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【アリエルside】アイスフォードの吐露
しおりを挟む「君は・・・ご令嬢としては完璧だったのかもしれない。爵位も優秀さも」
これがか?お前の目は節穴なのか・・・仕方ない、リシェを簡単に手放せるくらいの男だ、見る目がないのだな。
「そして君はとても美人だよ」
本当に言ってるのか?リシェの方が何倍も美人だ。しかも、可愛い上に小悪魔だ。魔法も使えるんだぞ?(←アリエルにしか効かない)
「でも、私の側にいる女性としては、私には何も響かなかった。気の休まる場所ではなかった・・・いなくなって初めて気付いたんだ・・・リシェリアがどれだけ大事な存在だったか」
今さら気付いたのか・・・遅いな。ずっと側にいたのに何故気付かんだったのかわからん。
「リシェリアの頑張りと気遣い、そして私に寄り添っていてくれた事。
あぁ、そうだ、リシェはこの俺にだって寄り添ってくれるんだからな。って、リシェ、なんでアイスフォードをそんなに見つめているんだ!褒められて気が向いたか?・・・いや、ダメだ!こっち向け、そっちじゃない、こっちだ、俺を見るんだ!こっち見ろ・・・あっ・・・こっち見た。可愛いな、うん、可愛い、可愛い、可愛い・・・
「アイリス嬢、今の君の気持ちはよくわかる・・・私もね、手に入れたい、愛した女性の心が手に入らなかった。リシェリアは今、叔父上の腕の中だ。彼女の居場所はもう、私の隣ではないのだ・・・」
お前は手に入れてたんだぞ?それを手放したからリシェの心が離れたんだ。歩み寄れば簡単に手に入れられたと言うのにな。
「行方不明になっていたリシェリアを辺境で見つけた時は心底嬉しかった。神が味方したと歓喜したよ」
奇跡を信じただろう、きっと願いが叶ったと歓喜したことだろうな。
「彼女は笑っていたんだ。しかし、私には見せたことのないような、心からの笑顔で。辺境での暮らしがどれだけ彼女にとって幸せなのか一目で理解したさ。その時は・・・悔しかった。私は引き出せなかった表情だ・・・」
リシェは笑う事が増えた。その笑顔を引き出したのが俺だけではない事はよくわかっている。
「だが、私は何でもある王都にいた方が、きっとリシェリアは幸せになれると信じて疑わなかった。失った彼女をもう一度取り戻せば元に戻れると思ったよ。彼女を辺境の屋敷から攫って、無理矢理連れ帰ろうとした。いくら話しても首を縦には振ってくれなかった」
王都を選ばず、辺境を選んでくれた事は嬉しかったよ。
「私の知る彼女なら、いつでも寄り添ってくれて、私の話す事に意義など唱えることはなかった」
そんなの本当のリシェじゃない。今のリシェはわがままだって言う。まぁ、わがままとは言えないぐらいの可愛いものだがな。罰だと言うが、俺にはご褒美にしかならん事しか言わないのだが・・・可愛いからなんでも許せてしまうのだ。頬を膨らませて抗議してくる事もある。まぁ、俺がキスを忘れて出かけようとするからなんだが、可愛くてたまらん。
「しかし、彼女は変わった。強い意志を感じた。心が手に入らないなら、身体を手に入れればいいと・・・私もフラムと同じ事をしようとした・・・まぁ、私は叔父上に遮られ、未遂に終わったけどね・・・」
心が手に入らないからと身体をなどと、なぜそんな考えになるのだ・・・未遂で終わって本当によかったよ。しかし、これで兄弟揃って同じ女に手をかけたと皆に知れ渡ってしまったな・・・まぁ、本人が覚悟した事だ。
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次回
お前が引き出せなかっただけ
そしてこれからそれを見る事ができるのは俺だけだ。
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