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28、初めての気持ち

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バージルは、初めて愛や恋といった感情を知った。

「10年か・・・ティア・・・実はな・・・もう片思いじゃないぞ」

「え?」

「俺は・・・ティアが・・・大好きだ!」

「ジル!」

ミーティアはバージルに勢いよく抱きついた。

「ふっ、俺の未来の嫁は大胆だ」

「ジルにだけよ」

「この短期間で俺の人生は、予想してたより大きく変わっちまった」

「嫌だった?」

「全然、むしろ良かったよ。もっと早くにティアが俺の事を好きになった事を知っていたら、今の俺はいなかったな。ティアに見合う男にならなくてはって思って努力していたかもしれない」

「どんなジルもジルよ」

「でも、努力して上り詰めて、騎士団長がテオドールじゃなくて俺だったら?」

「もっと早くジルの居場所がわかったわね」

ふふっとミーティアが笑う。

「でも、テオドールとトーマスのファンは凄いぞ?」

「そうなの?」

「二人の周りはいつもお花畑だ」

「お花畑?」

「ああ、集まってるご令嬢のドレスが色とりどりで、花がたくさん咲いてるように見える」

「それは綺麗ね!」

「もし俺が騎士団長になってたら、その地位だけでも少しは花が咲いてたかもな」

「花に囲まれてるジル、見てみたいわ」

「他の女に囲まれてるって事だぞ?」

「えっ!?それはダメ!!」

「だからよかったんだよ。誰にも見つからず、誰にも好かれることもなく今の俺がいる。誰もいなかったから、ティアの想いを純粋に100%で受け取れる。俺はティアの愛しか知らないからな」

「ジル、大好きよ!」

ミーティアはバージルの首の後ろに手をまわし、互いの額をあわせて見つめる。

「ティア、俺はまだ、ティアの事全ては知らない。だからこれからいろんなティアを見せてくれ」

「もちろんよ!」

バージルは、この腕の中の愛しい存在を大事にしたい気持ちが大きくなっていた。

「そうだわ!お父様に気持ちが通じ合ったって伝えに行かなきゃ!一緒に来てくれる?」

「仰せのままに」

まっすぐ見つめ合い、幸せを感じながら庭園を後にした。





ーーーーーお知らせーーーーー



2022/5/11    18:00    新作投稿開始



【影は落ちました】

王家の侍従で影としての裏の顔も持つノアール。ある日、落ちてしまう。屋根から!?

感情を表に出さないノアールは、ある1人の令嬢から絆され、感情に抑えが効かなくなってしまう。

別人のようになってしまったノアールは、独占欲丸出しの、まるでじゃれつく大型犬!?

女性にべったり独占欲丸出し、怖がり甘えたな年上男子が好きな方は是非!!




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