに話し、涙を流すノアールを何も言わず見つめていたオーロラ。


「辛い・・・思いをされているのですね・・・」

「あぁ、辛い」

「あなたは、そんなに私の事がお好きだったのですか・・・」

「あぁ、大好きだ」

「他の女性では無理なのですか?」

「オーロラじゃなきゃダメだ」

「あなたは、このままの私でも愛せると言うの?」

「オーロラはオーロラだ」

「・・・このままずっと、あなたの事がわからなくても?」

「・・・辛いが・・・我慢する。思い出してもらえるように・・・いや、好きになってもらえるように頑張る!」

「あなたは、覚悟があるのですか?私を手にする意味を、その結果、あなたの未来がどうなるのかを」

「・・・オーロラが好きだ・・・でも、その先は俺が望んでいいかわからない。でも、オーロラと一緒にいれるなら、何だって頑張る。努力する。試練を乗り越えれば、その先にオーロラがいるなら、先の見えない道だって進み続ける。進んでお前の元に辿り着いてみせる。オーロラが待っていてくれるなら、いばらの道だって潜り抜ける!望んでいいなら・・・いいのなら・・・オーロラが欲しい」

「・・・そう」


必死に縋り付くように話すノアールに、オーロラは優しい微笑みを向けた。


「泣いた後がありますわ。泣いて疲れていたのでしょう?今日はゆっくり休まれてください」

「あぁ、そうだな・・・少し、すっきりした」

「夜明けはやってきますわ。毎日、毎日・・・変わらず夜は明けますの」


オーロラは、ノアールの頭をゆっくり撫で、そのまま頬に触れる。


「朝、目が覚めたら、また一歩進めますわ。男爵様にいい事がありますようにって願っていますわね」

「あぁ、ありがとう」


ノアールは、自身の頬に触れていたオーロラの手をとって、口づけをし、離れ難いのをあらわすように、頬に押し当てて擦り付けた。一度失ったこのぬくもりを忘れまい、逃すまいと確かめるように。


「じゃあ、そろそろ失礼するよ。おやすみ、オーロラ」

「えぇ、おやすみなさい」



ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

【オーロラside」

壁を乗り越えて。


覚悟を決めなさい


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

彼女を悪役だと宣うのなら、彼女に何をされたか言ってみろ!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:13,085pt お気に入り:107

ある国の王の後悔

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,108pt お気に入り:99

アメイジングな恋をあなたと

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,121pt お気に入り:1,287

遅れて来た婚約者 (完結済)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:30

みなみちゃんは礼央くんに振り回されてます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

偽りの恋人達

恋愛 / 完結 24h.ポイント:603pt お気に入り:38

今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,865pt お気に入り:3,441

王子殿下の慕う人

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,597pt お気に入り:5,371

処理中です...