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目が覚めたら

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「・・・んっ・・・」


意識を取り戻したローゼリア。うっすらと開いた目に映り込んできたのは、見知らぬ装飾の部屋。オレンジ色の光が差し込んでいて、陽が暮れかけているという事だけはわかった。


「ここは・・・?」


ローゼリアは寝台に寝かせられているようだったが、ここがどこかもわからず混乱している。ぐるりと部屋を見渡すも、見覚えのあるものは一切見当たらなかった。


コンコンコン


ドアをノックする音にびくりと身体を揺らす。


「失礼します」


入ってきたのは、おっとりとした感じの茶色の髪をした初老のメイドだった。


「あら、お目覚めですね?ご気分はいかがです?」

「え、えぇ、悪くはないと思います・・・」

「そうですか。まだ、お辛いでしょうから、ゆっくりと休まれてくださいね。ご実家の方には連絡済みです。明日お届けしますとお伝えしております故、安心なさってください」

「あ、ありがとうございます・・・あの・・・ここは?」

「こちらは離宮でございます」

「離宮・・・」


確か二人の情事を目撃してしまった。それだけは思い出せるが、その後が思い出せない。なぜ離宮にいるのか、どうやってここまできたのか。


「こちらには陛下がお連れになられました」


ローゼリアの困惑を悟ってか、メイドがそう言った。


「陛下が?」

「えぇ、この離宮は陛下の許可なき者は立ち入りできない決まりになっておりまして、陛下自らが抱えてお連れになれましたので、少々驚きました」

「へ、陛下自ら!?」


あの時暖かい、それでもって逞しい腕に抱き止められて安堵したのを思い出した。あれは国王だったのだと知ったローゼリア。目の前で気を失い、その姿を晒した恥ずかしさのあまり、羞恥で段々と顔が赤く染まっていく。


「随分と顔が赤いが、熱でもあるのか?」


その時だった。耳通りの良い、少し低い優しい声が耳に入ってくる。


「へ、陛下!?」

「体調はどうだ?意識を失って倒れてしまったからな・・・」

「ご、ご心配をおかけしまして・・・しかもここまで陛下自ら運んで頂いたと・・・た、大変申し訳」

「気にしなくてよい。私にとっては役得だった」

「役得・・・?」

「あぁ、こう言うことでもなければ、若い令嬢を抱えて運ぶなどの機会はないだろうしな」


国王がイタズラに笑って見せた笑顔に、ローゼリアはポカンとなった。だが、国王レイドルートは、ローゼリアの反応のなさに、失言をしてしまったと焦る。


「あ、いやっ、決して不埒な真似はしていない、断じてない!」

「疑ってはおりませんから」

「あ、あぁ・・・」


レイドルートは気まずそうに笑って髪をぐしゃぐしゃっとかいていた。







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