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29、ミーティアの人を見る目

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夜の庭園から戻り、二人で国王の元へ向かった。王の執務室の警護にあたっている近衛騎士に取り次ぎを伝える。

「陛下がお会いになるそうです、どうぞ」





「お父様、失礼します」

「失礼します。第二騎士団バージル・ユリシールが参りました」

「うむ、よく来たな。ちょうど二人と話をしたいと思っていたところだ」



「陛下、二人でしっかり話をしました。自身の不安や想いを伝えて、納得のいく結論を出せました」


「お父様、わたくしジルのお嫁さんになるわ!」


「決心したようだな。時にバージルよ、何を不安に思っておったのだ」


「はい、自分はしがない子爵家の次男です。次男の為、後継でもないですし継ぐ爵位もありません。騎士団でも役職もなく、大した武功も立てておりません。

何も持ってない男ですが、王女殿下が俺でなくてはならないと言ってくださいました。何も持っていなくても、将来夫婦になればお互いがいる。こんなにも可愛い、そして素晴らしいミーティア王女殿下という宝物を持っている男になると自覚できました」


「うむ、ミーティアが選んだだけのことはあるな。して、バージルよ、君はこれからも騎士を続けていきたいと考えておるのか?」


「そうですね、今のところはそのつもりでおりますが」


「いや、ジャンク騎士団長やルノール副騎士団長から、定期報告の際に聞いておるのだが」

「何をでしょう?」

「君は賢い獣のようだな。普段は爪や牙をしっかり隠して、狩りの瞬間に本来の姿を現す。人も実力者ほど、力や能力をひけらかさずここぞの時に発揮するのだ」

「爪や牙を上手く隠すような能はありませんが・・・」

「隠さずともよい、わしは知っておる。君の剣の実力も、戦略が秀でていることもな。他の騎士達に手柄を譲っておるだろう。今の自分達がこの地位にいるのは、影の功労者のおかげだと二人はいつも言っておる」

「・・・陛下は全てご存知でしたか」

「わしが君の事を気にかけ出したのは、半年前からであった。しかし、ミーティアは10年前、5歳の時からだと言う。わしの娘は、人を見る目が幼い頃からあったようだな」

「わたくし、凄い?」

「ああ、ライアン殿下の件では済まない事をしたが、それも随分前より見抜いていたのであろうな・・・わしはミーティアに負けたな」

「まぁ、お父様に勝てる事があるなんて嬉しいわ」

その時ドアをノックする音がして扉が開く。入ってきたのは王妃と、思いがけない人物だった。







ーーーーーお知らせーーーーー



新作投稿開始しました!



【影は落ちました】

王家の侍従で影としての裏の顔も持つノアール。ある日、落ちてしまう。屋根から!?

感情を表に出さないノアールは、ある1人の令嬢から絆され、感情に抑えが効かなくなってしまう。

別人のようになってしまったノアールは、独占欲丸出しの、まるでじゃれつく大型犬!?

女性にべったり独占欲丸出し、怖がり甘えたな年上男子が好きな方は是非!!





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