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66、他国の王太子
しおりを挟む「アリエル・アルタイル国王陛下。この度は留学を受け入れて頂き、感謝します」
「あぁ、よく来てくれた。最終学年の一年だけと聞いている。いい時間を過ごせるよう、こちらも協力しよう」
「ありがとうございます」
謁見の間にて、アリエルの目の前にいるのは、留学で一年滞在予定の他国の王太子である。クリストファー・ワイアット、17歳。金の髪に赤い瞳を持つ見目の整った青年だ。アリエルとの謁見を済ませ、滞在中に使用する部屋に案内されていた。通された部屋は、以前フラムウェルが使用していた部屋。その部屋からは中庭が綺麗に見渡せる。
「宰相、いい部屋をありがとうございます」
「この部屋はしばらく使っておりませんでしたが、しつらえがいいので気に入って頂けると思い準備させていただきました」
「そうですか・・・」
クリストファーは、宰相シグルドの説明を聞きながら中庭を見渡していた。ふと陽の光に照らされ、金の輝くものが目に入る。
(これは・・・美しいな・・・もっと近くで見たい・・・)
「宰相、案内ありがとうございます。後は何かあれば適当に従者にでも声をかけますので」
「わかりました。なにか不便がありましたらお申し付けください、失礼します」
クリストファーはシグルドが退室したのを確認し、再度中庭に視線を移す。
「・・・行くか」
クリストファーはすぐさま部屋を出ると、急ぎ中庭へ向かった。
「失礼、初めまして。僕は留学でお世話になります、エルトニアス国の王太子、クリストファーと申します。お名前を伺っても?」
「初めまして、留学でございますか。私。リシェリアと申します」
「可愛いお名前だ。学園には?」
「学園は昨年卒業しておりますわ」
「それは残念だ。あと一年早ければ一緒に通えたのか」
「ふふっ、学園で良き時間が過ごせるといいですね」
「えぇ、ありがとうございます・・・羨ましいな・・・」
「?」
「ふっ・・・あなたに愛される人が羨ましいな」
「ふふっ、お世辞がお上手ですわね」
「世辞などではないですよ。僕は本当の事しかいいませんから」
そこへ侍従のハイドがリシェリアを呼びにくる。
「リシェリア様、陛下がお探しですよ?」
「あら、そうですの。クリストファー殿下、良き滞在になりますよう、願っておりますわ」
「えぇ、ありがとうございます、また会えますか?」
「えぇ、もちろん」
リシェリアはハイドと共に中庭を後にした。
「うん・・・やはりいい・・・年齢も申し分ないし、あの人当たりのいい感じも好感がもてる。国内の令嬢では中々いい者がいなかったから他国まで足を伸ばしたが・・・学園などに出向かずともよかったのかもしれないな・・・年齢的に・・・第一王女あたりか」
クリストファーは満足気にその場を去った。
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次回
僕の国に来ませんか?
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