77 / 131
44、騎士のお姫様が望む事
しおりを挟むアイリスによって、リシェリアを好きにしていいと言われた令息達は、ニヤリと笑みを浮かべるとゆっくりと近寄った。
「こ、来ないでください!これ以上近付かないで!」
「嫌がるフリか?」
「うるさいな、大きな声出すなよ。ふん、こうしよう」
一人の令息がポケットからハンカチを取り出し、リシェリアを床に押し倒すと、口に押し込んだ。
「んんっ、んんん!!」
ハンカチを押し込むと、足の間に割って入る様にリシェリアに近付く。もう一人の令息に後ろから羽交締めにされ、身動きが取れなくなった。
「君、処女じゃないんだってね?」
「一回やったなら、二回も三回も同じでしょ」
その様子を見ていた令嬢三人は満足そうな笑みを浮かべる。アイリスがニヤリと歪んだ笑みを浮かべた。
「リシェリア様、夜は長いですから、ぜひお楽しみくださいませね、ふふっ」
令息の一人がリシェリアのドレスに手をかけようとした。
バァァァンッ!!
「そこまでだ!その汚い手を離せっ!!」
聞き慣れた愛しい人の声がした。騎士達が数名なだれ込み、リシェリアに襲い掛かろうとしていた令息二人と、部屋にいた令嬢三人をすばやく拘束していく。
「ちょっと、何するの!離しなさい!」
「そうよ!私達は関係ないでしょ!」
「うるさい!黙れっ!!」
あまりの怒号に部屋が一気に静かになる。アリエルは床に押し倒されていたリシェリアに近付くと、自身も力なく床に崩れるように座り込んだ。震えるリシェリアを抱きかかえると、自身の膝に乗せ強く抱きしめた。リシェリアはアリエルの腕に捕われた事で安心し、震えは気付けばとまっていた。
「・・・リシェ・・・怖い思いをさせたな・・・すまない」
「大丈夫ですよ。アル様が助けに来てくれるってわかってたんですから」
「でも!震えていたではないか!」
「もう、とまりました。アル様に抱きしめて貰えたから、とまったんですよ?」
「リシェ、強がるな・・・もっと俺に甘えろ」
「甘えてますよ?」
「いや、もっとだ、もっと甘えていいんだ」
「じゃあ、帰ったらご褒美くださいね?」
「あぁ、なんでも好きなものを言え」
「ふふっ、じゃあ、アル様ください」
「へぁっ!?いっ・・・いやっ、リシェ、そんな事言ったら熊さんは我慢できなくなるぞ・・・」
アリエルはリシェリアの顔を覗き込み、もしかして本当に、先の行為を望んでいるのかもと期待をしてしまった。しかし、リシェリアが意味がわからないと首を傾げていたので、途端に勝手に一人で期待してしまった事に、顔を真っ赤に染め上げてしまった。
「?」
「あ・・・いや、ち、違う!俺はもう、お前のものだ。だから、他のものにしろ!」
「うーん・・・では、キスいっぱいしてくださいね?」
「キスか・・・それは俺にもご褒美になってしまうんだが・・・まぁ、いいか。俺のお姫様がお望みだ」
アリエルは唇に軽く触れるだけのキスをする。
「とりあえず頑張ったご褒美な?」
「ふふっ、ありがとうございます」
「叔父上、あまり見せつけないでくださいよ・・・辛いのですが」
「そんなの知るか。邪魔するな」
アリエルは、自身の頬をリシェリアの頬に擦り付けながら、しっかりと抱きしながら返事をしていた。
「せめて帰ってからにしてもらえます?」
「邪魔するなと言ってるだろう・・・ったく・・・アイスフォード、本当にいいんだな?」
アリエルはアイスフォードの瞳を見据えると、確認をした。
「はい、覚悟はできております」
「わかった、おい、その5人を拘束したままフロアに連れて行け」
拘束されたままの5人は、近衛騎士達によって夜会のフロアに連行された。
「リシェ、歩けるか?」
「歩けないという事にしたいです」
「ん?・・・あぁ、俺の愛しのお姫様は、甘えてるんだな?よし、お姫様は騎士がお運びしましょう」
「はい、よろしくお願いします」
リシェリアはアリエルに抱きかかえられフロアに戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
【アリエルside】
相手を殺しかねんくらいに俺は怒っている!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
185
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる