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21、諦めるなんてできないから
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夕食の途中で、気分がすぐれないと途中退出してきたミーティアは、バージルと共に庭園に来ていた。
バージルはミーティアを膝に乗せてベンチに座る。
二人はお互いの温もりを確かめるように静かに抱きしめ合う。
「ティア、落ち着いたか?」
「ありがとう、ジル」
少しの沈黙の後、バージルが話し出す。
「ティア、殿下の相手は辛いよな。陛下に取り下げて貰うか?」
「そうしたいけど、きっと無理」
「無理か・・・しかしこのままでいいのか?」
「仕方ないわ」
「諦めるのか?」
「・・・」
「俺の事も、そういう風に諦めきれるか?」
「それは無理よ!バージルを諦めるなんてできないから!」
「・・・嬉しいよ」
「でも、断っても殿下は無理矢理進めようとするわ」
「ああ、確かにな」
「どうしたらいいの・・・」
「・・・ご褒美」
「え?」
「ご褒美があったら頑張れるか?殿下に負けないように頑張れるか?」
「何をくれるの?」
「何が欲しい?って言っても、大したもんはやれないけどな・・・」
「じゃあ、ご褒美はキスがいいわ!」
「キ、キス!?」
(焦った・・・声が裏返ってしまった・・・)
「ダメかしら?」
「そういうのは大事な時にとっておいたがいいんじゃないのか?」
「今がその大事な時よ」
(・・・マジか)
「仕方ねぇな、考えといてやるよ」
「今日頑張った分はご褒美ないの?」
「えっ!?」
一瞬固まったバージルだが、この小さな存在が震えながらに頑張っていることを無碍には出来なかった。
腕の中の小さな存在が消えてしまいそうな気がした。
「わかったよ・・・俺の初めてをお前にやるよ」
ミーティアは静かに瞳を閉じた。バージルはゆっくりと近づき、触れるだけの軽いキスを落とす。
唇が離れ、お互いの瞳に見入る。静かな時間が流れ、少し冷たい風が肌を撫でて行く。
「さぁ、あんまり長居すると風邪をひく、部屋に戻るぞ」
「うん!」
横抱きのままミーティアを部屋に連れ帰る。その光景を少し離れたところから見ていた者がいた。鋭い視線を向けたライアンだ。
「ちっ、俺のものに手を出しやがって・・・」
夜の庭園から戻り、部屋に着いたバージルはミーティアをベッドに下ろす。
「あたたかくして寝るんだぞ」
「ねぇ、ジルはどこで寝るの?」
「サファイア宮に部屋を与えられている」
「近くにいるのね」
「ああ、明日の朝また来るよ」
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
バージルは部屋を出た。落ち着いた様子のミーティアにホッとした。
今、自分にできる事は何なのか考えていた。
ーーーーーお知らせーーーーー
近日、新作投稿開始します
仮タイトル
【影、落ちました】
王家の侍従で影としての裏の顔も持つノアール。ある日、落ちてしまう。屋根から!?
感情を表に出さないノアールは、ある1人の令嬢から絆され、感情に抑えが効かなくなってしまう。
別人のようになってしまったノアールは、独占欲丸出しの、まるでじゃれつく大型犬!?
女性にべったり独占欲丸出し、怖がり甘えたな年上男子が好きな方は是非!!
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二人はお互いの温もりを確かめるように静かに抱きしめ合う。
「ティア、落ち着いたか?」
「ありがとう、ジル」
少しの沈黙の後、バージルが話し出す。
「ティア、殿下の相手は辛いよな。陛下に取り下げて貰うか?」
「そうしたいけど、きっと無理」
「無理か・・・しかしこのままでいいのか?」
「仕方ないわ」
「諦めるのか?」
「・・・」
「俺の事も、そういう風に諦めきれるか?」
「それは無理よ!バージルを諦めるなんてできないから!」
「・・・嬉しいよ」
「でも、断っても殿下は無理矢理進めようとするわ」
「ああ、確かにな」
「どうしたらいいの・・・」
「・・・ご褒美」
「え?」
「ご褒美があったら頑張れるか?殿下に負けないように頑張れるか?」
「何をくれるの?」
「何が欲しい?って言っても、大したもんはやれないけどな・・・」
「じゃあ、ご褒美はキスがいいわ!」
「キ、キス!?」
(焦った・・・声が裏返ってしまった・・・)
「ダメかしら?」
「そういうのは大事な時にとっておいたがいいんじゃないのか?」
「今がその大事な時よ」
(・・・マジか)
「仕方ねぇな、考えといてやるよ」
「今日頑張った分はご褒美ないの?」
「えっ!?」
一瞬固まったバージルだが、この小さな存在が震えながらに頑張っていることを無碍には出来なかった。
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「わかったよ・・・俺の初めてをお前にやるよ」
ミーティアは静かに瞳を閉じた。バージルはゆっくりと近づき、触れるだけの軽いキスを落とす。
唇が離れ、お互いの瞳に見入る。静かな時間が流れ、少し冷たい風が肌を撫でて行く。
「さぁ、あんまり長居すると風邪をひく、部屋に戻るぞ」
「うん!」
横抱きのままミーティアを部屋に連れ帰る。その光景を少し離れたところから見ていた者がいた。鋭い視線を向けたライアンだ。
「ちっ、俺のものに手を出しやがって・・・」
夜の庭園から戻り、部屋に着いたバージルはミーティアをベッドに下ろす。
「あたたかくして寝るんだぞ」
「ねぇ、ジルはどこで寝るの?」
「サファイア宮に部屋を与えられている」
「近くにいるのね」
「ああ、明日の朝また来るよ」
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「ああ、おやすみ」
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今、自分にできる事は何なのか考えていた。
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感情を表に出さないノアールは、ある1人の令嬢から絆され、感情に抑えが効かなくなってしまう。
別人のようになってしまったノアールは、独占欲丸出しの、まるでじゃれつく大型犬!?
女性にべったり独占欲丸出し、怖がり甘えたな年上男子が好きな方は是非!!
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