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【アリエルside】可愛いの成長期
しおりを挟むマルクスがアイスフォードを詰所に連行すると、屋敷は静かになった。応接室を出て、二人でアリエルの部屋に入りソファに並んで座った。
「アル様、勝手に夫にするなどと言ってしまって申し訳ありませんでした。アイスフォード殿下に諦めてもらおうと勢いで言ってしまって・・・」
「いや、かまわない。しかし・・・」
勢い・・・夫にしたいのは俺だって言ってくれたじゃなか・・・俺はお前の夫にはなれないのか?
「アル様・・・私はずっとアル様と一緒にいたいです。でも、それを望んではいけないのです」
ずっと一緒にいたいならいればいい、嫁になればいいじゃないか!なぜ望んではいけないと思うのだ・・・俺はリシェがいなくなるなど考えられんというのに・・・俺はリシェがいい!リシェが他の男の元に行くなど我慢がならん・・・
「・・・いずれかはここを出ていかなくてはならないと思っています。私は・・・アル様にはふさわしくありません・・・」
出ていく必要ないだろう・・・ずっといればいいんだ。ここにいればいい。お前の居場所はもう俺の所なんだ。ふさわしくないのは俺の方だと思うぞ?こんな可愛いリシェだったら、いくらでも見目のいい男を捕まえることはできるだろう・・・でも、俺はリシェを手放さない!リシェはもう俺の一部なんだ、欠けたら困るんだ。俺はお前を失うのが怖い。今まではずっと一人だった。リシェのいる幸せな毎日を知ってしまったら、手放せるわけないだろう・・・俺から幸せを奪うなんて、リシェでも許さんぞ。リシェは俺と幸せになるんだ。俺はリシェか生きがいになってしまったんだ・・・いかん・・・リシェを失うかもと考えていたら・・・涙が、止まらない・・・リシェ、俺を突き放すな・・・
「アル様・・・アル様が思う程、私は綺麗ではありません」
綺麗に決まってるではないか!見た目は俺にはもったいないくらい美人だ。それに加えて優しくて気遣いもできる。心も綺麗なのだぞ!それなのに、そうではない所とはなんなのだ?リシェは全てが綺麗だ。何があってもどんなことがあっても、リシェはリシェだ。俺はアイスフォードと違う。選び放題な男達と違うんだ。リシェしかいない。リシェの全てを受け入れる自信がある。だから・・・全部さらけ出せ。
「・・・綺麗なんて言ってもらえる資格がありませんわ・・・私は穢れています・・・」
穢れているって何がだ?昼間のアイスフォードの事を言ってるのか?リシェが気にするなら、あいつをこの世から消してやる!リシェを害する奴は俺が許さん。しかし、リシェがダメというなら仕方ない。
だが、何が穢れていると言うのだ?俺にはお前はキラキラしていて眩しいくらいだぞ?リシェ自身が宝石かと見間違うぐらいに。リシェは闇の中に光を与える存在だ。
朝起きた時の、俺の幸せを知らないからそんな事言うんだな・・・朝から幸せで騎士団に行きたくなくなるんだぞ?このまま腕の中に閉じ込めておきたいって思うし、今日はこの部屋から、いや、なんなら寝台から出したくないと思うぐらいだ。毎日幸せな朝がくる。こんなこと今までなかった。騎士団から戻ったら、リシェが駆け寄って出迎えてくれる時、心の中の俺はだらしなくにやけてるんだぞ!こんな顔リシェに見られたらドン引きされるかもな。しかも夜には毎日リシェを感じながら眠れる。夢にまでリシェがあらわれた時にはもう・・・目が覚めたくなくなる。夢が終わって悲しい気持ちになっても、目が覚めたら目の前に本物のリシェがいるんだぞ?なんだこの幸せループ!
毎日、毎日リシェが可愛い。日に日に可愛くなっていくんだ。リシェの可愛さは止まることを知らないらしい。お前はどこまで可愛くなるつもりだ?これ以上可愛くなって・・・俺はどうすればいい?他の男にとられるんじゃないかと毎日不安が増していくんだぞ?
早く嫁にしたい!俺のものだって言いたい!なんでそんなに自信ないんだ・・・お前は可愛いのなにものでもない。俺の嫁は世界一可愛い。可愛いの成長期らしい。明日もまた可愛くなるんだろうな・・・あぁ!もう、どうしたらいいんだ!可愛い、可愛いすぎるぞ、リシェ!!
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次回
今使うべきだろう?
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