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純情令息とお転婆公爵令嬢
弟の帰領と再会
しおりを挟む学園も卒業し、辺境領へと戻り10年が経っていた。辺境伯当主の父親から、そろそろ結婚を考えたらどうだとつつかれる毎日。弟のジェームスが15歳になり、学園を卒業後は第一騎士団への入団が決まると、一時帰領する事になった。
「セシル、ジェームスがまもなく戻ってくる」
「はい」
「ジェームスがこちらにいる間に開かれる王都の夜会に出席して来い」
「しかし、辺境は・・・」
「今は落ち着いてるから心配はいらん。少しは女性に興味を持て。接点でも作れば何かが変わるさ」
「・・・はぁ・・・」
数日経ち、弟のジェームスが帰ってきた。
「兄さん、久しぶり」
「あぁ、元気そうだな」
「兄さんに伝言を頼まれてるよ」
「誰からだ?」
「クリスフォード団長」
「そうか、昔可愛がって貰った・・・しかし、伝言とは?」
「あぁ、それなんだけど、兄さんの片想いの相手が、もうすぐ失恋するから弱みにつけ込めって」
「なっ、なぜ団長が俺の片想いを知ってるんだ!?」
「ん・・・なんか、バレバレだったって言っていたよ?」
「そ、そうなのか・・・」
ほどなくして辺境を出発した。王都にある辺境伯のタウンハウスに着き、夜会の日を迎える。
(はぁ・・・戦いに明け暮れている俺が夜会なんかに出て何になるって言うんだ・・・)
その考えは一筋の涙で掻き消される事になる。たまたま出た夜会で、学生時代の想い人、エミリアの姿を見かける。大人になった彼女は、さらに美しさに磨きがかかっていた。セシルは目が離せなかった。
夜会の参加者の入場が終わり、国王と王妃が現れる。この国の第三王女ミーティアと第二騎士団所属の騎士、バージル・ユリシールの婚約発表。会場にどよめきと歓声が起きた。皆が二人に注目する中、セシルはエミリアから目が離せないでいた。エミリアの瞳から涙が流れていたのだ。
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次回
俺はずっと君だけを見ていたんだ・・・
これくらいしかできない
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