上 下
102 / 131

58、リシェリアの体調不良

しおりを挟む


「あぁ・・・今日も腕の中にリシェがいる」


アリエルは自室の寝台で目が覚めると、側にリシェリアがいるかどうかを確認する。今だにリシェリアが自身を選んでくれた事、婚約者になった事、まもなく本当の夫婦になれる事など、全てが夢ではないだろうかと思ってしまう時がある。目が覚めたら、全てが現実にはなかった事と、夢が覚めてしまわないか不安なのである。アリエルにとって、国王になる事よりも、リシェリアが側にいてくれることの方が何よりも大事なのである。


「・・・あるさまぁ・・・」

「リシェ?・・・なんか、声がおかしく・・・ん・・・熱いな、ちょっと待ってろ」


アリエルが寝台から出て、メイドのフローラを呼ぶ。


「おはようございます、どうされました?」

「リシェが熱いんだ。熱があるかもしれん」

「それは大変です!陛下に移ってはいけませんから、リシェリア様をお部屋へ移動させましょう」

「いや、リシェはこのままでいい。このまま俺の部屋に置いておく。とにかく医者を呼んでくれ」

「はい、かしこまりました」





「風邪のようですな。特に心配はいりませんが、安静にしておかれるのが良いでしょう。お薬を出しておきます」

「あぁ、すまんな」


アリエルの部屋の寝台に寝かせられたままのリシェリアは、不安な顔をしてアリエルを見上げる。


「あるさま・・・」

「リシェ、どうした?」


アリエルは寝台に腰を下ろすと、リシェリアの頭を優しく撫でた。


「ごめんなさい・・・こほっ」

「謝らなくていい。医者に薬を出してもらった。飯は食えそうか?」

「・・・はい・・・こほっ、こほっ」

「辛そうだな・・・よし、俺が食わせてやる」


アリエルはリシェリアの体を起こすと、後ろから包み込むようにして抱きしめながら、スプーンでリシェリアの口に食事を運ぶ。


「ほら、あーん」

「あーん・・・おいしいです」

「もうちょっと食え、あーん」

「あーん・・・」




「薬も飲んだな。よし、今日はゆっくり寝てろ、いいな?」

「・・・はい」


元気がないリシェリアが気になりつつも、アリエルは執務に向かった。少しでもリシェリアの近くにいたいと、いつも以上に執務を早く片付けた。





「リシェ?・・・寝てるな」


アリエルはそっと寝台に入ると、リシェリアを抱きしめた。しばらく寝顔を見つめていたが、気付けばアリエルも眠ってしまっていた。



夕方目を覚ますと、また飯を食えと、アリエルの世話焼きが始まった。


「あるさまに・・・うつって、しまいますよ?」

「大丈夫だ、俺の身体は頑丈にできてるからな。風邪なんか引いたことないしな」


そしてまた、夜はリシェリアを抱きしめて眠りについた。




ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

あーんして、あーんして、あーんするんだ!


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

気高い蝶 男の欲望にまみれた人妻

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:27

快楽の時間

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:22

大学のトイレで強姦魔に調教されたその時人が…

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:22

妹と結婚相手を交換することにした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:205pt お気に入り:4,723

リンの異世界満喫ライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:433pt お気に入り:3,405

ある日の絶望。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:131

枯れ専で何が悪い!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:161

【R18】メイドのリリーは愛される

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,343pt お気に入り:1,031

学園の巨乳JK騎士は、エッチなイタズラが恥ずかしい。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:41

とある宴の後(R-18)

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:63

処理中です...