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54、一番の不安要素は誰

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「お父様」
「おぉ、ミーティアか・・・なんだか雰囲気が変わったか?」
「わかります?」

ふふっと笑い横に立つバージルと目を合わせる。

「大事なお話がありますの」

王の執務室には国王、王妃、宰相、ミーティア、バージルがいる。

「なんだ改まって」
「私のお腹に子がおりますの」
「それは誠か!?」
「えぇ、6ヶ月目に入り安定しましたわ」
「それはめでたい!なぁ、エリアナ、マルクスよ!・・・・・ん?・・・なぜお前たちは無反応なのだ・・・?もしかして・・・知っておったのか!?」
「えぇ、陰ながら3ヶ月ほど、微力ながら支えておりましてよ」
「マルクスもか!?」
「僭越ながら・・・私は先月気付いて、王妃様にお聞きした次第です」
「・・・また、わしだけ仲間はずれか・・・」

国王がうなだれている。

「サファイア宮に籠もっておったのはそういう事か・・・して、なぜ3ヶ月も言わずにおったのだ・・・しばらく体調を崩しておるといって心配しておったのだぞ?」
「ミーティアが安定期に入るまでは、不安要素はすべて取り除きましたの。ミーティアが身ごもった事でよからぬ事を考える輩もおりましょう。ミーティアの子は王位継承者第一位となるわけですから、周りが余計な事をしでかして流れてしまえば大変です。この子にこれ以上傷を負わせたくありませんものね」
「それがなぜわしに話さない事になるのだ・・・」
「陛下が一番の不安要素だからですわ」

(お母様・・・なかなかに辛辣ね・・・)

「なにっ!?」
「あら、ご自覚がなくて?あなたが開いた茶会でこの子が5歳で傷をおった。前にこの子が隣国の王子によって危険な目にあったのも、陛下の考えが甘かったせいですわ。私は許しておりませんのよ」
「それは・・・すまん」
「ということで、マルクス。どこかの王子のせいで、国交が途絶え流通が滞り、被害を被った領地や商売もあるでしょう。世継ぎが産まれる事で、これからも国は続いていく。嬉しい知らせよ。次期女王の懐妊の周知をして、国中でお祝いするわ!経済をまわすわよ」
「御意王妃殿下の意のままに」
「お母様なんだかイキイキしていらっしゃるわ」
「楽しくないわけがないじゃない!さぁ、堂々と動けるようになるの。いろいろ準備しなくちゃね!まずはユリシール子爵に頼んで、いろんな生地を取り寄せましょう。動きやすい服と、寒い時期に暖かくできるものを用意しなくちゃね!子のおくるみなんかも必要ね」
「父上も喜びますよ。ユリシール領は繊維業が盛んですから腕が鳴るでしょう」
「忙しくなるわ!」
「なんかわし置いてけぼりなんだが・・・」

いつも仲間外れな国王だった。



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